Festina Lente2

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痛みに強いのも考えものだ

女性の体は男性より、痛みには強くできているという。そうだろう。
でなければ、「お産」なんて、できないもんね。
女性に生まれついて、避けられない痛みが付いて回るわけだから、
「痛みに強くなければならない」という
         命題を背負っている訳でなくとも、
強くならざるを得ないのだと思う、多分。


生理痛(幸いにして殆ど感じたことがない)、排卵痛(たまにね)、
陣痛(ベビーが生まれると思うと耐えられるもんだなあ、
   生まれたら忘れちゃうしね、幸せで、痛みなんて)
まあ、産後も「痛い」けれど、痛みは消えると思っているし、
しばらくは痛くても当たり前だと思っているし、
「痛み」を敵対視することは、ない。

 
でも、「痛み」に強いのも考えものだ。
はっきり言って、歩けないほど痛かった時。10年以上前。
初めての硬膜外麻酔に怯えている時、看護師さんは言ってたもんね。
お産の痛みは産んだら消えるけれど、
この痛みは少々のことじゃ消えないからね、しんどいと思うよって。
帯状疱疹で1ヶ月近くダウンしたっけ。あの時も転勤3年目だったなあ。
幽霊の絵のように、下半身が消えて、感じなくなる麻酔時、
温感だけはあるのが不思議だったな。
神経痛も多少残ったけれど、気にしない、気にしない。
気にしたら、負けなんだ。


「痛み」に強いのは、考えものなんだよ。
転勤後の過剰適応じゃないのか? そうかもしれない。
でも、違うとも、言える。3年もかかるのか? 適応障害か?
「痛い」はずじゃないのか? 
誰だって痛いんだよ。痛み分けだよ。
そういう問題じゃなくて、「脆弱」なだけじゃないのか?
そう言われると、辛いなあ。誰だって、強い自分が好きだと思うよ。
弱いのは、嫌でしょ。
馬鹿だなー、「柳に雪折れ無し」って言うじゃないか。

痛いの痛いの飛んでけ―111の痛みの話 (産経新聞社の本)

痛いの痛いの飛んでけ―111の痛みの話 (産経新聞社の本)



「痛み」に強い、わけじゃない。「痛み」を感じないことは、嫌だ。
別に、マゾじゃない。痛いのが好きなわけじゃない。
でも、自分が自分を裏切る弱さを感じたくないんだ。
「痛さ」を感じたくはないんだ。
自分が感じてしまう「痛み」に、足を引っ張られたくないんだ。
前に進めなくなる。
前ってどこに? 足を引っ張るって誰が?


「痛み」が何なのか、わかっているのか?
捻挫をし、ひびが入り、折れて、固めて繋いで、
次は腰。麻酔を掛けて、麻痺させて、体を横にし、そして?
胃も腸も? 頭、耳、鼻、歯、喉、上からも下からも、サンドイッチ。
次に痛くなるのは、どこだ?
ツギニ、イタクナル、ノハ、ドコダ?
次に、居たくなる、のは、どこだ?


何が、「痛み」なのか、わかっているのか?
どこが、痛いのか、わかっているのか?
ドコガ、イタイノカ、ドコニイタイノカ、ワカッテイルノカ?
どこに行こうとしているのか、ワカッテイルノカ?


「痛み」を引き止めるな、「痛み」に引きずられるな、どこまでも。
どこまでも? ドコマデモ?


「羹に懲りて膾を吹く」日々。
そんなひ弱で、どうするよ。
意識すればするだけ、探せば探すだけ見つかる「痛み」に
翻弄されるな。連れて行かれるな。
犯人探しはしないこと。
今日は、もう、おやすみ。

ダカーポ 2006年 9/6号 [雑誌]

ダカーポ 2006年 9/6号 [雑誌]