桜、天秤

今日は娘の1年生の終業式。
今日という日に、連絡帳も筆箱も忘れて登校して行った。
いったい誰に似たんだか、全くもう。
忘れ物無いの？　って訊いたのに。
朝のお弁当作りで、確認しなかった私が悪いか･･･。

娘に通知表を見せてもらうのを忘れた。
近場の出張だったので予定より早く帰れて、娘を耳鼻科へ。
しばらく良くなっていた私の花粉症も、今一つ。
駐車場からクリニックまで、3分ほどの駅前の道。
「今日の終業式、どうだった？」「校長先生のお話があったよ」
「ふーん、どんな？」

あのね、右手に楽しかったことや嬉しかったこと、
左手に悔しかったことや悲しかったことを数えて
ぎゅっと握って天秤にかけてごらんって。
嬉しかったことはね、五つあった。（どんなこと？）

剣玉が一杯できたこと。交差跳びが4回できたこと。
虹の絵がきれいに描けたこと。
給食チャンピオンに一杯なったこと。（お代わりできたから）
今日学校で字が一番きれいですって言ってもらったこと。
（そう、良かったね。で、悔しかったことは？）

交差跳びは8回が目標なのに、4回しかできなかったこと。
最初の日は剣玉が全然できなかったこと。
（3つめは？）3つ目はえーと、忘れちゃった。

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でね、校長先生が右手と左手を天秤にかけてごらんって。
右手が重い人は右手を、左手が重い人は左手を傾けてごらんって。
（良かったね、右手の方が重くって）
うん、･･･君なんかおんなじ数だったから、バランスが取れてたの。

で、悔しかったことが一つも無い人はいますかって、
校長先生がみんなに訊いたの。
そしたら手を上げた人がいて、先生はね、努力が足りないって。
今年の桜は暖冬で寒さが足りなかったから、きれいに咲かない。
同じように、悔しいことが全く無かった人は、
学年が上がったら努力次第で
きれいな桜が咲きますよって。

嬉しかったことが一つも無い人って訊かれたら、
やっぱり手を上げた人がいて、先生がね、その人は
頑張りすぎですねって。でも、厳しさに耐えたから、
心の中にきれいな桜が、一杯咲いているはずですよって。
みんな学年が一つ上がって頑張ったら、
たくさん桜が心の中に咲きますって言ってたよ。

終業式の校長先生の話の概要は、そういう事か･･･。
娘よ、君は良く覚えてきたね。
一生懸命話を聞いていたんだね。
君の心の中には、どんな桜が咲いているのだろう。
君の心の天秤はどんなふうに傾いて、釣り合って、
毎日のバランスを取ってきたのだろう。

君がこんなに元気に成長しているのに、
君がこんなに明るく頑張っているのに、
かーちゃんの桜ときたら、天秤ときたら･･･。
桜の下には死体が埋まっていて、桜吹雪。
天秤はいつも不公平と不幸が重くて傾いている。

君の桜天秤の話を聞いて、かーちゃんは反省。
「下手な考え休むに似たり」下手な天秤は、
未来への取引には不如意･不本意だよね。
おばあちゃん退院したよ。また、頑張ろう。
道路沿い、雪柳の垣根の向こう
桜並木の下をみんなで歩こう。

そう、君はてんびん座。
心のバランスを取るのが上手な娘。

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