Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

休日授業参観

土曜日。貴重な休日ではあるが、休日授業参観である。
父親参観などとは言わない。何しろ男女共同参画社会、である。
男女平等、片親は珍しくも何ともない当節。
母子家庭父子家庭などとは言わない。
最近では、一人親家庭と言うのである。一人っ子ではなく一人親・・・。
母は集う。母も父も集う、参観日。


黄色で目立つ保護者証明カードを首からぶら下げ、
(当然のことながら、学校への出入りチェックは厳しい昨今)
学童でも顔なじみの門番のおじさんに挨拶。
全学年だから、大変な騒ぎだ。保護者全員来るわけではないが。
まあ、中にはファッションショーみたいな格好の母親もいるし、
「へそ」だしでブランド物をぶら下げた、TPOにそぐわぬ保護者?もいるが、
小さな弟妹を抱きかかえ、大わらわの保護者もほほえましく賑やかな
小学校の参観日である。さて、1年4組は・・・と。


とにかく、2時間目、3時間目、4時間目はPTAの講演会と、
午前中目一杯、授業参観day。親としても生まれて初めての体験。
幸いなことに、先生は3時間目からでもいいよと生徒に言ったらしい。
そうだろう、2時間びったり、教室の後ろに張り付かれる緊張感たるや、
担任教師としては、辛いところがあるだろう。こちらも幸い体調不良。
2時間立ちっ放しは、遠慮させてもらい、3時間目から参観に臨んだ。


授業の始まる前の休み時間、教室の外の壁に貼ってある
「大きなかぶ」を題材にした、みんなの絵(初めての水彩画)を眺める。
どの子の絵も生き生きと描かれていて、とても迫力がある。
筆を使うのが嬉しいというか、色にも線にも勢いがあり、たくましい。
自分の娘の絵を見ても、色鉛筆やサインペンの時と違い、
水彩画をこんなふうに描くのかという、今まで知らなかった娘の世界に
改めて驚かされた。こんなふうに、世界を切り取って描くのだということに。
日々、連絡ノートの作文で娘の成長を感じてはいたが、
このように目に見える形で改めて認識すると、何とも言えず新鮮な感動。



教室の後ろには、「くじらぐも」の題材に沿った楽しいディスプレイ。
白い綿を貼った鯨雲の上に、生徒一人一人が作った自分の姿。
雲の上でジャンプしている娘の顔は、ウインクしている。
雲を綿菓子にして食べたり、寝転んだりしている友達の絵姿も楽しい。
クレヨンで描かれたこの自画像は、先ほどの水彩画と異なり、
保育園時代のちまちました、かわいらしいタッチで描かれている。
このギャップが何とも言えない。
一人の子供の持っている様々な側面が、同じ絵を描くにしても、
異なる側面を持って現れる。こういうものを把握・実感できる時が、
親として、教師としての醍醐味では、ある。



もう一つのディスプレイは、「秋探し」
松ぼっくりやいが付きの栗、稲穂や草の葉で編んだばった、どんぐり。
様々な「秋」が飾られていた。でもって、3時間目は、秋探しの
収穫を元に「生活科」の授業。秋の部屋飾りを創ろうだ。
押し花ならぬ、押し落ち葉。たくさんの木の実。
それぞれの名前を復習した後、思い思いに切り抜いたダンボールに
貼り付けていく。・・・うちの娘は立体的な造詣能力は無いな。
親としては苦笑せざるを得ない作品だが、まあ、仕方がない。


それにしても、お店に出せるようなリース上の飾りや、
写真たてを作っている生徒の何と多いことか。
まあ、お母さんも少し手伝ってということだが、
鮮やかな赤い桜の葉を敷き詰めて、クリスマスリース
仕上げているのを見ると、数珠玉で綴られた、うちの娘の
「べんきょうちゅう」という部屋飾りは、何なんだろう?
(ちなみに娘には自分の勉強部屋は無い)
部屋が欲しいっていう気持ちの、「アピール」かもしれない。
ごめんよ。そう、部屋という部屋、物置、押入れの中まで、
みんなかーちゃんの本で、占領されているからな。すまない。
整理能力が無くて。君の立体感覚の欠如は、かーちゃんのせいだな。


4時間目、PTA講演会は、親子一緒に腹話術を楽しむ会だった。
テレビではなく、実際に間近に腹話術を見るのは初めてなので、
とても楽しめた。こんなPTAの講演会だったら、気楽でいいなあ。
もう一つ、授業参観の楽しみは、保育園時代のママ仲間に会えること。
やっぱり、ほんの少しでも見知った顔に会えるのは、楽しいし懐かしい。
みんな、働きながら6年間を共にした、戦友みたいなものだから。
(むろん、小学校入学と同時に仕事を辞めてしまった人もいるが)


夫婦揃って来ているご家庭を見ると、さすがに羨ましい。でも仕方ない。
家人は昨日は定期通院、今日は仕事でのお付き合いなのだ。
元気で自分の世界をキープしてくれていることが、家族の幸せだ。
娘と手を繋いで家路をたどる。昼間明るいうちから、こんなことができる。
ささやかな幸せ。稲刈りの済んだ、小雨の降る道を辿る。


でも、さすがに疲れた。頭痛、吐き気、腹痛。何とも言えないけだるさ。
娘と久しぶりに、保育園時代に戻って、お昼寝した土曜の午後。
そう、再び私は亀になる。