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岸和田だんじり祭り

何十年ぶりだろうか、岸和田にだんじりを観に来るなんて。
だんじり、漢字で書くと「地車」。詳しくはこちらを。
もう、泉州というか大阪南部は祭りといえば、だんじり
太鼓と笛の音を聞けば、心ワクワク浮き浮きそわそわ。


子供会のかわいいよちよち歩きから、おませな小学生、
大人の世界に憧れる中坊から、青年団に仲間入りの高校生、
そして、若手からおあにいさん、おっちゃん、おっさん、じいちゃん。
この土地に生まれたからには、だんじりを引かない奴は男じゃない、みたいな、
そんな雰囲気。いやはや、もう、何はさておきって感じのだんじり


一部、堺の方に布団太鼓というものがあるけれど、
基本的には御神輿ではなくて、だんじりを引くのが泉州のお祭り。
この辺では、山車とは書かないし、だしとも言わない。
だんじり、誇り高き地車である。
それにしても、少子化のせいか男性が少なく、
ギャルというか、女性の引き手が多いのにびっくり。
昔はこういう光景は無かったと思ったが・・・。


けっこう昔、子供の頃、生粋の地元民ではない私には、
小学校が何故2時間目までしかないのか、
どうして早く帰れるのか、新興住宅地の社宅に住んでいたため、
全く訳がわからず、祭りの期間を過ごした。
今も昔も、泉州は岸和田に限らず、秋祭りはだんじり祭り
私が住んでいた地域は岸和田同様、だんじりが祭りの中心だった。


両親からは一言も、祭りに連れて行ってやろうなどという発言も無し。
地元の人間、クラスメイトからは何だか浮いていたせいか、
宮さんと呼ばれる宮入りする場所へ出かけたのは、
小学校5年になってから。自転車で場所を探し探し行ってね。
全く地域社会に馴染まぬ家庭環境で育ったせいか、
何事にも斜に構える醒めていて、なおかつ拗ねた感覚は、
社宅転勤族の中で培われたものかもしれない。

岸和田だんじり讀本

岸和田だんじり讀本

岸和田だんじり祭 地車名所独案内

岸和田だんじり祭 地車名所独案内


浜手の人間の言葉と気性が荒くたいのは有名で、
車でさえも、トラックも避ける「和泉」ナンバーと悪名高い。
漁師の血を引く技が為せるのか、どうかは知らないが、
昔からそう言われている。


但し、私がだんじりを見た時には、大阪湾は埋立てが始まっており、
臨海工業地帯の犠牲になった漁船が浜辺にゴロゴロしていて、
地元の風呂屋の薪に使われていた有様。
その中で、木彫りの古今東西の武勇轟く景観をまとった地車は、
もはや、巷で発散させることの無い、
若者の血を沸き立たせる(場の)象徴だった。


(だからといって夕方なのに、
 10分に一度ぐらいの割で救急車が行き交うのは・・・)


掛け声も「そーりゃぁ」か、「どぅーりゃ」か
「おーりゃあ」か、どれが一番正しいのか、わからないが、
一番よく聞こえてくるのは、「そーりゃぁ」みたい。
だんじりで微妙に使っている楽器は違うけれど、メロディーは殆ど同じ。
早く打つか遅く打つかの違いで、引く速さを伝える(調整する)働き。
しかしその囃子方よりも、断然目立つのが大工方と呼ばれる、
だんじりの屋根の上に陣取った男たち。
屋根の上で遣り回しの時に、いかに綺麗に見栄を切り、
軽やかに屋根の上を飛べるか、これが観もの。


目立つ上で華やかな大工方に比べ、舵取りに相当するだんじり前後は、
したたかで力強い縁の下の力持ち、地道なヒーローだ。
子供だんじりのお囃子の歌は「○○のだんじりは、舵取り上手で
よう走る、えんやー、そーりゃー」だった記憶がある。
青年団を初め、様々な役割が男たちの背に(腕に)掛かっていて、
だんじりに乗れる」直に触れるというのは特権らしい。
聞く所によると家柄だとも。
部外者には計り知れないが、色々あるのだろう。


さて、夕方になってもう午後の栄光が終わるという時間帯。
カンカン場の一つ手前の交差点で角を曲がってくる様子を見る。
昔の方が迫力があったなあと思うのは、
子供の時は今よりもそれなりに感動していたせいなのか。
今は、まあ、こんなもんだという感覚で見てしまうからなのか。


娘は駅で貰った地図と、だんじりとはっぴに書かれた町名を元に
一生懸命確認しては、喜んでいる。うーん、かわいいもんだ。
家人は、思っていたよりも迫力が無いとぶつくさ。
波切りホールにしてもカンカン場にしても、昔はこんなの無かった。
だから、思い出の中とギャップがあって、今一つピンと来ない。
私の思い出の中のだんじりは、岸和田と当時住んでいた地域のものが
ミックスされてしまったのか、かなりごちゃ混ぜ。


夜の飾り提灯を灯した、曳行もそれなりに風情があるが、
夜のだんじりの景色を見るならば、
個人的には、河内長野だんじりの方が綺麗な気がする。
好みの問題かもしれないけれど。

 

だんじり祭りの雰囲気を味わいたい方は、
もしも、岸和田まで来られたら、ですが、
地元のお店で一杯やっていると、ビデオがよく掛かります。
もっとも、子供たちというか、男の子たちは年がら年中
机をだんじりの太鼓のリズムで叩いて遊んでいる、かな。
阿波踊りの「ヤットサー」の掛け声みたいに、
常に生活の中にお囃子のリズムがある。


そういうものを知らなくても、祭りのエネルギーは
日常を忘れさせてくれるもの、ですけれどね。
で、少々ガソリン切れの人間としては、そういう非日常的な場所から
ほんの少し、エネルギーを分けてもらっている、
そんな所かな? 
久方ぶりのだんじり祭り鑑賞、ちょっとしたタイムトラベルで違和感。
嬉しいよりも、やっぱり寂しいのは歳のせい?

岸和田祭音百景 平成地車見聞録 (CD付)

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秋祭り 地車(やぐら)の魅力

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