Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

砂漠に行ってきた娘

月曜日の夜、9時半。バスは1時間遅れで集合場所へ戻ってきた。
パパと2人のバス旅行から帰ってきた娘。元気一杯。良かった。
第一声。「お母さん、砂漠に行ってきたよ!」「?」
梨狩りと『夢千代日記』で有名な湯村温泉に行って来たはずなのだが。
あ、鳥取砂丘か! 「お母さん、砂漠は広かったよ、砂が一杯だった!」
家人も砂丘の広さを味わう事ができて、楽しかったようだ。
父親として、娘が嬉々として感動している側に居るのは、
週末家族としての、醍醐味だからね。


・・・お母さんも一緒に行きたかったよ。今日行ったコースは、
全然知らなかった所ばかりだったんだよ・・・。
初めての梨狩り、初めての鳥取砂丘、初めての湯村温泉だったのに。


夢千代日記』は、やっぱり憧れだった。別に私はサユリストではないが、
原爆症という病を抱えつつ、温泉で働く芸者の主人公、吉永小百合
金魚ちゃんの秋吉久美子、とぼけた持ち味の菊奴、樹木希林
若き日の石坂浩二も良かったんだよねえ。
どんな感じの温泉宿だったのか、少しでも子供の時の記憶を頼りに
旅情を味わいたかったのだけれど。
(団体バス旅行で味わえるのが、知れているとしても・・・)


娘は足湯が楽しかったらしい。
家人は、私の昔のテレビドラマに対する郷愁など知らないから、
個室で食した豪華な昼食が、いたくお気に召した様子。
今、食欲も失って痛みと我慢比べをしている私には
羨ましい限りのメニューの数々。ああ。早く食べられるようになりたい。


梨6個、竹の菜箸、耳掻き、砂丘ラッキョウ漬、もろみ味噌
これが本日のお土産でした。お父さん、お疲れ様。
家人の労をねぎらい、私たちは日常生活の場へ戻る。
また、お互いの仕事の日々へ向けて。


地下鉄の中。ごそごそ運動靴を脱ぎ始める娘。???
「お母さん、まだ、お土産あるんだ、実はね・・・」何かな?
「砂漠の砂を持って帰ろうと思って、ここに入れておいたんだ。
 ね、見えるでしょ。こんな砂がいっぱいあったんだよ。」
何と、娘は運動靴に溜まった砂を見せてくれた。笑えた。嬉しかった。
ありがとう、優しい娘。梨狩りがメインだと思っていたのに、
鳥取砂丘の広々とした景色と空間が、それほどに楽しかったんだね。
良かったね。良い旅行だったね。
帰宅してから家人に電話でこの話をすると、
「甲子園の砂じゃあるまいし」と笑っていたが。


覚えていてね。大きくなった時も。ママがお留守番してて、
パパと2人で旅行に行ったことを。もぎたての梨の美味しさ、
砂丘の砂を持って帰ってきたこと。自分の感動を。
覚えていてね、大人になっても。
いつまでも、感動できること、それが願い。


夜、11時15分、帰宅。金木犀の香りの夜。
急いでベッドへ。幸せの余韻を持って眠ろう。