Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

晩秋の1日

さすがに冷え込みを感じる。冬が近付いてきた。
1週間前まで昼間は上着の下に半袖だったのに、今日は無理。
毛糸・マフラー・手袋が恋しくなるような冷気。
思わずグリナを溶かしたカップに、シナモンシュガーを溶かし込む。
何ならクリームをのっけたい気分。
暖かく甘いもの、ぬくぬくを包まるもの、ふわふわの手触り、
そういうものが恋しくてたまらないような気分。


出張。ランチは出先近所で見つけた小さなイタリア料理店。
あらら、本場イタリアの人がサーブしてくれるのね。
日本語が流暢だこと。メニューは少ないけれど、アットホーム。
「食いしん坊」の意味を持つお店。パスタ・ピザ・リゾットの
3種類を中心に、前菜3種・スープ・バケット・飲み物で1050円。
予想以上のアルデンテ。にんにくとタカノツメの効いた、
ネギとえびのパスタ。ファミレスとは比べ物にならない、
ふわふわの泡立ち豊かなカプチーノ


残念だがドルチェを食べる暇は無い。予定の場所へ。
VOICE OF JOY のコンサート。和太鼓の風鼓との共演。
お客がお客なので、格調高い調べの魅力は半減だったが、
大人の余裕というか、落ち着きでステージを乗り切った感じ。
歌詞が英語だからわからないので無反応、なのではない。
最初からゴスペルに興味があるわけじゃなし、
聞いた覚えはあっても、詳しくは知らない曲、
馴染みの無い曲に反応できないというわけか?


ナマの人間の声、力強いビート、太鼓の響き。
冷え込みの中で、透明感と広がりを増す歌声。
We Will Rock You と Oh Happy Day  
せっかくのエンディング、フィナーレも
なかなか感動に結びつかないざわめき。もったいない。

Joy of Christmas

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ヒーリング・ゴスペル~プレミアム~

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人の声が、人の体が楽器になる。
そんな喜びを素直に受け入れる事ができないのか、
経験が少ないからなのか、静かに音の世界に入れない若者達。
もったいない、もったいない、もったいない。
わかりやすく馴染みやすい曲目を選んでくれているのに。
私にはそう感じられたのだが、そうでもないのか。


翼を下さい、夜空ノムコウ空も飛べるはず
Joyful joyful Amazing Grace などなど。
和太鼓はメロディとは異なる、迫力とリズムの妙。
私自身も何らかのエネルギーを貰いに来たのだが、
客の反応が今一つだと、生気を吸い取られるような徒労感、
疲労感がいや増しに増していく。

アメイジング・グレイス

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シックな衣装に身を包み、軽妙にステージを勧めていく。
大胆にリズムを刻むジャズピアノのキラメキが、
もったいない、もったいない、もったいない。
せっかくのコンサート、ライブ、コラボなのに。
ああ、でも。受身である無感動に慣れきった生活なら、
何が展開していても、認めることはできないのだろう。


冬が近付いてきたことを、強く感じた今日。
暖かい炎に手をかざすように、音楽に心を暖めてもらう、
普段聞くことができない響きを、料理を味わうように味わう、
その楽しみを知らない人間を相手にすることは難しい。
何故なら、わからないこと即拒絶という行動パターンだけを
常に取り続けているので、思いやりに欠けるから。


個性を認めろと要求しながら、決して相手の個性は認めない
その頑なで無知な姿勢は、音楽に対してだけでは無い。
日常あらゆる面で、相手の常識を自分たちの非常識としてけなし、
相手の文化を自分たちの非文化として貶め、
許容性の無い姑息で野卑な人間として、
生きていくことになるから。

芸術の売り方――劇場を満員にするマーケティング

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身近だといわれる音楽でさえも、
様々な聞き方・表現があるということを受け入れない。
様々な音楽の響き・リズムを体感することもなく、
狭い世界、楽しむゆとり、受けとめるマナも知らずに、
周囲を跳ね飛ばし、自分の感性だけに重きを置き、
傍若無人であることに気づかず生活する事が、
年を重ね、季節を重ねる事がどれだけ哀しいことか、
知らなくても平気だという人間が多すぎる。


仕事を通して、中立であろうとしても、
この点に関しては、いつも傷つけられる気がする。
知らないという所から、感じて、触れて、体感する。
その過程を、輪郭を味わうということが、
何故できないのか、不思議な気さえする。
心が寒い気持ちにさせられるのだ。


こんな日は、いつもより早めに帰り暖かい食事を作る。
パクチーの効いたスープ。野菜とホタテの炒め煮。
田楽風に温めた柚子風味の刺身こんにゃく。
ホウレン草のお浸し。あっさりぴりりで温まる。
乾燥機で布団をふっくらさせる。
晩秋。冬の訪れを強く感じる今日は特に。

ポール・スローンのウミガメのスープ

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それからはスープのことばかり考えて暮らした

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