娘の「学ぶ楽しさ」から学ぶ
梅雨明け宣言はまだのはずなのに、この暑さと来たら。
七夕に雨は厳禁とはいえ、さっと涼しい夕立くらい来てほしいですね。
天の川が見える所には住んでいませんが、今宵は曇り空。
牽牛織女の逢瀬はどうなったことやら。
カササギの渡せる橋ならぬ、夫婦の間を取り持つのは、娘の存在。
どちらの血も引く愛娘。
そんなに急いで大きくならなくてもいいのに、
のびのびと大きくなり上背があるものの、ぽっちゃりふっくら成長。
そんな娘に、今年から新しい通信教育をさせている。
学童に行かせるどころかみんな塾通い。
しかし、小学生から18時から22時という弁当持参の塾に通わせる、
そんな教育方針を持たぬ我が家は、とりあえず、通信教育。
去年までとは異なる、ちょっと難し目の内容に変更。
こちらも忙しいから点検などせずに、返信。
すると早速、採点用紙が送られてきた。
かーちゃんは赤色でペン入れされている箇所をチェック。
なかなか100点取れないね。
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赤ペン先生といわれる通信教育の採点者には、現役の先生が多いと聞く。
丁寧な字で図解や豆知識、応用問題など書き添えられている。
のんびりやの娘はテキストを仕上げた段階で、答案を送っているので、
実に1ヶ月遅れの進度なのだが、まあ取り組んでいるだけ儲けものか。
ピアノのように気が向かなくなると、泣き泣きということも無く、
こつこつそれなりに問題を解いているようだった。
こちらもいちいち細かいチェックをして、提出させているわけではない。
したがって、こんな間違いが? みたいなケアレスミスが続く。
あれまあと親としてはがっくり来るのだけれど、娘の反応は違う。
こちらとしては思いもよらぬ反応、そうなの? と不思議になる反応。
というのも、「沢山直されていて嬉しい」というのだから。
去年までの添削問題は易しすぎていつも100点、面白く無かったのだそう。
今年は考えてもわからない問題が増えて、返送されてくると、
様々な書き込み、間違いオンパレード。
それを直してくれて、沢山書き込みがあるのが嬉しいと言う。
苦労して解いた問題にペンが入るのは嬉しいと言うのだ。
普通なら100点取れないとめげたり、ケアレスミスを無くしましょうと、
カチンコチンになる試験兼提出問題なのだが、
この頃は少々間違っていても、色々構ってもらえる形の、
書き込みの多いアットホームな雰囲気の先生がお気に入り。
「楽して100点」よりも、考えて苦労して解いて、
×を付けられるよりも、説明が一杯の方が楽しくて嬉しいらしい。
この反応は以外だった。
100点じゃないと拗ねたり落ち込んだりするかと思い、
わからないなあと思いながら取り組む問題、計算は面白くないと、
頭から思い込んでいたのは、かーちゃん。
楽しみながら難問に取り組み、添削を心待ちにして、
「もう1度やり直ししてみるね」と答案に向かう娘の、
何とあっけらかんとしていることよ。
やり直す事が、解き直す事が、間違っても再チャレンジする事が、
当たり前のようでなかなか出来ない、普通。
何が出来ていて何が出来ていないか、ばっさり二分されてしまい、
出来ると出来ないに分けられてしまうと、思い込んでいたのは、
決め付けていたのは、かーちゃんの方だったか。
朱が入ることに抵抗を覚え、なるべく書き込みなどされぬように、
○だけ貰えばそれで良しと、間違うことに絶えず怯える、
貧しい教育を受けてきたのは、かーちゃんの方だったか。
間違えても楽しく覚え直す方法があるなどと、
思いもよらないかーちゃんの子ども時代。
添削の先生は○×だけでなく、アドバイスや考え方、
解き方の工夫を絵も交えて書き込んでいた。
社会の答案に至っては、こういう言葉も現在はあるんだよと、
「トレーサビリティ」の解説まで書かれていた。
娘は英語で勉強しているんだよとご満悦だ。
(むろんカタカナで書かれてはいるのだが)
興味関心を引き出し、モチベーションを上げて、やる気を伸ばす。
娘には間違うことよりも、添削の余白が楽しいらしい。
気に掛けて貰い、ヒントや知識に溢れる一言、クイズ。
それが発達段階に合っていたのか、「間違っても楽しい」
勉強に通じるらしい。理解出来るということが、
色々覚えられるということが、楽しいのだろう。
負うた子に教えられる。間違うこと、失敗することを恐れ、
出来るだけミスの無いように、そればかり気にしてきた。
「失敗から学ぶ」という言葉はを知っていても、
そこからは苦い後悔や後味の悪さ、精神的な傷ばかりを連想してきた。
それは自分の経験の貧しさ、乏しさ、認知の問題。
娘の勉強の段階では、「朱が入る」ことは確かな成長へのステップ。
娘の学びでは、世界を広げる様々な手法との出会い。
間違えることから、ああそうだったのかと一旦立ち止まり、
周りを見渡し、考える習慣をつけ、シミュレーションする。
知っている知識を、関連付けを、拡大解釈を試みる過程。
そういう知的な作業への足場を固める、
学ぶ楽しさを知る段階なのだったなあと改めて実感。
間違っていれば間違っていたで、合っていれば合っていたで、
それぞれの言葉掛けは違うのに、ワンパターンなものの見方に陥っていた、
自分の「答案の見方」に恥じ入る。
できているかいないかだけに拘っている、
書けているかいないかに拘っている、
二者択一でしかない自分の物差しに恥じ入る。
娘が家人のベランダに飾ってきた短冊への願い事。
字が上手になりますように。
手芸や料理が上手になりますように。
写生がうまくなりますように。
勉強がはかどりますように。
地球温暖化が遅れますように。
オゾン層が広がりますように。
スイミングでは「タイムが速くなりますように」
娘の成長にばかり目が行って、
地球環境のことなど願いもしない狭量なかーちゃん、
赤面です。
世間様との間にも、家人との間にも、
橋を渡してくれるのは、我が子。
親馬鹿ながら、そう思った七夕の夜。
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