Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

家族の食卓にしばしの別れを

朝の雨は霙になり、午後からカラリと晴れた。
うっかり2日間。干したままにした塩豚はカラスに取られ、
ベランダには、網だけが破れてぶら下がる。
この静かで穏やかな生活とも、朝寝とも、お別れ。


家人宅から引き上げる。普段の拠点地へ、荷物を持って大移動。
その前に、掃除・洗濯、もろもろ、お片づけ。
けっこうばたばた時間がかかる。
ほんの少ししか滞在しないのに、いつも大荷物で呆れられる。
まあ、旅行気分を無意識のうちに味わおうとしているのかも。


1日中この部屋で、御飯ばかり作っていた様な気がする。
娘が訊く。「今日の朝御飯はなーに?」「昼御飯はなーに?」
「晩御飯はなーに?」「おやつはなーに?」「お茶は無いの?」
何だか1日中、御飯ばかり気にしていた様な気がする。
よそ様のブログにあるような美しい見栄えではなく、
「さあ、食べるぞ」というシロモノ。
ポトフと言えば響きはいいが、ごった煮であると言えばうーん・・・。
シチューと言うと旨そうだが、煮込みだと言うと何だかダサい。
水餃子といえば中華だが、うちでは具沢山の味噌汁風鍋だ。


だが、お日様に干したばかりの布団の匂いを嗅ぐように、
作りたての食事の湯気を見つめられる時間があるのは、心地よい。
時間に終われて殺伐と、とりあえず「物を口に入れる」生活ではなく、
「お箸を並べて」「右が頭だよねー?」「そうだよー」と
のんびりやり取りしながら、炊き立ての御飯をよそう。
古代米を散らして、薄紫に染まったポリフェノールたっぷりの御飯。
白菜となめこと絹ごしの味噌汁。キャベツの千切りに胡麻マヨネーズ。
トマトとブロッコリー、ちょいと奮発した鯨のカツ。
蜜入りリンゴにウーロン茶、生マシュマロのデザート。


普段の日常では味わえない贅沢。歩いて買い物に行くんだよ。
(道が狭くて車が使えない、坂道で自転車もしんどい)
デパートでお惣菜を買ってみたよ。
(ふだん、スーパーのお惣菜を買っても文句をいう人がいない)
今まで口にしたことの無い生マシュマロ。
(流行のスゥイートを味わってみたかったの)
のんびりと言えば品もあるが、だらだらと炬燵猫になるだけ。


休暇が終わり、お片づけ。さらば、家族の食卓よ。
ゆっくり家族の顔を眺めながら、「食を満たす」喜びに浸った時間よ。
惰眠をむさぼった布団よ。結露した窓ガラスよ。
毛布やタオルケットを干した物干し竿よ。
お前達も寂しいだろう、私達がいなくなれば。
新年の寄せ植えの鉢よ、縁起物の猪の置物よ、新しいカレンダーよ。
ちゃんとそこに居るように。私達は、また来る。


それまでみんなは、一人で戦う家人を守るのだ。
家族の息吹をそこここに漂わせて、寂しさもまた、
そのように感じる寂しさもまた、家族の一員であるから。
引き上げの時、私は念じる。
家族の痕跡が、気配がいつまでも残りますように。
お守りとして、あなたを包みますように。
そしてあなたが寂しく感じることに、私の安堵と感謝があることを
神様、こんな自分勝手な祈りをお聞き届け下さい。

世界に一つだけの花

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かんたんクッキング?ときめきデザート

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