Festina Lente2

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お風呂から出られない

お風呂から出られない。何のことはない。
そのまま、寝てしまう。これは、まだ元気な場合の話。

自分独りだと、考え事はそのまま夢の中へ、お持ち帰り仕事のように。
お風呂の中で寝ながら布団で寝ている夢を見ていたり、
仕事の夢だったり、寝ながら夢の中で1日が過ぎる。
お風呂の中で、そのまま一日の生活を繰り返して、巻き戻し巻き戻し。
自分の寝床があるのに、そこへ向かう前に、沈没したまま出られない。
たまに本当に溺れてむせる。(幸いそれで意識がはっきりする時も)
動こうとしても、再び起きられず眠りに堕ちる。
この、繰り返し。


アパートマンションの家は、ユニットバスで湯冷めしにくい。
それが災いして、ぬるま湯に浸る。ふやけないのが不思議なくらい。
もとい、最初からふやけている。
ああ、このまま溶けていけばいいのに、脂肪。
起きられない、出られない。追い炊きができないお風呂で、
ゆっくりと冷めていく。なのに、肝心の意識が醒めない。
夢と夢、夢と現(うつつ)の間を渡り歩いて、熟睡のない、夜更け、
真夜中、深夜、丑三つ時、夜明け前に、抜け殻の様になって、
やっとこさ水から上がって、風邪も引かずに寝床にたどり着ければ万歳。
これはまだ、元気な場合の話。

実は、独りでいられる時間を確保したい。
たとえ、風呂場の中であっても、一人の時間を確保したい。
娘を先に眠らせた後で、独りの時間を確保したい。
悩み事が多い場合、というか、心の整理がつかない時。
お風呂の中で、殆ど金縛り状態になる。(こうなるわかっていても)
もっとも、緩やかな金縛りなので、動こうと思っても動けないだけ。


そう、仕事がつめばつむほど、お風呂から出られない。
仕事が暇でも、心の中にわだかまりがあればお風呂から出られない。
ひたひたに浸って、浸しても浸しても、乾いている自分自身を持て余し、
お湯が冷めてくるのがわかっていても、出られずに体は冷えていく。


明け方に、熱いシャワーを浴びて、体を温め直してから寝床に向かって
無理やり体を横にする。そして、あっという間に朝になる。
何事もなかった振りをして、元気な顔? で一日を始める。
そうしなくてもいい、休日の前日は、夜からが本番。


1週間の人間の形をしていた疲れを、体を思いっきりふやけさせて取る。
乾いた体、乾いた心、自分だけを抱きしめるように、膝を抱え、
生温いお湯に、甘えるように凭れて、沈み、夢ならぬ夢を見る。
金縛りが解けても、からだの感覚が戻っても、惰眠をむさぼり、
眠り足らぬ眠りの中で、自分を解体し、休日レベルに再生する。
儀式のような、怠惰な作業。

光と水の旋律

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のほほん風呂  おうちでカンタン季節の湯

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