故宮からスペインへ

週末、出張が入ったので娘と市内で待ち合わせることに。
小学２年生の娘にとっては初めての一人旅？　
たった一人で電車に乗り、改札を通って待ち合わせの場所へ。
「初めてのお使い」みたいに、待つ母はけっこうドキドキ。
スルットkansai、３日間乗り放題チケット大活躍。
なかなか来ないので、心配して実家に電話、
一台乗り逃がしたということで、納得、安心。
予定よりも、１５分遅れで無事到着、合流。
かーちゃんが遅れた場合の待ち合わせ場所、駅の本屋を教える。

娘はさすがに緊張していたようで、
遅刻して叱られると思っていたのか、
車内でいつものように読書ができなかったらしい。
お互いの休憩兼、かーちゃん遅めの昼食。
17:30では夕食？　自然食の店でスープとおにぎり。その間、
娘は人権啓蒙漫画8冊「わたしななちゃんでーす」を読了。

18:15　家人との待ち合わせまで1時間余り。
私が向かったのは、大阪高島屋の｢北京故宮博物院展」
何でも、日中国交正常化35周年記念なんだそうだ。
無論私のお目当ては、かの西大后・溥儀ゆかりの展示物。
デパートでの展示だから、数としては知れているだろうけれど、
これがけっこう面白かった。
展示室のスペースにもゆとりがあり、
品数が少ない割に説明・写真が多くて読み応え。
娘も拾い読みしながら、豪華な衣服や装飾品、
写真に見入っているので、それなりに楽しんだよう。

言わずと知れたラスト・エンペラーの時代。
あの恐ろしい｢西大后」の映画、迫力のあるシーンが蘇る。
今回は彼女の生活、化粧や美容、食事など
健康を保つための姿勢に焦点を当てて、解説がなされていた。
政治的な手腕（その影響）についても、無論述べられていた。
かの有名な「エホ＝ナラの呪い」や、お決まり悪女説、
自分を観世音菩薩に見立てて描かせた肖像画など、
本当に、清朝最後の女帝は話題に事欠かない。

溥儀のおもちゃが何点か展示されており、哀れさを誘った。
その他幼少時に使われた風呂桶や、邸内で乗り回した自転車。
船の形をした虫かご、2人の結婚相手の写真。
歴史の教科書ではわからない、歴史上の人物の生活の断片。
足跡というものではなくて、遺物。

写真の中、眼鏡姿の溥儀がラケットを振るっている。
必須の満州語も満足に習得できないまま、
帝位に付かされ、剥ぎ取られ、
国王に据えられ、引き摺り下ろされ
彼の人生が彼のものであった時は、いつなのか。
全く無かったといっていい。
運命に翻弄された、人生。
時代の激流に押し流され、革命後、1人民として没し、
彼そのものの存在は、死後無理やり抹消されたかのような感。

我が名はエリザベス (ちくま文庫)

流転の王妃の昭和史 (新朝文庫)

さて、娘は無邪気におみやげ物売り場で、
水晶の魔よけストラップや、美術工芸品に見入っていたが、
せっついて待ち合わせの場所へ。
家人が日曜出勤となったため、「母の日」先取りで、
スペイン料理をリクエストしていたのだった。
お目当ての店が貸切で、姉妹店あちこち巡り、
20:30　タクシーまで使って足を伸ばして中の島、
かなりお高い「カポ・デルポニエンテ」へ。
http://www.ne.jp/asahi/spain/elponiente/

2人分のコースを3人で仲良く分けて食べた。
3人並んで座ったカウンターの席は、
オーナーシェフが料理しているところが良く見え、
娘にとっては特等席。次は何入れたの？　それは何？
｢サフランだよ」「この縞々は？」｢エスカルゴだよ」
バレンシア風のパエリャはカタツムリが入っているらしい。
娘は魚介類でいいとリクエストしていた。

「娘さん、シェフから直々にお料理を教わっていましたね」と、
お世辞を言ってもらったが、まあ、カウンターの醍醐味。
この席は嫌いではない。けっこう面白い。
店の中が丸見えといっていい。
働いている人の様子、ちょっと味見をしている所、
洗い場、調味料の入れ具合、全て見える。

お任せで選んで貰った白ワイン、赤ワイン、ほどほどのサービス。
オリーブは酒に合い、ガーリックバター付け放題の硬いパン、
生ハムの盛り合わせ、トマト煮込み野菜。串焼きの肉。
自分が知っている味よりも、けっこう汁気の多いパエリャ、
アルコール分たっぷり、チェリーソースがけバニラアイス。

とーちゃん、ありがとう。娘よ、ありがとう。
今日のディナーは絶品でした。
自分の料理の腕にも、ちょっと自信が持てました。
（味が似ている料理があると、そう思える･･･笑）
はや、5月も中盤戦。頑張っていきまっしょい。
で、子供の寝る時間はとっくに過ぎ、帰宅して
誰よりも早く、寝床に入って潰れたかーちゃんでした。

週末はパエリャ名人