Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

母の退院

本日は母の誕生日、そして退院日。血圧も、食欲も安定、
外科の手術って本当に回復が早い。退院も早い。
以前のように、頻繁な傷口の消毒も無い。
皮膚は本来盛り上がって治ろうとするからと、圧迫するため
テープで1ヶ月は押さえるようにと言われている。


父が迎えにいっている間、半休を取って家の中を改め、
掃除し、軽めの布団を用意して床を敷いて、
玄関と勝手口に菜の花を木瓜をいけて、飾る。
蕗を茹でて味付けし、(ちょっと塩辛かった)御飯を炊き、
昼食(昼から飲む父にはお刺身の盛り合わせ)と、
直ぐ温められるお吸い物、母のおやつのお茶と蓬餅を用意。


夕食(娘の好きなカレー)を一緒に準備し、出勤の用意。
帰宅した母の荷物を解き、留守中の電話等の伝言を伝える。
午後からは、打ち合わせ、接客の後、出張、
帰宅が早ければ娘の耳鼻科。他に何があったっけな?

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きょうは和菓子の気分です。

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医者に行きたがらぬ人間を、医者に連れて行くのは大変だ。
痛くも痒くも無いから大丈夫と、
目に見える病変を認めようとしない人間を。
子供の指図など受けると沽券に関わると思っている人間に、
指図ではなくて、心配であり不安だと伝えても、
なかなかわかってもらえない。
わかってもらうことを期待しては、いけないのかも。


20年来通ったホームドクター、胃腸科内科クリニック、
それ以外に、なかなかお付き合いの続くお医者さんは少ない。
何かあって精密検査を受けても、カルテがバラバラになっているから
見通しの? な診察が続く日々。
救急車に乗って運ばれたことさえ、私の留守(不在)中だったからと
隠し通そうとする両親。結局大事無かったからと。
・・・それは、子供を安心させることにはならないよ。


老人のQOLに、人間ドックや健康診断が要らないとは思わない。
どうせ老い先短いからと、好き勝手をされるのではたまらない。
医療費がかかるから、車を運転できないから、
近くにバス停が無いから、自転車で行けないから、
タクシーは高いから、送ってくれる人が無いから、
市民病院は毎回医者が替わるから、少ししか話を聞いてくれないから、
いつもくれる薬は変わらないから、
・・・色んな理由で医者に行かない。
行けないのではなくて、行きたがらない。
調子の悪い自分を認めたがらない。そして、隠したがる。


企業人だった父は癌検診も受け続けた。煙草はやめない。
胃を切っていようが、大酒飲みは治らない。
そんな父をせせら笑っていた母は、整形外科に行かず、
内科で湿布を貰い続けて、体中に貼っている。
虫刺されだろうが、湿疹だろうがアンメルツで、
汗をかこうが汗疹だろうが、お風呂上りは天花粉だ。


小児科の先生に、「うまく汗がかけなくなりますから、
控えてくださいね」と言われても、これで育てたからと、
夏場、娘を天花粉だらけにされた時には困った。
常備薬は赤チン、オロナイン、ムヒ、アンメルツ、
キャベジン正露丸ビオフェルミン。オキシフル。
口癖は「唾を塗って、舐めておけ」野生の獣か、子供は。


何かで化膿して熱を持って腫れあがっても、
医者に行こうとはしない。
膿が出れば治るという。基本的には正しいが、
中学から高校にかけて、自家中毒だったのか何か、
頻繁にひょう疽・面疔が幾つもできた時、
医者に連れて行って貰えれば、あんなに痛くて
あんなに苦しまなくて済んだはず、と今でも思う。


お陰で、お小遣いで薬局でクロマイを買う高校生だった。
冷静に考えると売った薬局も薬局だが、買う方も危ない。
でも、子供は自分の保険証を持っていないから・・・。
あれを飲んだら、膿が出るまで熱や痛み・倦怠感を
我慢し続ける事が必要が無かったのは、ありがたかった。


という訳で、自分が医者に行かないだけではなく、
子供も連れて行かない両親だった。
その反動が、今の私を作っているかもしれない。


病気になるのは、悪化するのは弱い者が悪いのだと
人を責め続けた母にとって、
自分の弱さをさらけ出す「診療」は
悪い所を見つけられる「診断」は、「恥」でしかないのだろうか。
通院する時間が無かったとは、思えない。
治療を受けること、イコール医者にも行かず、
頑張ってきたのに・・・よってたかって病人にしてと、
落ち込まれるのが、まったくもって不条理だ。


嗅覚を失い、肘や指の関節の自由な動きを失い、
白内障で片目を失いかけ、今また自分の顔を損なう手術。
認知症に至る以前に、「頼らない」「甘えない」
「認めない」「謝らない」「付き合わない」頑なな生活が、
自分にも周囲にもどれほど不自由を強いているか、
母は気付かない。気付こうとはしないで生きてきた。
「加齢のせいにしなければ、損なわずに済んだもの」を
失っていく母に、どう接していけばいいのか。


言ったって無駄だよ、あんまり言わないようにしているんだよと
飄々と飲んだ暮れている父が偉いと思う。
寝込んだ妻に苛々するでもなく、趣味のお付き合いに出かけ、
自分で夜食を食べ、再び飲んで、寝ている。
これも、夫婦の在り方か。娘の私は、やきもきするだけだが。
・・・お母さん、お誕生日おめでとう、長生きしてよ。

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