帰宅前は掃除日
家人2ヶ月ぶりに帰阪。
この生活はもはや15年の単身赴任別居結婚家族の通例。
掃除して出迎えるのに必死。
頃は満月を1日過ぎた十六夜。
月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月
(よみ人知らず)
老父が時折口ずさむこの和歌だが、
月が8つも詠まれていることで有名。
どれだけ昔の人が「月」に執着していたか、わかる歌。
もっとも、今と違って月の明かりは大層明るく感じたはず。
何しろ電気照明のない時代、満月の明かりは立派な明かり。
月光に照らされた自然の趣や虫の音など、
心動かされる風情を堪能しつつ、
過ぎてゆく時間を人と共に愛でて過ごすゆとりのあった時代。
あの月この月と見比べて、今月今宵の月が一番良いなどと語り合うも一興、
しみじみとした情趣を味わう事ができた、
そんな月夜を過ごして1日後の十六夜。
私は家人に申し訳なく思いつつ、寝床のスペースを確保すべく掃除。
埃で死にはしないだろうが、歩く隙間も寛ぐ場所もないでは大変。
されど、毎日がその日暮らしの帳尻合わせ、
リビングって何のこと? 家事万端行き届いた家ってどういうもの?
そんな世界で独り分のスペースを創り出すのは、恥ずかしながら大変。
床は本と新聞、紙類で埋まっている。
台所の食事スペースは確保されている。
寝るところは…。ここも半分以上本で埋もれている。
どうすべえ、どうすべえ。
そんな私の掃除のきっかけは、家人の帰宅、という
恥ずかしい顛末の十六夜。
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