Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

神奈川近代美術館鎌倉館

おはようさん。年末年始を迎えるべく昨夜、3か月ぶりに関東入り。
26日土曜、家人と閉館予定の神奈川近代美術館鎌倉館へ初訪問途中、
鏑木清方記念美術館という看板を見つけ思わず鑑賞に出向く。

 

騒々しい通りから一本入っていくと、そこは閑静な住宅街。
鎌倉らしい雰囲気と新年を迎える展示に心和む。至福のひと時、
美人画の双六購入、何と上がりは玉藻前、ふふふ。


 
 
 


さて本命「カマキン」最後の展覧会。発訪問にして最後とは。
1951年の建築物は、大阪万博を経験した者にとっては懐かしい
武骨な未来観に満ちている。
新館も展示形式も何かしら郷愁に満ちていて、それが自分の加齢、
年輪とも重なっているような哀しみにも似た感覚に襲われる。
建築に興味を持つ年代は黄昏ている。

 
 
 
 
 


神奈川県立近代美術館鎌倉館のティールームにてお茶。
この絵を見ながら最初で最後の、何とも名残惜しい。
カタログもバーゲン価格だったので沢山買って着払いで郵送。
窓、階段、手すり、壁、彫刻のある中庭、
何もかもが最初で最後のカマキンかと思うと疲労にも似た悲しみで一杯だが、
それはそれで、大阪からわざわざ見に来た甲斐があったと満足。


 
 
 
 
 


思い思いに鑑賞されているカマキンのそこかしこ。
関東にお住まいの方々の思い入れもひとしおという感じ。
訪問者の年齢層が高いせいもある。そして、コルビジェの弟子、
坂倉準三が設計した建物をみんな名残惜しく眺めている。
中庭を見下ろす、また歩き回る人々の様子さえもまるで彫刻のようで好ましい。


 
 
 
 
 

鎌倉に初めてきたのが大学4年の卒業旅行。
2度目3度目は家人が関東に転勤になってから。
4度目の今日は家人と2人で、自分達の世代を懐かしむように、
美術館を、建物そのものを、オブジェを、周辺の景色を見て回る。


 
 
 
 
 


今まで開催された展覧会のポスターを眺めながら、
このうちのどれ1つとして自分は見ることが叶わなかったんだなあと、
切なく思いながら、そう貪欲にならなくても、
人よりは沢山見ている方だよと、自分に言い聞かせる。
心の中にしか仕舞っておけない「鑑賞」した記憶だけれど。
鎌倉以外、どこかで出会っているかも知れない作品や作家達の足跡を、
凡人の私が遭遇したとて、何が変わるというわけでもないのだけれど。


 
 
 
 
 


日本人が前向きだった頃、未来が明るいと信じていた頃の建築物は、
ハコモノとして老朽化したと、お役目御免になろうとしている。
そして私達の初訪問を祝福してくれるように、出会いと別れの日は
美しい冬晴れの天気の日だった。