広隆寺と嵐山温泉
30年以上前の思い出に耽っている間に、
娘から「お昼ご飯まだ?」の催促。
しかし、子供連れのお出かけというものは、何が起こるかわからないので
予約を入れて、上等の懐石料理という訳には行かない。
仕方なしに、その辺の小さな店を物色する。
運よく家族で座れるところを見つけて、娘は天ぷらうどん、
私は湯豆腐定食、家人がにしん蕎麦定食。
超満員電車の京福電鉄。大急ぎで、太秦は広隆寺へ向かう。
ここも30年ぶり以上・・・秋に訪れるのは初めてだ。
だが4時半という時刻ゆえ、古都にふさわしい静寂が場を制している。
先ほどの殺伐とした雑踏の紅葉と打って変わって、名刹に恥じぬ佇まい。
聖徳太子廟に拝礼し、急いで霊宝殿に向かう。
何と言っても国宝第1号の半跏思惟像に、もう一度会いたかった。
日本史で有名な聖徳太子と、その時代活躍した渡来人秦河勝や、
その他の豪族争いなどは、山岸涼子の漫画「日出処の天子」で
覚えたと言っても過言ではない。
ちなみに、我が実家の初詣は聖徳太子と母君が葬られている叡福寺である。
嵐山まで来たならば、どうしても広隆寺で仏像を眺めたかった。
殆ど人気のない闇に近い夕暮れ。十二神将や不空羂索観音、
静まり返った仏像達の前で正座し、娘と二人で祈る。
不動明王の護摩木に願い事を書いて供える。
家内安全、病気平癒・・・、願い事は尽きない。
欲深いと笑われようとも。
再び、京福電鉄で嵐山駅にとって帰す。駅のホームには足湯がある。
(嵐山温泉駅の足湯:ロゴ・イラスト入りタオル付き150円)
やや小雨のぱらつく中、家族3人でのんびり足湯で疲れを癒し、
夜間特別拝観の宝厳院の長蛇の列に、並ぶわけにもいかないので
塀の外から、ライトアップされた紅葉を愛でて、中の景色を偲んだ。
川沿いの夜風に吹かれたせいか、かなり寒い。
渡月橋の照明は、少しずつその色を変え目を楽しませてくれた。
親子3人、子供連れにしてはまたまた夜間に掛かる外出だったが、
紅葉は来年まで見られない。季節ものは、再び巡り合えるかどうか、
チラリときわどい思いを脳裏に点灯させる。
今日もまた、一日、思い出作り。
ふう、楽しかったね。また来たいね。・・・また来ようね。
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