Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

人権週間によせて

その立場になって見ないとわからない事が一杯。
だから、想像力が欠如すると「相手の身になって考える」って
とっても難しい。一旦関係ないと判断すると、
「気を付けなくちゃ」なんて思ったりしない。
人間ってみんな、大抵、そんなふうに出来ている。


妊娠・妊婦・出産、子育ての話題に入っていけるのは、
自分が経験する事ができたから。
振り返る事ができる、
自分の身に置き換える事がたやすいから。


人権について、考えたりするのはそういう部分を
仕事として任される事が増えてきたから。
仕事の一部として捉え直す必要性に迫られたから。
個人的な生活の部分を越えて、アンテナを張る立場にあるから。
新聞にチラリと記事が出る。図書館で小さな啓蒙パンフレット。
それに目が行くのは、個人の経験を越えて、
意識せざるを得ない立場にあるから。


だから普通の人が、今がどんなキャンペーン?
知らなくても驚かない。去年までそうだったから。
でも、こんなに沢山内容が入っているって、思わなかった。
59回目の目標・・・、59回! そんなにもやっていたのね、
今更ながらの感覚。
啓発活動重点目標「育てよう 一人一人の 人権意識
   ―思いやりの心・かけがえのない命を大切に―」


「女性の人権を守ろう」「子どもの人権を守ろう」
「高齢者を大切にする心を育てよう」
「障害のある人の完全参加と平等を実現しよう」
「部落差別をなくそう」「アイヌの人々に対する理解を深めよう」
「外国人の人権を尊重しよう」
HIV感染者やハンセン病患者等に対する偏見をなくそう」
「刑を終えて出所した人に対する偏見をなくそう」
「犯罪被害者とその家族の人権に配慮しよう」
「インターネットを悪用した人権侵害は止めよう」
性的指向を理由とする差別をなくそう」
「ホームレスに対する偏見をなくそう」
性同一性障害を理由とする差別をなくそう」
北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めよう」


という、盛りだくさんの内容。
強調事項を掲げ,啓発活動を展開すること、だそうだ。

いま平和とは―人権と人道をめぐる9話 (岩波新書)

いま平和とは―人権と人道をめぐる9話 (岩波新書)

子育て・教育の基本を考える―子どもの最善の利益を軸に

子育て・教育の基本を考える―子どもの最善の利益を軸に


それにしてもなんて沢山の内容。これを、何処でどうやって?
この人権週間で啓蒙ってね・・・。
そういえば、どこかのブログには「支援よりも指導を」と。
啓蒙活動も基本、自分の身に置き換えられるかどうか。
小学生の娘に、職場で、そして自分自身が、
考えてもみなかった、知らなかった、初めて聞く
もしくは滅多に見たり聞いたりしないことを、
この期間にだけ上から叩き込もうとしたりしても、無駄。


支援よりも指導を。指導の下地をいつ何処でどんなふうに
作っておかなければならないか、そちらの方が難しい。
12月1日は世界エイズデーだったけれど、
それに関してだって、エイズという言葉と一緒に、
HIVが何なのかを知っておかなければならないし、
HIV/AIDSが、自分たちの生活の中にどう関わるか、
これを考えようと思ったら、「自分も人も大切に」を、
人権を絡めて、保健・衛生・医療・SEX、
生活のあり方そのものの基本から見直さなくてはならない。
少なくとも、どうやって娘に教える?
我が子に教える?

HIV/AIDSをめぐる集合行為の社会学 (MINERVA社会学叢書)

HIV/AIDSをめぐる集合行為の社会学 (MINERVA社会学叢書)

自分が学んでおかなければ、知っておかなければ、
気付かなければ、とにもかくにも、
常に自分の身に置き換えて考える習慣が無ければ、
教えたり伝えたり、共に考えたり受け止めたりするのは難しい。
指導から支援に至るまで、自分なりに納得して
落としこめる範囲までがわかっていることで、
わかっているから即行動に繋がるかは別問題で、
知識の有無、意識の変革、行動の改革、
もうそれは、遥かな遥かな道のり。


強調事項の中の、「守る」「育てる」「実現する」
「なくす」「深める」「尊重する」「配慮する」
「やめる」・・・様々な目的語を担って使われる、これらの動詞。
何と責任の重い動詞ばかり並んでいることだろう。
人権に関わる関わらず、この動詞が、この言葉が使われるシーン、
場面は、個人の心の中、家庭内、学校等教育現場、社会、
何処においてもそれなりの事柄が付いて回るはず。


言葉の面から見てもそうなのだから、母親として娘に、
または職場内で、どう関わっていくか。大変。
去年まで、大層に捉えることは無かったこと。
仕事の一部に関わってくると、意識せざるを得ないこと。
でも、この時期が過ぎれば、考えたことも
生活に追われて消えていってしまいそう。


こんなことさえも、今になって改めて考えている。
今になって、改めて意識している。
この時期が過ぎれば、この強調事項のどれかを
少しずつ忘れていって、しまうだろう。
何かのきっかけで思い出すまで、意識の底に沈めてしまうだろう。
そしてこのくり返しの中で、やっと蓄積していった所から、
行動や実践が伴って行くのだから・・・。
いやはや、大変です。
難しいことです。
まずは、身近な所から。

ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて (セレクション社会心理学)

ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて (セレクション社会心理学)

人権教育の未来―教育コミュニティの形成と学校改革

人権教育の未来―教育コミュニティの形成と学校改革