Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

ナスカの大地を求めて

3日間使えるスルットkansaiなのに、家人は夏休みが取れない。
仕方なく今日、思い切って京都まで遠出!
娘の希望で、まずは世界遺産ナスカ展」〜地上絵の創造者たち〜
京都文化博物館に行くのは初めて。
前回京都行きは京阪を使ったので、今回は阪急で。
四条河原町から地下鉄烏丸線で、一駅。歩いて5分。
なかなかどっしりした建物で、周囲も歩き回るのにこじんまり
楽しい雰囲気。歩けば文化財の京都、町の中至る所名所旧跡。

            

ナスカ。いまだ見ぬ南米。どれほど行きたかったことか。
南半球、ペルーは遥か日本の裏側。
歴史、考古学・民俗学・人類学を専攻するまでもなく、
歴史ロマンの溢れるナスカ。乾いた台地に描かれた、
不思議な具象抽象の無数の図形。
空の高みからしか認できない、古代の人々の心模様。



荒れ果てた地上絵を守るべく一生を費やした、
マリア・ライヘの説は覆され、各説入り乱れているナスカ。
一世を風靡した、宇宙人飛行場説も否定されているけれど、
余りにも巨大な図形に、何でもありで信じたくなるような
ナスカのプリミティブな魅力。
それにに加え、今回は考古学的な出土品、
特にミイラを科学的に分析した結果を交え、
迫力のある丁寧な展示内容になっていた。


おそらく思い入れの結果なのだろう。
解説テープもやたら詳しく長く、興味を引く内容だった。
娘は子供用テープがある上、塗り絵コーナーや
パソコンコーナーがあるのでいたく満足。
もちろん一番時間をかけている鑑賞者、かーちゃんを
待つ間もぐずらず、各コーナーに熱中していた。

 

素朴で、自然の力を信じていた、
超自然的なものを崇めていた、その心性、想像力、
古代の人々の溢れるようなエネルギーが伝わってくる品々。
特に飾り紐や刺繍、織物に至ってはその精緻さに眩暈がするほど。
細やかな手仕事の技、熟練の技術、信仰。
そういうものの混じり気の無い純粋さが、胸を打つ。


毛を刈り、紡ぎ、染め、織る。その行程に秘められた
日常生活の、厳しくも楽しい日々に思いを馳せる。
そして、子どものミイラ。自然のタイムカプセルは、
黒目を残したままの6歳前後の少年を、21世紀に出現させた。
DNA鑑定が縄文時代の日本人ときわめて近いことを立証。
凄い! 歴史ロマンは科学の裏付けの元に広がり続ける。

      

幅10mの巨大スクリーン「バーチャルで飛ぶ!ナスカの地上絵」
これはちょっと中だるみの感が強かったけれど、
現地に行くことができない人間にとっては、プチ旅行気分になる。
乾いた大地で雨を待ち望んだ人々が、自然の精霊に
どれほどの思いを寄せていたか、その図形の大きさに圧倒されて、
やっと思い至ることができるかのような、広い広い地平線。


カタログと記念のTシャツ、娘はハチドリのペンダント。
家人は珍しく、ナスカの謎解きに関する本を購入。
余韻を胸に、博物館内のお店で腹ごしらえ。
京都らしく、1日限定50食という「加茂茄子御前」を頂く。
京都市立博物館は、市立美術館よりも親しみの持てる
利用しやすい雰囲気で楽しめた。
さて、次は、その市立博物館へレッツゴー。

ナスカ地上絵の謎―砂漠からの永遠のメッセージ

ナスカ地上絵の謎―砂漠からの永遠のメッセージ