Festina Lente2

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マスクと目薬

職場でも電車の中でもマスクが多い。
昔のすぐに湿って苦しくなる、ごわごわガーゼと違って、
眼鏡の曇らない優れもののマスクがあるので、
いっそうマスク愛用者が増えたような感がある。
よい意味で言えば予防、人にうつさない、自衛。
インフルエンザは猛威を振るっていて、職場でも困っている。
うつさない、貰ってこない、それが大切。


咳、鼻水もひどい。花粉症のこの季節。マスク愛用者は増える。
しかし、軽度の私はマスクを使用しないで過ごしている。
急性副鼻腔炎がやや軽快してきて、目下の所、敵は目の痒み。
本日は目医者で長い待ち時間を過ごし、視力検査をされて
(検査代で毎回取られているような気がする・・・
 丁寧なのは嬉しいのだけれど)


「あー、かなりぶつぶつが出てアレルギー反応ですね。
 絶対にこすらないでくださいね。」
無意識にこすっちゃうんだよ、これが。
「いつもは乾燥しているのに、涙目でウルウルしていますから、
 今日はヒアルロン酸は無しでも大丈夫ですね」
アレルギーでウルウルしても、ちっとも嬉しくない。
やっと手にいれた目薬2本。


目と鼻って本当に繋がっているよね。この目薬をさすと
鼻水も止まるもんね。お薬は偉大だ・・・。
それに比べて、娘の副鼻腔炎は一向に良くならない。
咳も続いているし、鼻声も直らないし、どうしたもんだか。
もう我慢強く3週間もお薬飲んでいるのに、
軽快する様子が見受けられない。
自分よりも娘の呼吸器の状態が心配だ。


一気に寒が戻って、みんな体調を崩している。
来週から娘にとってのおばあちゃん、母が入院する。
気ぜわしい年度末。また続く病院通いかと思った途端に、
胸の奥から辛い思い出が、むくむくむく。

心は元気ですか

心は元気ですか

元気の素

元気の素


マスクは嫌だ。抵抗力の無い患者を守るため、
マスクは嫌だ。主治医の顔も、看護師の顔も見えない、
目だけが覗いている、何を考えているのかわからない。
マスクは嫌だ、クリーンベッドの中に横たわる人、
あれは誰? あれは・・・。
マスクは嫌だ、誰だかわからない人を相手にしているようで
マスクは嫌だ、何もかも秘密にして隠しているでしょ?


怖い怖いマスク姿の思い出が、ちょっとしたblack boxから
もやもやと立ち上り、気弱になっている自分を脅かす。
どうしても、これは相手も自分も守るもの。
免疫力の低下している人間に接する時の、礼儀・基本だと思えない。
何だか「自分から離れている人」に接するための小道具、
そんなふうに思えて怖くなってくる。


マスクが怖い。マスク姿が怖い。何を言い出すのかが怖い。
何を宣告されるのかが怖い。
ちょうどそれは白衣を見て怯える、小さな子供のように。
いつもと服装の違う家族に吠える、子犬のように。
訳のわからないものから危害を与えられるような、
そんな得体の知れない不安感だけが、押し寄せてくる。


だから、何とか持ちこたえていきたい。
自分を守るため、人を守るため、
白いマスクが幽霊の一部に見えないように、
気遣いや礼儀や防御のアイテムであると認識できるように
怖い夢を追い払わないといけない。


かーちゃんは、こんなふうに「枯れ尾花」に怯えている。
春が間近になってきても、心の中の病院の風景は、
寂しい野原のススキ畑、
黄葉の散り果てた、目に刺さるような公孫樹の枝。
どこまでも続く長い廊下、重い扉、個室。
こんな景色ばかり。
マスクには罪はない。マスクは必要。
ただ、心がひいた風邪にはどんなマスクが必要なのか。
心にあいた穴には、何を被せればいいのか、
ちょっと気弱になった時に、
マスクは「思い出させるもの」だから。


熱もなく、「アレルギーですね」と言われ、
咳の続く娘が、元気に登校する。
マスクをかけて。
自分からおねだりして買って貰ったマスクをかけて。
娘よ、君はいとも簡単に私のお化けをくっつけていくんだね。
大好きで、楽しい学校に行くんだね。
マスクをお供に行くんだね。


娘よ。マイナーな思い出に汚染されていない、
君の心の健康さは、かーちゃんにとってはカンフルに等しい。
娘よ、君の調子が早く良くなってくれたら、
かーちゃんも落ち込まずに、もっと頑張れる。
娘よ、君は無理していないか?
かーちゃんのために無理をさせていないか?
かーちゃんは、君のためのカンフルになっているか?
娘よ。健気な娘よ。

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