Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

蛇つかい座

一日の終わり近く、何気なくテレビを見ていると、
星座ロマンを語る番組、なになに今日は蛇つかい座。
あー、医学の神様ね。エンタープライズの医務室の模様ね。
と思っていたら耳に聞こえてきたのは、「ラサールハゲ」
?? ラサールハゲ? お笑いにチャンネル替えたっけ?


失礼しました。注意力散漫ゆえ、ラサールハゲと聞こえたのは、
「ラス・アルハゲ Ras Alhague 」れっきとした2等星で、
この星座の中で最も明るいとされている星。
医学の神様、恐れ多くも太陽神アポロンのお子様を
ハゲだなどと、失礼しました。
アラビア語で「蛇つかいの頭」の意味だそうだけれど、
耳だけで聞くと、どうも誤解を招くなあ。


医学の神様はハゲどころか、髪の毛も髭もふさふさで
描かれていることが多い。でも、改めて知ってみると、
かーちゃんを実のとーちゃんに殺されているし、
ギリシア神話の神様は、カラスの讒言に騙されるくらい、
 人間臭いというか、神様らしくない嫉妬や怒りで一杯)
そんな逆境にもめげず立派に成長して、
死人を蘇らせるほどの腕前になったのに、
冥界の王の怒りを買い、雷に打たれて死んでしまうという、
何だか割に合わない人生だ。


ラオコーンもそうだけれど、確かな未来を予言して、
世迷言を言うと受け入れられず、蛇に殺されてしまう。
脱皮をする蛇は死と再生の象徴だけれど、
象徴は2面性を持つがゆえに、殺されてから蘇る。
まるで、イエス・キリストの生涯だ。
迫害の乳幼児期、越権と睨まれる医療行為、
お上から死を賜り、蘇って天に揚げられる。
犠牲の見返りが、永遠の生ってことなんだね。
よく似た構図。

宙(そら)の名前

宙(そら)の名前

星・星座 (ニューワイド学研の図鑑)

星・星座 (ニューワイド学研の図鑑)


確かこの医療の神様はアスクレピオスだったけか?
ペルガモンの遺跡で、アスクレピオンの泉だとか、
井戸があったはず、治療の場所があったと。
心の病を暗く静かな回廊の中を、音楽を聞かせながら
歩かせた云々の説明を聞いた覚えが・・・。



しかし、その思い出もテレビの一言、
ちょっとした聞き間違いから、がらりと印象が変わってしまった。
ラサールハゲラサールハゲ、ラスアルハゲラスアルハゲ、
些細なことだが、頭の中が妙な光り方をするものに
占領されてしまったような感じ。


そう、妙なものに占領されてしまったような感じ、
今日のブログのアクセス状況は。
私の知らない所で、何かが勝手に光ったらしい。
私の意図しない反応、妙なアクセス数。
それにしても、雑感、いわば自分の心の動き、
感じたこと、いわばフェルトセンス、呟きを、
真っ向から論駁されるというのは、不思議な経験だ。


これがネットの為せる業なのだろうが、
私には思いも拠らないことなので、
少々唖然としている。私の小さな蝶々の羽ばたきが、
エルニーニョになるわけでも無いのに。


呟きの整合性を求められても、如何ともしがたい。
聞き間違いや思い間違い、雑感の中の意識の流れ、
書き連ねた言葉に、価値観を裏打ちし
好き嫌いを交え、正誤を質すかの感。
私は、そういう所から離れているのだけれど。
同じ土俵に立っているかどうか、同じ世界にいるかどうか、
見極めることも無しに、字面だけを連ねられると
何だか無闇に疲労感が増してくる。


そう、ブログの中に書かれた言葉や意見、呟きは、
私にとっては蜘蛛の巣に引っ掛かっている朝露の輝き、
夜の星、連なれば星座にもなり、姿を持ち、季節も持つ。
星をどの星座に見立てるかは自由。
星を見つめるために、遠視である必要も無く、
星を見つめるのに、近視でも構わない。
ピントを合わせて、望遠鏡を使えば。


眺めようによっては星座ロマンになるはずだったのに。
星をα、β、等級、発見者、星のプロフィールとして
眺めるつもりは無いのに。
星がどの空にどんなふうに浮かんでいようと、
正しい輝き方を指摘したり指南したり、
議論する場には縁が無いのに。


人は見たいものを見、聞きたい言葉を聞く。
何かが自分の思いと食い違うからとて、
それを取り上げることに、何の意味があるのだろうか。
その「思いの違い」を、際立たせることに、
これから何の意味が始まるのだろうか。


                          
静かで暗い回廊を歩いたという、アスクレピオンの治療棟。
小さな柱の小さな蛇の姿を、私は心に刻んでおこう。
大きな空の蛇つかいには縁が無い。
天空の蛇つかいは、天空で無数の星々の相手をしてもらおう。
私は自分の心の中の蛇を見つめるだけで、精一杯だから。

モラル・ハラスメント―人を傷つけずにはいられない

モラル・ハラスメント―人を傷つけずにはいられない