Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

検査当日

朝6時に起床、というか、昨夜のマグコロールのせいで目が覚める。
嫌々ニフレックを溶かして、2リットルの飲み薬を作って、
6時半から少しずつ。でも、これは本当にポカリ味で、
最初の一口でむっと来たものの、10時半までに全部飲みきった。
思いのほか飲めるものだと、気を良くした。
仕事を持って帰ってきていたが、さすがに集中できないから、
トイレでは漫画「陰陽師」をお供に過ごし、その後お昼寝。
今までに、色々調べてきていたけれど、体もだるいし、
色々調べて予備知識があるとしても、実際、検査のことを思うと・・・。


2時、出かける支度。さてと、・・・!!? え? 車のキーが無い。
キーケースには家の鍵だけ。何でえ? どうしたん?
何故? 夕べ鍵かけて、車庫から家まで・・・? キー、キー
キーレスキーはどこ? これから検査に出かけるのに、物凄く動揺。
縁起でもない、出かける間際になって、なんで?
でも、病院の予約時間に遅れてしまう。予備のキーで出発。
この辺から確実に気分は、「盛り下がる」縁起でもない。
こんなんで、本当に、検査初体験は大丈夫なのか?



2週間前は検査について詳しく説明があったのに、今日は何にも。
軽い吐き気、念のためにもう1度、トイレへ。
14:45 誰も、何も話しかけてくれない。ディスポの下着を渡され、
入院着に着替え、横になっているように指示されただけ。
ちょっと不安になった。いつまでこのカーテンの中で待てばいい?
お着替え、ルート確保。いつもこれは痛い、? 2本ライン、師長さん?
地下検査室へ、緑色の服の看護師と共に点滴を持って歩いて降りる。


眼鏡しか見えないマスクの、緑色の先生が、「おなかが痛いの?」と訊く。
「検査は初めて?」??? どういうこと、何故私が検査を受けるか、
この先生は知らないんだ。本当に出前の、内視鏡だけの先生?
「あの、9月の22日に・・・」入院からの経過を話す。
これって、この部屋で、今、私が直接話すことなのか?
「憩室炎で?ああ、そう・・・」


「ああ、そう」って、先生は何を見るつもりだったの?
もちろん、それ以外のものがあれば、本当に困る。でも、・・・
検査室での会話で、患者の情報は何も連絡されていないということが
はっきりしたので、「この場」に対する信頼感があっさり消えて、
検査に対する不安と不信感だけが、いやというほど増した。
キーを失くしたことといい、何だか嫌な予感。


15:10 最初は左を向いて寝たまま、思ったほど痛くない。
そりゃね、ある程度まで痛いのは我慢できる。
目の前のモニターに、赤い点々が映る度、ドキッとする。
空気が入ってくるのがわかる。それから、方向が変わるのも。
空気が入って、腸が広がる瞬間、方向転換する感じが痛い。
ドクターが看護師に、しっかり腹部を押さえる様に、
手を離すなと、何度も言っているのが聞こえる。
何で、何度も言わないといけないわけ?
私は動かずに我慢しているのに? 何が変なんだろう?


ドクターが呟く。「難しい腸だなあ」それってどういう事よ?
向きを変える。右向きに寝たのでモニターが見えなくなって、
余計な不安が募る。だって、どんどん痛くなる。さっきまでと違う。
だんだん我慢できなくなってくる。肩で息をしている自分に気が付く。
ドクターが尋ねる。「おなかの手術をした事がある?」
同じことを、耳元で看護師が訊く。「ありません」
「難しい腸で、なかなか奥に入っていかない」という会話が聞こえる。
腸のせいなのか? 本当か? 
本当にそうなのか、おいと、無言で心の中で突っ込んでいる私。


「もう少し我慢してね。」を声をかけられるが、それよりも、
腹部に全身でのっかって押すのを辞めて欲しい。余計に苦しい。
下腹部を押さえたいの? それとも真ん中? 横?
いったい、どこを押さえたいっていうの?
あちこち、押さえられているのと、空気が入ってくる不快感。
時々刺すような痛み。もう一度左を向くように言われる。
モニター画面。洞窟の向こうにカメラが行かずに、
引っ掛かるように進んでいないのがわかる。あーあ。
いつまで我慢すればいいのかな。15分ぐらいって聞いていたのに、
違うじゃん、明らかに、長引いている。


ドクターから、ドルミカム用意するように指示が出る。
看護師が体重を訊く。やだ。これを入れたら何にも見えなくなるじゃん。
でも、観念した。後で見せてくれるんだろうと思って。
ドルミカム、初体験。今回は、初体験が多いなあ。
ルートから静注4のドクター指示、覚えているのはそこまで。
16:00過ぎ 気が付いたら、30分の空白。ドクターはもう居なかった。
看護師から、癒着があって左側だけ、右側は見られなかったと言われた。
主治医が、鎮静剤投与後来ていたらしいが、全然気づかなかった。
看護師曰く、私は目を開けていたらしいが、まったく記憶がない。
目を開けて寝ていたのか? あーあ、不気味だ、我ながら。
車椅子で、外来の点滴室のベッドへ。疲れた。1時間眠る。


17:00 N主治医来る。入院中痛かった左腹部で癒着があって、
それ以上無理に入れると腸に傷をつけたりしかねないから、
右側の検査は中止したとのこと。(やっぱり盲腸まで行かなかったんだな)
で、希望するなら、造影剤での検査もするけれど、希望しないなら、
今日で検査・治療はおしまい、また痛くなるようなら来てね、という。


ちょっと、ちょっと、待って。説明、それだけ? 憩室炎の可能性大で
入院したんだから、それは調べてどうだったか、何も言わずに?
帰りかける先生に、寝たままで「先生、憩室炎はどうだったんですか?」
「ああ、普通は日本人は右側に多いんだけれど、あなたは左側で・・・、」
「で?」「10個以上あったかなあ。きっと右側まで見られたら、
もっとあっただろうなあ。その可能性はあるねえ。」
そんなあ・・・。そんなにいっぱい要らないよう・・・
「他に何も無かったですか?」「ん?まあ今回見た限りではね、じゃ。」
ベッド横の説明で、これで終わり? 私、画像、見たいよ。

      
痛くならないように願って、生活するしかないのかよ。
全く、受身で。散らすか手術かだけで? 「じゃ」ってさー。
看護師は車を運転して帰るのは危ないから、迎えをという。
別の看護師は、まだ寝て置くようにという。
結局、7時半まで体を横にして、同室だった人を見舞い、
8時過ぎ、地下の駐車場から、半ばやけで運転して帰った。
別に、悪いものが見つかったわけでも、何でもない。
でも、安心感も検査を受けた満足感も、何も無かった。
結果を待っていた親には、原因は何だ、病院を変えろと怒鳴られ、
家人には電話で、別の病院で精密検査をしたらと言われる。


疲れた。今は何にもしたくない。
帰宅すると、娘が、「お母さん、ソファに車の鍵が落ちてたよ」
・・・、娘よ、君が一番、私の役に立つ。
周りは問い詰め、責める。私の不安を煽るだけだ。
誰も、何も無くて良かったとは、言わない。
10時間たった今も、おなかはゴロゴロ言っている。はぁ・・・。


今、テレビで「エンタープライズ」のドクターだけが、
「焦らない、のんびりですよ」と言っている。なんてタイムリーなんだ。
未来でも医療を象徴する記号、杖に巻きついた蛇のデザインがある、
エンタープライズの医療室のドアを、
何とも言えない気持ちで眺める、真夜中の私。

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