Festina Lente2

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『激流中国』を見た朝

朝寝坊をした。7時過ぎに起きてしまった。
実は昨夜、仕事をしようと思っていたら再放送のNHK番組、
『激流中国―病人大行列』と見てしまったからだ。
目が点になった。しかし、さもありなんとも思った。
中国に旅行に出かけた20台半ば、中国からの留学生と過ごした30代半ば、
それから10年過ぎて、経済大国となった中国の貧富の差は日本の常識を超える。


診察を受けるために地方から都会へ。これは日本でも珍しくはない。
ただ診察券を得るために氷点下の夜中の2時から並ぶ。
ダフ屋から20倍の価格の診察券を買う。ちなみに正規の診察券200円。
超暴利な稼業。そして、診察、手遅れですと宣告される場面。
医療費も救急車で搬送される費用も前払いなので、払わない限り、
治療は受けられない。
・・・道端で倒れたらどうなるんだろう?


もっともこの病院は特殊らしい。病院長ははっきりと
「富裕層相手の病院を目指している」事を明言していたし、
貧困層の面倒は政府が見るべきだ」とも言っていたから。
病院も老人ホームも、この病院の一大企業の傘下にある。
同仁病院、同仁不動産、医療は無料の時代は遠く去り、
入院しなければ支払われない医療保険
通院で必死にしのぐ農民には、何の見返りも無い。
全て持ち出し。借金に負われ泣き泣き暮らす人々。
次々に映し出される場面に唖然となった。


午前中一杯並んで、大抵診てもらえる。
医療費はカードで引き落としでもOKの病院もある。
医療崩壊の現場の嘆きは深いが、少なくとも、
幾ら不祥事が起こっている儲け主義の病院でも、
このドキュメンタリーが伝えようとしている世界とは、
少々異なる事が、日本の医療の救いだろう。


しかし、世界に誇る医療保険制度も風前の灯火。
高齢者抹殺のためのキラーウィルスが政府の政策でばら撒かれるという、
経済界と政界、政府の恐ろしい計画という漫画やSFが、
あながち嘘でないような、各種、保険制度。
病原菌としてのウィルスはばら撒かれなくても、
じわじわと追い詰められて弱らせられ、
結局は貧富の差で、どうしようもない所に行き着くのだろう。

日本の医療を問いなおす―医師からの提言 (ちくま新書)

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命に値段がつく日―所得格差医療 (中公新書ラクレ)

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経済力に合わせて進学しろと言い放ち、
パーティ券を1万で1800人に売ったと嬉しそうにTVに出ている、
知事としての給料がなくても食べていける人に、
本業でしか稼げない、食べていけない人の気持ちなどわからない。
ペントハウスの屋上に住むそうなと噂の立つ人の下で踊らされ、
お隣中国のドキュメンタリーを見た日には、
かーちゃんが寝坊してしまっても、
「行って来ます」と娘の声が弾む、
当たり前の朝が、何と幸せで尊いことよ。

グリーグ:ペール・ギュント組曲、ホルベルク組曲&抒情組曲

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