Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

大アマゾン博とロシア皇帝の至宝展

旅行好きの私も、さすがにアマゾンは知らない。
残念ながら、南半球は守備範囲ではなかった。
よって南米とオーストラリア等は全く知らない。
しかし、子ども相手の大アマゾン博なので、
冷たい言い方をすれば、体験型移動動物園。


それでも、はじめてナマで見るヘラクレスカブトムシ。
娘の大好きなモルフォ蝶の光り輝く標本。
自由に餌をやることのできる、グリーンイグアナやモルモット、
大型のインコ達、オマキザルやマーモセット等のサル、
キョロちゃんのモデルになった鳥、オオハシ。


餌はやれないけれど、一緒に展示されている
金銀砂子を散らしたような光沢を持つピラニア。
ピンクの目に白い体のアルピノの大蛇。
熊と犬のあいのこみたいな雰囲気を持つ、ジャコウネコの一種。
おとなしく檻の中にいるから平気だけれど、
ジャングルでいきなり出会ったら怖いな。


キャベツや人参、バナナ等が申し訳程度に入っている。
カップ200円とは暴利だが、相手も商売。
娘の喜ぶ顔には代えられぬ。で、一生懸命動物に近づき、
食べた食べないと一喜一憂する大勢の子ども達。
本日アマゾン博最終日、親の思いはみんな一緒。


もうそろそろ、こういうイベントは卒業しても
いいんじゃないかなと思いながらも、子どもが喜ぶと
ついつい連れて来てしまう、親ばか。
大きな黄色がかった白い蛇と一緒に記念撮影までした。
ひんやり冷たくてすべすべの肌、一巻きされたら
もしかして気持ちいいのかも、と思えるような感触。

アマゾン河の食物誌 (集英社新書)

アマゾン河の食物誌 (集英社新書)

巨流アマゾンを遡れ (集英社文庫)

巨流アマゾンを遡れ (集英社文庫)



17:00 閉館まで遊んで、国立国際美術館へ。
世界陸上で活躍したイシンバエワの国が、
ロシアだと知った娘が、行ってもいいよと言ったので。
ロシア皇帝の至宝展−世界遺産クレムリンの奇跡」
http://www.nittsu.co.jp/supp/2007zenhan/kremlin/klemlin_2.htm
時間がないので解説テープは借りず。
子供用テープも無かったし。どちらにしても、
もう少し展示説明の仕方に工夫がなされていても。
プレートの位置が高すぎて、162cmの私の身長でも読み辛い。

ぎりぎりの時間からの鑑賞、空いていたのが嬉しい。
せっかく金曜の夜だけ延長ならば、7時閉館ではなくて、
8時までだったらもっと嬉しいのだけれど。
ポンピドーセンターのように、夜10時まで開けろとは
言わないけれどさ。


ロシアの歴史も、授業で習ったことよりも、
池田理代子の漫画「エカテリーナ」で学んだことの方が大きい。
同じくポーランドの歴史にしても。
授業で学ぶより、歴史ものの漫画の方が遥かに魅力的だった。
お陰で、色んな所に興味が持てる。

女帝エカテリーナ (1) (中公文庫―コミック版)

女帝エカテリーナ (1) (中公文庫―コミック版)

何といっても興味深かったのは、エカテリナ?以前、
余り習わないの古い時代の展示。
世界史の教科書なんて、16世紀以前のこの地域について、
殆ど語っていないから、記憶も切れ切れ。
4半世紀も前に訪れたソビエト時代のモスクワは、
人身を腐敗させる宗教禁止を前面に出して、
小さな寺院は潰してどれもこれも人民博物館って感じだった。

クレムリン周辺、パルナスのケーキでお馴染みの玉ねぎ頭の寺院は、
遠くから眺めることを許されただけで、中には入れさせて貰えなかった。
郊外の寺院では老人達がミサをしていたけれど、
宗教関係者は存在しないというのが建前だったから、
中を詳しく見せてもらうことはできなかった。


でも、現在、ソビエトからロシアに変わって、ロシア正教
レーニンがこの先不気味な廟に眠り続けたとしても、
もう睨みを利かせることはできない。
アヘンだ、毒だ、社会主義の目の上のたんこぶだと攻撃された、
その時代の宗教に、歴史的な地名に、還元・解体されている。


血なまぐさいコサック伝統、蒙古の襲来と支配、
凄惨な跡目騒動、権謀術数、愛人と政治、
不気味な僧と、うら若き乙女達を犠牲にした革命の悲劇も、
何もかも、一緒くたに歴史の彼方。クレムリンの至宝展。
その余りにも素晴らしい退廃的な貴族文化の彼方。


イコンの聖母子の見つめる彼方とは遥かに異なる、
永遠に交わることのない世俗の権力を誇示する宝物たち。
娘は、でかい宝石の付いた美術品の数々に目を丸くする。
プレートに石の名前が付いているので、せっせと読んでいる。
この所、石にご執心の娘、カットなしで磨いた宝玉が
惜しげもなく金銀に囲まれている細工に見入っている。

昨年エルミタージュ展を見せていたので、
どうやら同じ国の美術展だという認識はあるみたい。
キンキラキンのエルミタージュとは、一味違う展示。
夏休みを展示期間にするなら、来年もう少し見易くしてね。
本人は、説明を読みながら自分なりに楽しんでいるのだから。
美術展、格調・格式の高さ、雰囲気もそれなりにもいいけれど、
これからのリピーターを育てる工夫が、もう少し欲しい。

お土産はカタログとマトリョーシカのキーホルダー。
19時、あっという間に閉館時間。
モジリアニのようにデパートの方が20時までで良かったな。


魔法のような宝物に囲まれて夜がやってくる。
美術館の外は、虹色のイルミネーション。
外の出口から敷地内を、光の歩道が七色に点滅する。
ロシアの皇帝の宝物には程遠いけれど、
娘と2人で歩く夜道のロマンチックなこと。
さあ、これからとーちゃんを迎えに行くとしようか。

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