Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

ペルシャ文明展へ

今日から夏休みをとった。しかし、どこへ行く予定とてない。
あんまり遠く離れると、予期しなかった「両親のいざ」とか
「急にちょっと」が心配。自分の体調もだけれど。
しかし、今日から夏休みよ! どこかに出かけないと!
海も山も無い私の夏休みは、都会のジャングル、いやいや、
都会のど真ん中、「難波宮」発掘現場に聳え立つ
大阪歴史博物館ペルシャ文明展」が、本日のメインイベント。


今日、本日今宵、特別鑑賞日。金曜は夜8時まで開館。
人出も治まりかけた夕刻からの、10階からの絶景の景色を独り占め。
いやいや、今日は景色ではなくて、50年ぶり大公開と銘打った
ペルシャ文明展」なんだが、同僚からは超不評だったので、
事実を確かめがてら、やっぱり大好きな古代ロマンに浸るべく、
昨年の「大アンコールワット展」に引き続き、
期待してやって来たのだが・・・。


宣伝不足なんだろうか、せっかくの金曜の夜。
開館延長日に、こんなに客足が少なくていいんだろうか。
ゆったり鑑賞できるのは嬉しいけれど、特別展示。
常設展示に至っては、7時以降は誰も来ずに私たちだけ。
もったいない、もったいないなあ。
景色の美しいデートスポットなのに。

ペルシアの彼方へ〈上〉―千年医師物語1 (角川文庫)

ペルシアの彼方へ〈上〉―千年医師物語1 (角川文庫)

ペルシアの彼方へ〈下〉―千年医師物語1 (角川文庫)

ペルシアの彼方へ〈下〉―千年医師物語1 (角川文庫)


同僚2人が批判する根拠は、まず夏休みだというのに
子供が見に来ることを想定していないのかと思うほど、
お粗末な展示方法。特に専門用語等でさえ、解説にルビが無い。
子供用の案内、クイズ、スタンプラリー、表示等、
楽しませながら見せるという工夫が、殆ど為されていないという点。
確かにそう非難されても仕方が無い。
申し訳程度の4つの問いが印刷された、小さな用紙では
子供心にも、確かに楽しみが無さ過ぎる。


前回の「脳!」の時は、これでもかと言うくらい体験型。
子供も大人も楽しめる内容。展示に興味を持って、
そこから学問への興味、関心が深まっていくであろう配慮、
目と耳からの刺激、体感、知識そのものの深み、
大人の視点からも、新しい知識・物の考え方に接した手応え。
春休みで、確かに会場は混み合っていたが
それぐらい楽しめないと、子供の記憶には残らない。

ガイドブック歴史とロマンの国イランペルシャ

ガイドブック歴史とロマンの国イランペルシャ

そう、今回は手応えに乏しかった。
「50年ぶりの大公開」という大げさな触れ込みの割に、
今1つ楽しめない。静かに鑑賞できるかもしれないが、
かの地を想像させるための美しいセットや、
金細工の展示物をを目立たせる黒い部屋・照明の工夫、
その程度は展示方法としては当たり前、工夫が無さ過ぎる。
子供はごまかされない。ごまかすことは難しい。
興味・関心がどこまで育っていくか、配慮に乏しい展示内容で、
私が作り変えたいとのたまう同僚がかつて、
歴史を専攻していたことを思い出した。

宗祖ゾロアスター (ちくま学芸文庫)

宗祖ゾロアスター (ちくま学芸文庫)

案内テープの内容も、大人用にしては易しすぎる。
BGMだけやけに凝っているが、この内容ならばスリムに削って、
子供用にしても構わないくらい。
大人用にするならば、もう少し凝った内容が必要だろう。
デフォルメされたデザインのヤギやこぶ牛、楔形文字
ギリシアとの確執や帝国の興亡
アレクサンダー大王の遠征やヘレニズム文化、
シルクロードやアケメネス朝とササンチョウの違い。

王書―古代ペルシャの神話・伝説 (岩波文庫)

王書―古代ペルシャの神話・伝説 (岩波文庫)

耳からでも目からでも幾らでも切り口があるだろうに、
展示そのものに対する工夫の足りなさは、
パンフレットの解説で補おうとしているのだろうか。
しかし、これでは歴史を切り捨てて受験勉強をしてきた
マークシート世代にはわからないことが多いだろう。
ペルシアってイランのことなんだと「地理」さえ、
あやふやな「歴史離れ」の世代を増産しておいて、
これでは次の世代もペルシアに興味を持ちはしない。
知っていて当然の知識を持たずに、選択科目とやらで
切り捨ててしまっている人間が多いのに。

古代メソポタミアの神々 世界最古の「王と神の饗宴」

古代メソポタミアの神々 世界最古の「王と神の饗宴」

思春期をNHKの「未来への遺産」で鍛えられた歴史マニアは、
同い年の小学校5年の息子を持つ同僚の不満がわかると同時に、
学芸員の資格を持ちながら、別の職に就いている
彼女のやるせない思いも、わからないでもなかった。
そう、私達はみな、学生時代の専門とは別の職にある。
学校が、生徒や学生が、もっと身近に文化・
歴史に触れられる案内・ワークショップ的なものに、
いまだに強い憧れや執着があるのだろうから。
映画「ナイト・ミュージアム」の外国の学芸員
常日頃、行っているような。



バビロンまでは何マイル?
ペルシャは遠い。それぞれが抱く異国への旅路は遠い。
心にはカメラは要らない。
もはや、既にイメージがある。
何枚も何枚もシャッターを切り続けている。
自分の切り口で、自分の知りうる範囲で。
だから、更に異国への旅路は遠い。

ナイト ミュージアム (2枚組特別編) [DVD]

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たまゆらの道―正倉院からペルシャへ

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