Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

デパ地下は楽し

夕方。雨が上がって外は明るい。
いつもと違う道を通ってみる。地下街ではなくて。
え? 楽器専門店? 何の? ええー?
こんなビルの一角にあるのは、三味線とお琴の専門店。
売っている和風のストラップは、べっこう製で万を超える。
子供邦楽教室の張り紙も。なんだかちょっと異世界


ヘビーな研修や勉強会が終わって、私の楽しみ。
それは一杯引っ掛けること。え、誰ですか?
おっさんみたいだなんていう人は?
午後のお茶の時間ならばケーキセットでいいけれど、
夕闇迫る前のハッピータイムには、
ちょっと軽くアルコールを楽しみたいもの。
これは、30代前半に出張が多い頃、都会で覚えた悪習?
タバコを吸わない私の、仕事が終わったあとの一服。


つまり、頭を切り替えたい。仕事モードから家庭モードに。
そういう時間、空間、ほんの少しの無機質な憩いが必要。
1人で逡巡する、あるいは空白になる、そういう30分が。


地下鉄で景色も見ずに帰宅して、母と妻の顔に戻る前に、
(手抜きの)お献立を考えながら、デパ地下を物色する。
これがまた楽しい。だって、普段デパートなんかに来ないから。
そんな所に住んでないから。スーパーではなくて、
デパートで生鮮食料品やお惣菜を買うなんて、超贅沢。
たまーにだから許される、ささやかな息抜き。


そう、普段作らないお料理。彩り。盛り合わせ、飾り付け。
思いのほか値下がりして叩き売られている、鮮魚類。
お金に糸目をつけなければ、豪華なおかずが労せずして手に入る。
そんな場所でも、少々難ありでお安くなった野菜に手を出す
哀しい性(さが)・・・。常日頃の貧乏根性が抜けません。
(週末ランチやディナーには、贅沢するのにね)


で、今日は思い切って、本当に思い切って
お酒の御つまみに合う筍と鯛の子の炊き合わせと、
蟹の身が本当に入っている「カニコロッケ」をお買い上げ。
いつもより帰宅が遅い私に、気を利かせた家人が
きのこと八丁味噌の味噌汁を作ってくれていたので、
後は大急ぎで盛り付け、ちょっとした副菜を作る。


・・・それにしても、スーパーマーケットでは消えてしまった、
売り子とお客の掛け合いが、いまだにデパ地下では生きている。
消費税やお釣りを負けて貰ったり、料理法を教えて貰ったり、
ささやかな情報交換、挨拶、お味見、なんて楽しい。
そう、こんな雰囲気で買い物するという事を、長い間忘れていた。


品定めする生活感溢れる逞しい主婦、お上品でお金持ちそうな人、
色んな人を眺めながら、自分もその中に混じって買物。
これは私にとっては非日常。
こういう買物の仕方ができるというのは、
今の私にとっては、非日常のケの時間。
ハレではない、ケって奇妙だけれど。
ほんのささやかな(ささやか過ぎる)祝祭。

デパ地下グルメ図鑑

デパ地下グルメ図鑑