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今年はムンク生誕150年

日曜美術館ムンクの特集。今年は生誕150年記念のムンクイヤー、
ノルウェーでは大規模な展覧会が開かれるのだそう。
日本人でも大人気? のムンク
何しろ美術の教科書には必ず載っている。もじった漫画・イラストも多い。
心理学関係の教科書や読み物にもあの独特の絵が紹介される。
ちょっとした逆で両手を頬に当てて、口を開けてジェスチュアー。
ギャグで使われることもよくあるムンク「叫び」


私も思春期の頃から好きな画家の一人。
もっとも、私の部屋にずっと貼っていたのは、「マドンナ」。
不安を象徴する「叫び」よりも、生で見た迫力が忘れられない、
大原美術館の「マドンナ」が、ずっと心の中の基調になった。
自分の生、性、にあれこれ思い煩う思春期の通奏低音として、
部屋の壁に飾られたコピー原画は10代からから20代の自分に、
様々なことを考えさせてくれた。



この番組は美術館を訪問した気分になり、他の人の感想が聞けて見所までわかる。
早起きは三文の得、ではないが、休日の朝のお供としてお得な気分にさせてくれる。
それが、シリアスな話題、ムンクの自画像を10枚並べたもの、
画家の心の軌跡を読み解いていくような内容であれば、なお。


早くに肉親を亡くし、「病や死への不安がなければ、
僕は舵のない船のようなものだったかも知れない」と言った
ムンクの80年の人生を垣間見た朝食時。
自分の人生も三分の二終わっているけれど、実感出来る言葉。
若い時の過敏で過激な青春の疾風怒濤を、
誰もが自分なりの形で乗り越えて行く。


死が身近であれば、なおのこと思いは深く悩ましい。
しかし、様々な者が通り過ぎて、
人生を俯瞰できるようになってくる年代になると、
全てではなくとも達観できる部分が見えてくる。
「見るべきほどのことは見つ」の心境にもなれる。
もっとも、いつもではないが。


「夢のムンク、傑作十選」とダイされた今日の日曜美術館
生涯、生きることの不安や恐れを見つめ、
さまざまな体験をもとに作品を生み出したムンク
結核で亡くなった最愛の姉を描いた「病める子」。
女性への憧れと恐れが交錯する「マドンナ」。
そして生涯描き続けた自画像。


私の心の中には何枚の自画像が隠されているのだろうか。

エドヴァール・ムンク (タッシェン・ニュー・ベーシック・アート・シリーズ)

エドヴァール・ムンク (タッシェン・ニュー・ベーシック・アート・シリーズ)

ムンク (新潮美術文庫 38)

ムンク (新潮美術文庫 38)