Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

雷(らい)さまはまだ遠い

朝から土砂降り。何度も目が覚める、浅い夢の中。
体調が悪い時、私はいつも夢の中で動いている。
これだから、体を横にしても疲れが取れないのだろうか。
いくら早く横になっても、3時間もすると目が覚める。
なかなか熟睡というものに恵まれない。
本来、眠るのが好きなのに。


遠雷は、まだまだ梅雨が明けない証拠。
もっとはっきりと、間近に雷雨を見ないと梅雨は明けない。
「朝雷(あさらい)様は3度来る」だったっけ?
きっと今日は降ったり止んだりだ。
いつもより早めに出かけ、雨対策。なのに・・・、
職場に着いた途端、響き渡る怒号。
どうやら、ひと悶着あった様子。やれやれ。


土砂降りの日に違わぬ、朝からの会議、昼過ぎの打ち合わせ、
明日の準備に至っては、合議を諮れるかどうかの見通しも立たない。
土台、無理なシステムの上に立ち上げたから、紛糾は目に見えている。
妥協点を取るくらいなら、最初からやり直した方が早いのかも。


進まない。予定通りにどころか、横槍で入れられる仕事、
否が応でも入ってきてしまう仕事に押されて、続く残業。
何でこんな時に、上司と面談時間まで作らないかん、後日に頼む。
御利用は計画的に、いや、お話は要点のみで短めに。
明後日ということで。締め切り仕事が先。
こういうことが平気で言えるようになっただけ、おばさん?
ベテラン? 我侭? いや、交渉は大事。
先方はある意味、いつでもいいのだから。


18時半、馬鹿馬鹿しくなり、切り上げて帰宅。
娘は、かーちゃんの早い帰宅に驚き喜ぶ。
しかし、こちらは、ピアノの練習もせず、
ボーっとしている娘に苛立つ。
腹は立てど、図書館に連れて行かなくてはならない。
予約図書の受け取りがある。

きみは金色の雨になる

きみは金色の雨になる

晴れたらライカ、雨ならデジカメ

晴れたらライカ、雨ならデジカメ


稲光に喜ぶ娘。「私、雷って本当は好きなんだ」ご機嫌。
こういう変なところまで似るのね。
「ねえねえ、おかーさん、雷って車の中は大丈夫だよね。」
「多分ね。もし何かあったら、雷鳴っている間外に出られないよ」
「雷のエネルギーを使って車が動いたらいいのにねー」
「(どこからそういう発想になるんだろう)もしできるならば、
 ガソリン代に困らなくていいね」


図書館からの帰り道。空一面に広がる、稲妻の鋭く長い爪あと。
「わー、きれいだなあ。すごーい。青だったねえ」
「? エ? 稲光に色付いてた?」
「色んな色あるじゃん、青でしょ、白、黄色、紫・・・」
「??? そんなに沢山の色見える?」
「お母さんは見えないの?」


どうやら、娘の目には稲妻は例えようも無く、
美しく見えるらしい。けっこうなことだ。
稲妻、稲光、雷さまが賑々しく通り過ぎていくようになれば、
梅雨も上がった印。その頃には青草に過ぎなかった稲が、
いつの間にか、すんなりと伸び上がって、
気の早い早稲では、稲穂をちょいと見せ始めるのだ。


稲妻、稲光。稲と同じように娘の身長も伸びるだろう。
9月生まれの娘は、ひと夏越すとにょっきりと背が伸びる。
体重も重くなる。それに見合うだけ脳みそも詰まって欲しい。
稲妻、稲光。そんなに早く大きくならなくても、と思う。
親の手をどんどん離れていく一方で、心配な面は多々。
成長は嬉しいような、悲しいような・・・。


そう、嬉しいような、悲しいような。
一瞬の煌き、闇に映し出されるその瞬間、
楽しい想い出は心の中に光り輝く。稲妻のように。
それが何の前触れなのか、何の知らせなのか。
わからないままに、自然はウィンクする。


私は、泣き笑いのような顔をしているに違いない。
心模様が雨なのに、笑顔を作っているに違いない。
稲妻が何の前触れか、気になりながら。
稲光が、チラリと見せたものが気になりながら。


思いっきり雷雨に押し流してもらいたいものが、山ほどある。
稲光の下でだけ見ていたいものが、山ほどある。
そんな、宵の口。

えんぴつで美しい日本語 (フロムムック 98)

えんぴつで美しい日本語 (フロムムック 98)