アンザン違い

お誕生日前後の話題。よく聞かれる話だけれど、
何度でも聞きたがる、9月。
まあ、そのお陰で記憶が薄れずに済んでいるのかもしれない。
―お腹の中に入っている時、どんなふうだった？
「お母さんのおへそ、無くなってかえるさんになってた」
結構受ける。とても喜びます。
いつまでこういう話題で話せるかなあ。

―どうして、おとめ座のはずがてんびん座になったの？
「お母さんのお腹の中が居心地よすぎて、なかなか出てこなかったんだよ。
で、2週間も予定日から過ぎたから、乙女座で兎年の赤ちゃんじゃなくて、
てんびん座になっちゃたんだよねえ。
おまけに、その間もどんどん大きくなって、お母さんは、大変だった。」

―どんなふうに大変？
「お腹の中で栄養とって膨らんで、体重が増えて、
3632グラムのでっかい赤ちゃんでした」
娘、笑いながら訊きます。
―安産だった？
「はいはい、1週間かけて、3回も注射して、やっとでてきましたよ。
　でも、暗算だったよ。心配しなくも大丈夫。片目だけあけて、
　ウインクしながら生まれてきたよー」

そうです、誘発3回、主治医はこれで出なけりゃ帝王切開と思っていたと
後から聞かされたくらい。無事に生まれてくれて良かった良かった。
「下から産めて良かったね」と当時、色んな人から言われました。
自分なりにも色々努力はしましたが。

・・・しかし、今回はこのようなパターンの安産話にはならなかった。
それは、水曜日の　ためしてガッテンのせい。

NHKためしてガッテン「いのち」をつくる昔ごはん (AC MOOK―NHKためしてガッテン)

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いつも雑談がお誕生日の話題、それに絡んで終始することの多い9月。
お誕生日の前日に、何気なく新聞を読んでいた私。
「今日は、アンザンの話だって。小学生で覚えると役に立つから、
　今日も一緒にためしてガッテン見よう」
―えー？でも、お母さんもうアンザン入らないジャン。
「お母さんはアンザン要らないわけじゃないよ、使う時あるよ。」

―だって、お母さんもう年なんだから、アンザン必要ないじゃん。
「年取ってたって、普段の生活の中でアンザン使うから、
　一緒に勉強しようよ、役に立つよ。君はこれから一杯使うよ」
―私は使うかもしれないけれど、お母さんもう赤ちゃん産めないんだから、
アンザン関係ないでしょ？

？？？　そのアンザンは、もしかして？　安産？
「まだ、安産は必要ないけれど、暗算はいるよ。
　今、学校で九九覚えているでしょ。計算には暗算要るよ」
―アンザンは暗算？　安産じゃなかったんだ。
ためしてガッテンのインド人の計算・暗算特集
娘、やっと気が付いて納得して笑ってくれました。
お互い、誤解が解けて、話が通じましたが・・・

かーちゃんは、実はちょっとコタエました。
もう年だから、赤ちゃん産めない。そうはっきり言われたことが。
自分ではわかっているけれど、人の口から言われると辛い。
尚更、君の口から言われると、辛いなあ。
そりゃ、保育園の時までは「妹が欲しい」が口癖だったのに、
「今日も赤ちゃん駄目だったの？」と生理の時に、尋ねる程だったのにね。
　

まあ、君を授かり、無事に生まれてきたことだって、
世間一般高齢出産が増えているとは言え、
自然妊娠・普通分娩は、ありがたくも恵まれたことなんだよ。
そして、残念ながら2人目不妊のまま、きょうだいに恵まれなかった。
授からなかったことに関しては色々思うこともある。
君も、この頃気を使った発言をするようになった。

―一人っ子でよかった。ゲームもおもちゃも取られないもん。
　お洋服も全部自分のものだもんねー。
そう言いながらも、寂しいのはわかっているけれど、本当は。
でも、何だかあっさり冷たく朝っぱらから
「もう年だから、安産関係ないじゃん」としまうと、
どっと疲れるというか、傷ついてしまう、かーちゃん。

はいはい、君はかーちゃんに似て安産だと思うし、
暗算はこれからしっかり勉強して、役に立ててね。
人生どんぶり勘定で行かない事もあるし、それでいいことも。
人生、博打だから、賭けだからって冒険ばかりではね。
ある人は「清水の舞台から飛び降りて」というけれど、
何も計算無しに人生を選択したりはしない、普通は。

能力と努力と意気込みと、暗黙のうちに自分の実力と運を秤に掛けて
何とか危ない橋を渡っていって、結果を出しているのが人生。
君はてんびん座に生まれてしまった。予定日から2週間遅れ
お腹の中のアンザンと生まれてからのアンザンは違う。
計算違い、文字違い、アンザン違い。
どんな世の中を生きていくにしろ、物事を生み出すとき
創り上げる時、100％のアンザンはないから、しっかりしろよー。

インド式計算暗算ドリル

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