Festina Lente2

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再びダイビルへ

(写真は全て大きくなります)
こういう趣味に走る勉強会・研修会だと盛り上がる、そんな夜。
仕事を終えて少々遅刻してしまったけれど、何とか滑り込んだ、
本日のナカノシマ大学、ダイビル本館建設秘話ツアー、その1。
何しろダイビル、以前の面影がどれほど残るか、
気になっていたけれど、なかなか訪れる暇も無し。
家族でスペイン料理を食べた思い出のあるダイビル
本当にお久しぶり。工事期間は4年ほど掛かったかな。


http://d.hatena.ne.jp/neimu/20070511
http://d.hatena.ne.jp/neimu/20080326


  

  


昔の記事にもほんの少し顔を出す馴染みのスペイン料理店、
そして旧ダイビル本館の趣のある様子。
あれから何年? 娘は無邪気な小学校低学年から
受験を意識する中学2年生になってしまった。
その間にダイビルは新しく建て変わり、生まれ変わり、
本日ナカノシマ大学にて「ダイビル本館建設秘話ツアー」。


  

  


7月に再オープンを果たしたのだが、市内の出来事には疎い。
何しろわざわざ用事もないのに出向くことはない。
特集があった月刊中之島9月号だって入手していない。
なので、今回のツアーは本当に嬉しい。
大阪随一の名ビルと称される伝統のビルについて、
今回説明して下さった本日の講師は
勝山太郎(株式会社日建設計 設計部部長)
上田貴幸(ダイビル株式会社 建設・技術統括部課長 のお二方。


  

  


スライドを用いて、どのような所に気を配り、
リサイクルというか、エコを心がけて解体・保管、
そして再び再利用、日の目を見ることとなった建材達。
もちろんもっともみんなの注目する所、表の彫刻。
そう、村野藤吾が取り付けたという不思議な彫刻群が、
再び取り付けられる様子を食い入るように眺めた。


  

  


いい建物を造る。人の心に残る建物であり、
なおかつビジネスに役立つのは当たり前の使い勝手の良い建物。
工事は丁寧に時間を掛けて、慎重に進められた。
先人の残した意匠を受け継ぎ、次世代に渡す。
大阪の中之島の歴史、由緒ある景観を守り伝える。


  

  


わずか1時間程の説明だったが、豊富な資料を元に、
建設経緯を頭に入れた上で、楽しみにしていたツァー、
3班に別れて建物内部を見て回ることに。
何だかこの春、村野藤吾の目黒区役所見学ツァーを思い出すなあ。
写真を撮りすぎて記事をアップするのが大変だった、春の連休。
家族で訪れた旧千代田生命ビルの建物を。


  

  


『渡辺節の設計によって1925年(大正14年)9月に建てられた、大規模な事務所ビル。
低層部には村野藤吾デザインによる竜山石製の奇怪な装飾彫刻が見られ、
このため「ネオ・ロマネスク様式の名建築」と評価された。』
とあるが、実際道を歩く私たちの目に入りやすいのは、この装飾彫刻。
しかし、『全体、特に外壁に開けられた窓のプロポーションと配置は絶妙で、
単にネオ・ロマネスク様式と片付けられない美点』と説明されても、
なかなか1回では想像・理解しがたいのが素人の哀しさ。


  

  


そして、厳密には復原しきれなかった当時の内部、
内装を写真で見て、感嘆の溜息。
明治気に学んだ人々が、大大阪が発展する大正期に
どれほどの気合いを入れて建築に情熱を傾け、
作り込んでいったかに思いを馳せた。


    

  


ダイビルに入社し、このツァーの案内役のお一方は、年齢も近い。
しかし、もう一方は若く、こういう人が先人の建物を守るべく、
中心になって働いていたのだということに、やはりある種の感慨を抱く。
形ある物に携われる人に対する、一種の羨望。
そして、形ある物が何も残らぬ自分の仕事に対する思い。


  

  


間宮吉彦の「間」   店=街の空間デザイン録

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日本近代建築大全<西日本篇>

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