たこ焼きの食べ方

うん、遅くなってごめんよ。お土産は何がいい？
アイスクリーム？　それとも･･･え？　たこ焼き？
まあ、いいけどさ。
この暑いのに何だって、おまけにアイスより高いじゃん。
でも、娘のリクエストにはこたえなくちゃ。

「やったー！　たこ焼きだ、わーい！」
これこれ、この喜ぶ姿が、ママの幸せだよ。
クーラーの効いた部屋で、夜、並んで屋台のたこ焼きを食べる幸せ。
保育園の時にねえ、たこ焼きをクッキングで作ったの。
うんうん、保育園時代の思い出話が始まる。
運のいい子は一つのたこ焼きに、たこが二つも入っていたんだよ。
そうか、それってラッキーだね。
うん、私も入っていた事があったんだよ。
そう、良かったねー。

もふもふ、はふはふ、パクパク。ン？
娘よ、君は爪楊枝２本使って何をしているんだい？
おかーさん、今、たこを探しているの。
え？　２個入っていた？　
違うよ、こうやってね･･･、うん、ここだ、ここに違いない･･･。
ソースと鰹節にまみれた「たこ焼き」に小さな穴を開けて、
しばし･･･、爪楊枝の先に、たこの切れっ端が刺さっている。
「摘出完了！」はあ？　何が言いたい？　
おかーさん、見て、見事にたこだけをゲットしたでしょう！
そういう事？　それにしても･･･。
おかーさん、中が見えなくても、
こうやって押さえるとたこの場所がわかるんだよ。
で、こうやって小さな穴からたこを取り出すんだ。
すごいでしょ。

･･･娘よ、君はブラックジャックの見すぎか？
いや、私も殆ど病気である。ブラインドで？
腹腔鏡手術を連想するなんてさ。傷口が小さくて･･･
体に優しい、いや、違う、これはたこ焼き。
いや、いやいや、ちょっと待て。
これはたこ焼き、これはたこ焼きの食べ方。