河合隼雄先生、逝く
私の社会人院生時代の先生の先生、
現役の大学生時代に心理学に目覚めさせてくれた先生、
授業で取り上げることが多かったエッセイの書き手、
河合隼雄先生が、とうとうお亡くなりになりました。
倒れられてから長い間、ずっとこの日が来るのを
心の片隅で覚悟していたと思います。
私の恩師は直弟子だったので、
別れの辛さもひとしおだろうと思います。
孫弟子の私達は、数少ない学会や研究会、
院生だけの勉強会で、貴重なお話を伺いました。
年齢的に本当に孫のような院生に囲まれて、
楽しそうにフルートを吹く姿や、
鋭い眼差しでケーススタディをされていたことが、
懐かしいといえば懐かしい、
遠い昔になってしまったと言えば、遠い昔になってしまいました。
寂しい気持ちはあるけれど、でも私は泣きません。
とうとうこの日がやって来たのを、
仕事から帰ってきてから新聞で知りました。
先生の仕事の裾野の裾野で、私は今も頑張っているつもりです。
心の中で御冥福を祈りつつ、まだまだ歩いて行くつもりです。
この夏、かつての仲間と集まるかもしれないから、
きっと話が出るでしょう。
その時まで、お酒は控えて、ウソツキ倶楽部の会長に、
そっと「さよなら」をいたしましょう。
音楽の好きだった先生に、梅雨の日の
真っ白なエンゼルストランペットの音色を送りましょう。