Festina Lente2

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弾くということ

ハードスケジュール、連休の最終日。
昨夜帰阪したばかりだというのに、ピアノの発表会。
というか、恒例のヤングピアニストコンサート。
ピアニストへの登竜門と思って気合を入れている人もいるが、
私自身は、何か小さな関門が無ければ人は努力しないので、
自分に経験の無いこういう機会には、参加させること。
でも、親の都合で帰省したり何だかんだと振り回され、
直前に十分な練習時間が取れなかった。


親の意識の中には経験重視で、賞狙いはない。
私のお古のアップライトで練習。
毎日何時間も弾きこなすわけでなく、
傍に付き切りで演奏を聴いて助言するわけでなし。
ただ、同じピアノが同じ楽器とは思えないくらい、
同年齢の小学生が奏でる音色の千差万別。


練習の成果なのか、天賦の才能なのか、
個人の性格・特性によるものなのか。
同じ楽譜を引いているとは思えない。
音の強弱も、曲のテンポの、曲の解釈も、
全く同じだとは思えない。
そして同じ先生に習っているとも思えない。

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一緒にレッスンを受けているはずなのに、
指導方法がどうなっているのか、皆目。
同じ曲を上手に弾く、弾ける以前の違いは、
単純に弾き手の個性に帰するものなのか。
親の思い入れ、指導者の思い入れ、
食い違いすれ違って思い入れ、意気込み。
そういうものの影響?


毎年ノーミスでクリアしてきたものの、
やっぱり直前の練習不足が響いたのか、
親の私からも今回は全体的に練習不足だなとは感じていたが、
残念、一箇所ミス。
それでもがんばってよく弾いたね。よしとしよう。
甘い親かもしれないけれど、そう思う。


同僚の話や世間の話を聞いても、音楽世代のはずなのに
小・中学校では楽器・音楽を習う男子はいまだにいじめに合うとか。
21世紀になってもそうなのか、今回のコンサートも男の子は少ない。
それに反して女の子のドレスアップは目立ってきたか。
でも、お辞儀も忘れていきなり弾き出す子もいて、
みんなよほど緊張して弾いているのがわかる。


お疲れ様。みんなで記念写真。
運動会だ、お彼岸だ、連休だ、なんだかんだ。
結構忙しいよね。何もせずにのんびりできたら、
何の予定も入れずにのんびりできたらいいのにね。
子どもの世界もあれこれあるけれど、大人の世界も。
時々、丸一日寝ていたいなあと思うことが増えてきた。
君もそんなことがあるみたいだね、娘よ。


大人になるって、大きくなるって、
もうすぐ近づいてくる10歳ってどんな世界なのかしらね。
ピアノの音色もぐっと大人びて、機械仕掛けの人形ではない、
単にノーミスで弾けるだけではない、
生身の人間の感情を込めて弾けるかどうか、
技術だけではなく曲に対する思い入れが伝わってくるかどうか、
それがはっきりしてきた今日の演奏。


曲を気に入るかどうかではなく、どう弾きこなすか、
曲にどんなイメージを抱くか、弾く曲への理解、
自分の解釈にかかってきていることに、気づき始めているだろうか。
単に言われた通りに弾けばいいのではないということに。
そして、それは回りの生活への姿勢にもつながる。


ただ毎日過ごせばいいのではなく、どんな生活を送りたいか。
生活にどんな意味を持たせたいか。自分の価値を、思いを、
夢や理想をどんな形で実現させていけばいいか。
ピアノの練習は、その一端、別の形で現れている自己表現。
10歳になる前の最後のコンサートだったね。


気後れした分、自信が持てなかった分、
間違えちゃったなあと自分で思っているだろう分、
あえて強くたしなめたりはしない。
これからどうするか、自分でよく考えて。
ピアノが嫌だと思う時期、ピアノが君を嫌っているのではない。
君の心が物事をやり遂げるための姿勢を、継続する力を、
ぐらつかせていることを知っている。


だから、だからこそ。
何が自分を支えていくか、立ち止まって考えよう。
そしてこの言葉をいくつになってもかみ締めている、
かーちゃんこと、この私。
ただ弾けばいいんじゃない。
単に弾きこなせるというものでもない。
弾く先にあるもの、弾きながら感じること、
弾いてみてわかること、沢山のことが。

ピアニストへの基礎―ピアノの詩人になるために

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