Festina Lente2

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ぼろさらぼろさら

これが正しい方言なのか、言葉なのか分からない。
ずっと頭の中にあるのだが、正しい使い方なのかどうかも分からない。
「ぼろさら ぼろさら」でやりくり、生活している。
そんな状態なのかなあと思いながら、老母に確かめることも出来ない。
時々母が呟いていたように思う。
ぼろさら ぼろさらで毎日過ごしているから・・・。


ボロをさら(新品)にしているということなのか。
ボロをさらう(集めてくる? 始末する?)ことなのか。
はっきりよくは分からないけれど、
今年の冬は「ぼろさらぼろさら」という言葉が頭の中で響く。
だから、バーゲンには行かない。
新しい服も買わない。
節約? リサイクル? 勿体ない? 単に出不精?
いや、出不精ではないと思うけれど、バーゲンは苦手。


寒い冬。温かく過ごすといっても暖房器具の殆ど無い我が家。
一番大事な炬燵。ストーブは台所のみ。
2階には基本的にストーブを持っていかない。
炬燵も持っていかない。
娘は足温器で勉強している。かつて私がそうだったように。
基本的に我が家は着膨れている。重ね着、おばさん下着、
ヒートテック、毛糸のセーター、膝掛け、靴下二枚履き。


靴下二枚履きは今年一番のヒット。
普段であれば厚手の靴下を一枚だけ履く。
今年は、薄手をにまい重ねて履いている。
内側に履いているのは、穴あきだったり継ぎ当てだったり、
とにかく窓拭き用になる寸前、廃棄処分前だったりする。
昨年は○○デニールタイツが重要なポイントだったけれど。


今年は新しい靴下も買わず、買い置き・在庫品でやりくり。
新しいもの、新しい柄でなくても大丈夫。
コート、新調したいけれど、車で歩いたり勉強会ではお洒落も不要。
ファッション、時には身綺麗にとも思うけれど、
清潔であればまあいいだろう、昨年のものであろうが、
一昨年のものであろうが、流行のものでなくてはならないと思いだしたら
きりがない。あれもこれも欲しくなってしまう。


街ゆく人は誰も彼も同じような、今年の流行を一斉に着ているような、
今年の流行というか、今年度のというか、誰も彼もが似た装い。
バーゲンシーズンになると特にそんな気がする。
新しい、真新しいはずのファッションに身を包んで、
みんながみんな華やかな装いの中で寒風の中を闊歩する。
そんな感じさえしてしまうのだけれど、私は一人、
ぼろさらぼろさら、ナフタリン臭の取れた毛糸のセーター、
昨年、一昨年のヒートテック、帰宅して着替えれば
スウェットやジャージといった服装こそはしないけれど、
重ね着お化けと化して、炬燵周辺を半径1mから出ない、
だるまさんのような生活をしている。

編みものワードローブ

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だから、ボロさらボロさらだるまさんが転んだ、状態。
新しい服が無くても、生活していける、よ。十分。
何故、新しい服でなくてはならないと。
捨てないので、昔の服が沢山ある。
捨ててしまえばいいのだろうけれど、手編みのセーター、ベスト類、
仕立てのいい腹、かっちりとした上下、流行廃り関係なく着れそうな、
そんな服は捨てられない。


戦後強くなったのは女と靴下、あれから何十年?
ぼろさらぼろさら、自分さえ気にしなければ、
必要以上に見苦しくなければ、清潔なものを身に付けていれば、
やりくりできるのに十分な服がある。流行でないということだけ、
そこを問題にしなければ、コートも沢山眠っている。
防寒着も。それこそ、サッカーの試合を見に行くような、
グラウンドに立てるようなごつい長いアウトドアコート。
それで電車に乗るのはおかしいから着ないけれど。


チベットで作られたという、中綿の入ったごついハーフコート。
フード付き。雨の日でも重宝。防水スプレーを軽く振っておけば。
娘に譲ろうと思う真っ赤なタータンチェックのロングコート、金ボタン付き。
いずれまた流行るだろうロングコート、トレンチコート、
不祝儀にも着て歩ける真っ黒なトレンチコート、
皮の上着も2着あれば十分。どちらも20年は共に過ごしている。
手持ちの服で、十分だとしみじみ。

ぼろさらぼろさら。流行を気にせずお出かけすれば、
お財布に優しいエコライフ。家の中で重ね着をして温かく過ごせば、
それはそれで、誰にも迷惑は掛からない。
むしろ、暖房を25度に設定して過ごす職場の方がおかしい。
熱くて汗をかいて、気持ち悪くなる。
中と外の温度差に目眩がする。
だから、エコで勿体ないで構わない。ぼろさらぼろさら。

おうちニット vol.3 (別冊家庭画報 手編み時間)

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