Festina Lente2

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火種と火消し

会議は紛糾する。何しろ目的・目標を一つにしないで話し合っている。
というよりも、積極的に関わろうとせずに寄り合っている。
誰かが、何か言うのを待っている。賛成反対は、別として。
解決策を見出せないまでも、方向性だけでも決められればいいのだが、
自分の思っている方向でなければ、
たとえ、どんな代案であろうとも納得しない人がいる。
代案そのものよりも、誰が言った意見かで、反発したり同意したりする。
中身そのもの、効率・有効性・機能性はどうか、そういうことを吟味せず、
自分のグループの意見でなければ、
強行突破してでも通さないと気が済まない。


そういう人と仕事をすると、無理難題を押し付けられたりする。
「配慮」は実は見せ掛けで、単なる力関係だったりする。
純粋に良かれと思って意見を述べたり、中立の立場を取ったりすると、
味方になってくれなかった、理解してもらえなかったと逆恨みしたり、
仕事に差し障りあるような、大人気ない振る舞いに出る人もいる。


組織の中で意見を言わずに過ごせることはない。
意思表示は常に必要。常に明快に保たなければ誤解される。
信念は強く持たないと押し切られ、弱気になると信頼を失う場合がある。
我を通すのでもなく、没個性でもなく、「自分」を相手に示すのは難しい。
わかってもらおうと意識しすぎると、相手に媚びる事にもなる。
自分は自分と割り切りすぎると、自信過剰で傲慢になる。
気を付けてはいるのだが、その兼ね合いが難しい。
何事もバランスだとわかっていても。


仕事をする上で解決しなければならないこと、
一応の結果を必要とすること、
終息を待たなければならないこと、意図的に導かなければならないこと、
部分的に解消すれば、最終的にはどうにかなること、
断固として決着を付けなければ示しがつかないこと、等など様々。
だが、いずれにせよ仕事であれば、必ずルールがあり、
どれを何を到達点にするか、絶対に共通認識が必要であり、
あらかじめ決めておかなければならない。


しかし、それを決める段階で揉めているのだ。
共通認識が得られない。ルールが築けない。目標が定まらない。
これでは職場は崩壊する。仕事は成果を得られない。
これではモチベーションが上がるはずがないのだ。
この歯がゆさ、この悔しさを、何に喩えればいいのだろう。
みんな同じように感じているはずなのに、
みんな自分の感じていることから、意識を逸らす。
感じた者が辛くなるから、しんどくなるから、だから・・・
給料分だけ、その時間拘束されていることに甘んじ、機械になって、
建物に吸い込まれ、吐き出されていくことに、慣れようとしている。
本当にこれでいいのか? 


火種になるか、火消しになるか。
願わくば、その両方でありたいと思っている。
何故なら、火種がなければ、くすぶる事も煙を上げることも、
周囲を巻き込んで燃え広がることもできないから。
火消しになれなければ、ことが暴走・逸脱・逆上・紛糾する以前に
最小限の被害・分裂・妨害・影響で済ませられるように、
しっかりと関所を築き、包囲網を張り巡らすことができないから。
守らなければならないもの、
守り抜かなければならないものを守れなくなるから。

鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール

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仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

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火事は起こるべき所に起こる。
前もって燃やさなければならないこともある。
焼き払って、消滅させなければならない時もある。これは難しい。
燃やすことによって、新しい力を得ることができる場合もある。
危険を冒して焼き払わなければ、次のチャンスが得られない時もある。
野焼きのように、たとえ焦げ跡を曝そうとも、焼き払わねばならぬ。
春の恵みを受ける為には、枯草を滋養として吸収する必要がある。
わかっていて燃やす時には、消し方を心得ておかなければならない。
むやみに燃やせば良いという訳ではないのだ。



腕利きの火消しになるには、火種になるよりも難しい。
火種になるか、火消しになるか。
火種になった経験がなければ、火消しにもなれぬ気もする。
常に危険と隣り合わせ、という訳ではない。
様々な火種によって火の消し方が異なるように、
火種をよく知っておかなければ、火の消し方を誤り、
新たな火種を作ることになる。
そうなると物事はこじれ、どうにもならなくなり、紛糾する。
強引にWIPE OUT することが、新たなくすぶりとなり、火種を残す。
火を消すのは一瞬ではない。ある意味、根気の要る作業だ。
火をおこすよりも、火をなだめる方が難しい。
むろん、その逆の場合も。

歴史のように、全てが原因と結果で成り立つ。
一つの結果は、次の出来事の原因となって、
複数の出来事が、複雑に絡み合い、次の原因となり、
時空間での事象の核分裂は、様々な様相を保ちながら連綿と連なる。
歴史学者は、様々な角度と切り口から物事を分析する。
火種は複数あり、火消しも一つでは足りないだろう。
歴史でなくても、時間の積み重ねの中で、物事は絡まりあう。


人の心もまた。
良い方向に向かう時には、火種として、
良い方向に収めたい時には、火消しとして。
そんな、私でありたい。

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