Festina Lente2

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「そをききにいく」同窓会

大学院の同窓会、メンバーは15年程の年齢差。
ゼミの教授は、それほどお年を召したとは思えない。
もっとも当時は助教授で、講座の中では一番の若手だった。
かつて修士論文に悩んだ思い出、学問とはいえないレベルだと
書いている本人が一番良くわかっていた。


一月の給料に相当するほどの高額のノートパソコン、容量僅か1G。
論文提出前に壊れた。かくして、しっちゃかめっちゃかで、
キーパンチャーと化して、打ち出し済みの用紙を繋いだ。
「いや、あの時は間に合わないから機械が壊れたと、
 騒いでいるんだという狂言説が流れていたんだよ」
との先生のお言葉。そういう事もあったなあと、懐かしい。


石川啄木「ふるさとの訛りなつかし 停車場にそをききにいく」
第2の青春を過ごした社会人院生は、学生だった自分の思い出を
第2の故郷とも思える土地の言葉、風物、近況を懐かしみ、
同窓会に出かけ、酒を酌み交わし、「そをききにいく」
自分と同期の人は全然いないのだけれど。

一握の砂/悲しき玩具 (岩波少年文庫 540)

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啄木と賢治の酒

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学問を究めるという世界ではなかった。
ただ、今までの自分とは違う世界が欲しかった。
仕事上立場上、学ばざるを得ない人々。
純粋に自分の内面的な問題で学び直す人。
変人奇人常識人、孫のようなストレートマスターを学ぶ人。
職種の異なる雑多な集団。


教授・助教授と呼ばれる人々の博識、非常識、想定外。
長い外国生活から帰国して実力のある、年下の助手。
傍目には、昼夜逆転の引きこもりのような院生生活。
優秀と言うべきか、早々に規定枚数を仕上げ遊び歩く院生。
私の同期同性は独身か、子供のいない既婚者。
実際ハードな研究生活。


同窓会でわかったのは、男性は立身出世型。
女性は、職場復帰を果たしても結局既婚だろうが未婚だろうが、
親を介護し、相方の転勤に引きずられ、
職を全うできずに、退職に追い込まれた人も少なくない。
今回、改めてわかったこと。意識させられたこと。
諸般の事情からキャリア組から降りる・・・人ごとではなくて、
切実な問題なのに、その前面に男性は出てこない。
家庭の中で何かあれば、いつも女性の側が被っている。


非キャリア組、退職組の先輩の日常生活。
電車の中での立ち話、切実な生の肉声。
肉親が、家族が、家庭が、いかに仕事に絡んでくるか
微に入り細に入り聞きながら、哀しい思いで帰路に着く。
同窓会は懐かしいばかりではなく、ほろ苦い。

黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)

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黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)

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