変換ミス

漢字検定協会の出す面白いニュース。例の変換ミスね。はいはい。
そういう季節になったのね。この間今年の漢字は？
「命」だった。命を粗末にする年、粗末にする国の「命」アピール。

今までの傑作集。少し揚げてみる。
正解はお金です→政界はお金です、
規制中で渋滞だ→寄生虫で重体だ、
正しいようです→但し異様です、
お客様用トイレ→お客彷徨うトイレ
地区陸上大会→チクリ苦情大会

逢いたいのもう一度→会いたい 飲もう一度、
常識力検定→上司気力検定　
気に入ったのを太字にしてみました。いや、ほんの気晴らし。

私が気に入っているのは、昔某英会話学校の宣伝。
「mother」「ｍ」を取ったら「other」他人です、という奴。
パソコンでローマ字入力をしていると、時々子音が抜けて
？？という文字変換が行われる。実は、私は一人で仕事中に笑っている。

対人関係→愛人関係、知らない→要らない
叶わない→穴はない、心理がわからない→真意がわからない
などなど、すぐに思いつくのはあんまり無いけれど。
どこかにコメントした後、自分で見て？？？　という時は多い。
子音が抜けて漢字変換ミスをすると、文脈がもう笑える。
いや、笑っちゃいかん（今も遺憾と出てきた）と思いつつ、
仕事をしている。

漢字―生い立ちとその背景 (岩波新書)

神さまがくれた漢字たち (よりみちパン!セ)

でも、笑えない変換ミスに毎日嘆かわしいことも多い。
それは変換というよりも根本的なミスなのだが。
恋しい恋しいが変しい変しいになるような・・・。

今の政策や考え方では生活の質を落として、
一部の勝ち（価値）組と、多数の負け（お荷物）組に分けて、
物事を進めようとしているらしい。
TVや新聞でかまびすしい「漢字検定」が
何故、検定として取り沙汰されるか。
日本そのものが「読み書きそろばん」の基本的能力を、
いわゆる、知的体力を失ってきているから。
実は、半数以上の高校生は3級も通らない。
（一斉にテストをすればわかる）受験者が、ではない。
受験料を払って受けようとする人間は、勉強している。

問題は、そういうものにチャレンジしようともしない、
世間で必要とされる基本的な学力が欠けたまま、
「名ばかりの学校」にプールされている学生の能力・在り方だ。
教科書の字がかろうじて読めるだけで、意味を知らない。
辞書を引かない。引こうともしない。そう、わかろうともしない。
会話だけで生きているから、本は読まないから、必要ないという。
マニュアルは不要。ワープロ機能を使っても、辞書機能、不要。
ケータイが勝手に変換してくれる。文脈は自分で取らない。
そんなこと考えるのはしんどいから。機械任せ。
文章は、単純明快がコミュニケーションの基本だと習ったからと
あっけらかんと言ってのける世代・・・が問題なのだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　

そんな学生（小・中・高・大含めて）が増えている。
間違っても、みんな間違っているから恥ずかしくないのだそうだ。
そういうのを、お互い様って言っていいんだろうか。
今時の学生は、漢字が書けない。それで、平気でいる。
在りのままの自分を見せているから、正直でいいのだそうだ
そういう問題か？　物事のありよう、文脈自体がずれていて
変換ミスで済まされない誤解を生み出していると思うのだが・・・。
医学生がドイツ語を知らない、等というようなレベルの話ではない。

世の中には単純に変換できないもの、沢山ある。
労働力と収入。サービスはどれだけ？
夜に配達してくれる宅急便。
深夜タクシー割増料金があって、宅配は？
24時間電話相談。無料？　その分ボランティア？　
専門外だからわからないと、言うための口実？
何もかも、外郭団体任せ。機能的に見えて、実は天下り先。
アウトソースで、外任せで、余剰人員を削減して、リストラして、
本当に必要なものまで一緒くたに削って、どうするつもり？
どこかの宣伝じゃないけれど、「プライスレス」
値段が付けられないものまで捨てようとしている国、日本。

ホワイトカラーの専門職は、時間制限無しで結果が出るまで働けと？
それが基本的にはサービス業の範疇だから？
出て行くばかりで、インプットできない環境、充電できない毎日。
専門書ばかり読んで生きているわけじゃない。
趣味だけで生きていくわけじゃない。仮に、心身を疲弊させると、
自己管理が悪いといって、組織の健全性を強調するが
労働基準法を「在るが無きもの」にして、どういうことよ？

自分で買い物もせず、食事も作らず、掃除もしない、
銀行も行かず、役所の手続きで待たされることも無く、
郵便の封を開けることも無い。予定表の書き込みもせず、
覚えもせず、管理は秘書任せ。何かを考えているふり、のみ？
口述筆記でキーボードに触ることも無い、報告だけ聞いて、
その作成にかかった膨大な時間を足蹴にしていく連中。
人任せで生きている人たちの作る法案、政策、条例。
生活の大部分が手作りなのがわからず、体代機能を果たす存在が
経済に寄与・還元できると思っている、輩（やから）。
生活そのものを、自分の手で切り盛りしているわけではない奴に。
何がわかるというのだろう・・・。

変換ミスだと思うよ。民意を受け止めていない。
自分たち流に勝手に解釈している、この世の流れ。
変換ミスだらけ。相手に伝わらない、誠意の無い文章。
変換ミスだらけ、この国の在り方。教育も福祉も何もかも。
変換ミスだらけ。生活に必要な時間を、言葉を、
それを育て紡ぐ心を効率で図ろうとする、その、頭。
壊れている、変換ミスだらけだ。
誠意の無い政策だらけ・・・。

心の変換ミスは、取り返しが付かない。
生活の変換ミスは、心身を蝕むのに。
理想は必要。でも、理想に合わせた生活をするのではない。
理想を実現させるための法律は必要。
しかし、現実を即、破壊してどうなる？
生活を継続させながら、理想に近づけるのが先決。
生活の質を維持しつつ、生きていく時間を確保できるように。

SOS、SOS、SOS、SOS、今の生活。
QOL、QOL、QOL、QOL、スローフードの世界。
自分の世界を自分の力で「変換している実感」が欲しい。
自分の生活を、組み立て支えている「生き甲斐」が。

仕事の禁句変換辞典―モノは言いよう

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こころのウイルス