Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

山盛り佐藤錦

さくらんぼ、さくらんぼ。やっぱりこの明るい色彩、
黄色と赤の入り混じった、赤みの勝った大き目のさくらんぼ。
サッパリ爽やかな甘さが噛んだ瞬間果肉から溢れ出る。
噛み応えのある皮が口の中に残ることなく、果汁と一緒に、
喉越しよく流れていく、そんな感じ。
山盛り佐藤錦。こんな贅沢な食べ方滅多にできない。
老父の知人から送られてきた、山形は天童の佐藤錦2L。


巷ではお菓子作りにアメリカンダークチェリーを好む人も多い。
だが、私はあの色が苦手。自己主張の強すぎる暗めのさくらんぼ。
そこには果実の若々しさよりも、訳知りな熟れた感じが漂っていて、
なかなか買ってきて食べる気になれない。
大阪で佐藤錦を食べるのは、なかなかに奢った生活。
それを産地直送で食べる。旬の果物の美味しさはえも言われぬ。


山盛り、好きなだけ食べていいよ。
そんなふうに言われてほおばることのできる幸せが、ある。
そんな幸福、いや、口福を感じることができる。
学生時代過ごした山形を、いつまでも懐かしむ老父の思いが、
今日この夕餉にあって、私の疲れた体を癒してくれる。
暑さにげんなりしている体に活を入れてくれる。


旬の果物の、ネクタルの如き美味を頬張り、
あっという間に幸せになれる私は単純。
その一時の充実が、積み重なって毎日を土台で支える。
80を超えた老父とその友人たち。戦前生まれの長命な人々の、
ネットワークが、子供世代にお裾分けで巡ってくる。
ひたすら感謝感謝。



企画研修後、帰宅すると何もしたくない。
そんな暑い暑い一日。クーラーの効いた部屋を出ると、
熱風が吹いてきて顔から崩れていくような感覚。
ほぇー・・・・。
パソコンを打っていると、手の甲に汗の粒。
ふぇー。
仕事がはかどらない。目の中に汗が入って。


本日の研修は滞りなく。気の利く同僚の助けで、お茶会付き。
ここを先途と思い詰めることもなく、時間的には厳しい中を、
通り過ぎて行けたことに感謝。
心強い仲間のお陰で今年前半の研修を乗り切る。
感謝感謝、サクランボの双子のように側にいる仲間に。
企画当初とは異なり、かなりオブラートにくるんだ研修なれど。


老父の友人は佐藤錦の本場、山形県東根市出身だという。
今回送って下さった方は天童。
東北ルーツを思う時、今年はいつになく胸につかえるものがある。
関西で自然の恵みを頂く。
今日の研修の進み具合も、帰宅後の山盛り佐藤錦も、
疲れた体を助けてくれた、幸運の一つ。
あと一日乗り切れば、7月は目の前。

さくらんぼの性は (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

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サクランボたちの幸せの丘

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