Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

塗り箸

通院後、娘と待ち合わせまで時間ができたので、東急ハンズへ。
友人への誕生日プレゼントを探しに行ったのですが、
そこで出逢ったのは、若狭塗り箸。実演即売会。
まあ、『ちりとてちん』にあやかった商売とわかっていても、
思わず見入ってしまいます。


子供の頃、安物の塗り箸の匂いがきつくて食事どころではなく、
匂いが取れるように米びつに埋めていたっけ。
そんな思いで手に取ると、幸い昔とは違い何の匂いもしません。
縁起物の「月のうさぎ」の柄、娘に一膳買い求めました。
娘はうさぎ年。いい子に育ちますように。
いつも美味しくご飯が食べられますように。


普段使いでそんな高いものではなく、子供の箸。
それでも職人さんは名前を入れてくれました。
せっかくですからね。
残念ながら箸そのものの模様はアップできませんが、雰囲気だけ。
小浜まで旅行できないので、箸を買って小旅行気分。


 


頑固一徹塗り箸職人、「苦労塗り重ねた人生は、箸の模様」の名言。
「おじいちゃん役」こと米倉斉加年、回想シーンで出てくる方が多い。
渋い俳優さんです。若かりし頃はその個性ゆえ、少々敬遠気味。
エキセントリックな静けさが、却って不気味な印象が強かった。
絵本などもものされる方ですが、画風も好みではなかったので、
一目置きながらも、ファンに離れなかった俳優さんです。


そのおじいちゃんが箸を作るシーン。子供時代のきよみちゃんに
話し掛けているシーンが誠にいい。
「風を立てるな」という職人気質の一面、
落語を一緒に聞いているシーン、師匠に落語のテープを貰うシーン、
このストーリーの要かなめに、必ず登場する渋い役どころ。


死して家族を離れても、その存在が大きい「おじいちゃん」
家族を見守り、運命を導き、支えになっている「おじいちゃん」
子供にとっては、障害でもあり目標でもある父親。
孫には人生を優しく解き明かし、諭してくれる優しい祖父。
今の家庭では失われつつある「伝える者」の重み。
技は箸のみでなく、家庭の在り方にも通じる。
そんなストーリーの伏線を、しっかり伝えてくれる役者さん。


若い頃に苦手だった俳優さんは、いつの間にかその役柄で
私を魅了するおじいちゃんになっていました。
思えば親と同じ世代・・・。
親は子供に、父は息子に、母は娘に、それぞれ伝えたい。
そんな思いを実感するようになったのは、私の仕事は勿論、
人の親になって思うことも増えたから。


箸一膳に、様々な思いを込めて、今日一日
かけがえの無い一日。

NHK 美の壺 箸 (NHK美の壺)

NHK 美の壺 箸 (NHK美の壺)