Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

時雨殿から天竜寺へ

自然の色は刻一刻と変わる。天気が荒れ模様の予報とあれば、
見頃は本日が最後と思い定めて、再び家族で2度目の京都へ。
阪急・嵐電1日周遊パスを片手に、乗り継ぎ乗り継ぎで、桂から嵐山。
何年ぶりで渡月橋を渡るのだろう? 嵯峨野で湯豆腐を味わったのは? 
保津川下りを楽しんだのは、四半世紀も前だ。歳だなあ。


紅葉は期待していたほどではなかったようで、
少々当てが外れた感の家人の表情。
それ以前に休日に京都に来るなんて馬鹿だったと、私。
そう、心斎橋以上の人出か? と言いたくなる橋の上の有様だ。
観光客にはなりたくないが、所詮、観光客にならざるを得ない。
せめて人ごみから離れようと川沿いに歩いていくと、運良く
白無垢綿帽子、お嫁入りの行列に出くわした。
これ幸いと娘に見せて、説明する。吉兆なり、何処で宴席ぞ?


ぜひ来て見たかったハイテク体験型・小倉百人一首博物館、時雨殿
http://www.shigureden.com/  幸い昼時、人も少ない。
入場料は800円とお安くは無いが、色々遊べて楽しい。
できれば、百人一首の知識や古典の知識があったほうがより楽しめるが、
ナビを使って巨大カルタを楽しんだり、
京都の町を鳥模様に導かれて空中散歩したり、
和歌の朗詠を聞いたり、歌意を聴いたりできるのは面白い。
耳で和歌を楽しめるというのは、普段味わえない趣向だ。
黙読で読むのは、幾らでもできるけれどね。
古典とハイテクの合体している展示内容。
2階には衣装を身に着けた等身大の歌人のマネキン。
立体国語便覧みたいだ。

田辺聖子の小倉百人一首 (角川文庫)

田辺聖子の小倉百人一首 (角川文庫)


ニンテンドーフロアビジョンでの巨大カルタ取り。
娘は何とこのカルタで約2分間に7枚取り、1位に輝いた。
動体視力というか、ナビの絵柄と同じものを瞬時に探しだし、
最初の文字が同じかどうかで確認して、ペンでGETマークを押す。
手元足元両方見ながら動かなければならないので、
かーちゃんは眩暈がしそうになった。やれやれ。
もっとも、入り口で案内の着物姿のお姉さんから注意を受けていた。
「画面を見て気分が悪くなられたら、ナビと足元の画面から離れて
休憩してください」と。ケータイが嫌いなかーちゃんが、
ヘロヘロになりかけたのも無理はない。


謎解きの井筒ではクイズ形式で、和歌に様々な角度からチャレンジ。
井戸を覗き込む趣向が楽しい。触ると画面が水面のように揺れる。
画面の中の清少納言や蝉丸・紫式部と競技カルタを楽しむコーナーも、
等身大のバーチャルなゲームだと思えば、よく工夫されている。
何度対戦しても、最終戦までいけず中級者で終わってしまった。
(体感カルタ五番勝負、四番でいつも紫式部に負けてしまう)
ほっこりの中級者、魂の中級者などなど色々評価される。
それにしても、悔しい。昔覚えたはずの百人一首
体と目と記憶が連動しないもどかしさ。ああ。
でも、これで古典が苦手な大人や子供も、
少しは興味を持つようになるかな? だと嬉しいのだけれど。


人の波に押されて、天竜寺。実は秋の庭を見に来たのは初めて。
ここは、30年ぶり位になるか・・・。紅葉もいいが、庭を散策するだけで
結構な広さ。真面目に見て回ると、この紅葉には申し訳ないが疲れる。
普段の運動不足もたたっている。行きの電車から立ちっ放しだっただけに、
「足が疲れた」と娘のブーイング。さも、ありなん。かーちゃんもだよ。
「方丈」の建物、曹源池庭園と借景。JRの電車の音が聞こえる。
竜や達磨の絵もそれなりに味わいがあるけれど、娘にとっては
やはり、自分でシャッターを押せる、外の景色が一番だったようだ。


臨済宗天竜寺派総本山、夢想国師の庭で名高いこの寺は、
世界文化遺産。ご存知でしたか?
来るまで知らなかったが、今は特別拝観の時期だったらしい。
説明書きに見える、昔懐かしい日本史の教科書で習った、
後醍醐天皇足利尊氏、などの人名。


高校入試後、合格発表までの息抜きに友人とこの寺へ来たことがある。
実を言うと、「枝垂桜」と漢字で書いてあったのが、わからなかった。
二人して読めなかった間抜けな中学生だったが、今ではどちらも同業者。
世の中、恐ろしいもんである。まあ、はや、幾年(いくとせ)で、時効かな。
え、今は大丈夫ですって、もちろん。
久しぶりに訪れて、つまらない思い出まで蘇るなあ。