山のリア王
大阪まで出向いて演劇、1年半ぶりぐらいか。
『山のリア王』という題名からして、元ネタは『リア王』。
悲劇だとわかっていても、生の舞台、
内容を戦後の紀伊、山人、マタギの世界に置き換えて、
老いた長と3人の娘、欲得ずくの争いと渦巻く人間模様。
そして、失われる純粋な魂、気高い志、自然への畏敬、
人々の結びつき、主従の絆、何もかもが押し流されていく。
舞台がイギリスだろうが、日本だろうが、
王侯貴族だろうが、土着の人々の話だろうが、
骨格は同じ、悲劇は変わらない。
その後、久し振りに家族以外の人間とお喋り。
あっという間の3時間。下腹の痛みも消えたかのように思える、
人の顔を見て他愛ない噂話、世間話、憂さを晴らす、
気を許して、安心してくっちゃべる時間。
そう、こういう時間と人との付き合いを持たなかったリア王。
道化に諭されても、忠義の人の真心も届かなかった、
頑なに老いていったリア王。
上辺だけの虚ろな言葉を信じた哀れな王。
気付いたときには何もかも手遅れだった、失った跡だったリア王。
そんなふうになりたくないと、ふと思った夜。
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