Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

何だか切ないお手伝い

過保護に育てすぎた。仕事の間、祖父母に預けていたせいもある。
厳しすぎたり甘すぎたり、どうも、自分が思っていた子育てからは
遠くかけ離れた所で、やじろべえのような生活を送っている。
こんなはずではなかった、そういう思いで時間が過ぎていく。
保育園時代は気にならなかったことが、小学3年生の今、
気になって気になって仕方が無い。


徳島に執着している我が家ではちょっとしたニュースだった、
徳島製粉の社長さんが無くなり、新聞訃報欄に載った。
何を思ったか家人は、金ちゃんラーメンの焼き蕎麦レトルトを購入。
まあ、仕方が無い、食べようとすると娘が訊く。
湯切り口ってなあに? おお、そうだった。
家に居るときはせめてインスタントではなく、手作りと思って育てた結果、
娘はインスタント焼きそばを食べるのは今回初体験。
どうやって作って食べるのか、知らないのだった。


けっこう美味しいねといいながら、もぐもぐする娘に複雑な心境。
手が上手く使えないので、子ども包丁に薄手の子どもプラスチックまな板。
ちゃぶ台の前に座らせて、半月切り銀杏切り、薄切り、スライサーの使い方、
いつもよりも厳しく指導、というか手際よくやらないと料理にならない。
何時間掛かっても構わないという料理を、させるわけにはいかない。
玉葱の皮を剥くのだって、悠長にぴりぴり一枚ずつというのも・・・。


いらちのかーちゃんは、手伝ってくれる(手伝わせている)娘を
有難いとは思いつつも、気長に見守る余裕が無い、
情けないかーちゃんなのだ。仕事やカウンセリング以外、
見守る・待つ、当たり前の鉄則が「わたくし事」となると覚束ない。
エゴグラムでも仕事用の自分と家庭用の自分にギャップが出るのは、
ある種の職種に著しいとあるが、全くその通り。
公式通りに当てはまる、情けなさ・切なさ。


その口うるさい指導の甲斐あってか、とうとう娘は
仕事から帰って来た家人に向かって・・・

暮らしを変えたい! ―衣食住50のヒント― (be文庫)

暮らしを変えたい! ―衣食住50のヒント― (be文庫)

身体から発達を問う―衣食住のなかのからだとこころ

身体から発達を問う―衣食住のなかのからだとこころ


「おとうさん、私がお風呂を洗っている間に、
 机の台拭きぐらいしておいてね、
 新聞読んで寛ぐのは、それから後にして頂戴」と来た。
よく、おままごとで子どもの会話を聞いていると、
そのうちの家での会話が良くわかるというが、
自分で聞いていても赤面。


「お箸並べて、もう・・・、お父さんは私に注意するのに、
 お味噌汁は右、ご飯は左。どうして私の茶碗とママのを
 間違えるの? 注意してみていないからでしょう。
 普段しないから覚えられないの。ちゃんと見て覚えてよ。」


ああ、もう娘は立派な小言大臣。家庭内ちーママである。
忍耐強いとーちゃんこと家人は、私に対してではなく娘に甘い。
「頑張ってお手伝いしてくれているの」という私の言葉に、
「今からきちんと仕込んでいれば、何時嫁に行っても大丈夫だな」
なんていう、旧態然としたやに下がり方で悦に入っている。
ああ、両方の落差を見てかーちゃんは愕然とする。


男でも女でも家事は仕込んでおかねばならぬとは思うが・・・、
嫁に行くだなんて、全くもう・・・今頃から。
妻にはなっても嫁にはならぬと思っている私は、溜息を付く。
しかし、張り切って家事をする娘。
昨日は炊飯器のスイッチを入れたはいいが、
何と米を洗っただけで水が入っていなかった。
炊飯器空炊き。よくも壊れなかったものだ。


落ち込んでいる娘にかーちゃん、小鍋に米を移して水を入れ、
あっという間にふっくらご飯を焚き上げた。
2合ぐらい、飯盒炊爨ではないがあっという間に鍋でも炊ける。
キャンプで空き缶でご飯を炊いた経験を持っていても、
鍋でも炊けるということを知らずに育った娘。
様々な経験をさせたつもりでも実生活に結びついていないことが
小さな反応・出来事でよくわかる。


仕事をするたび経験も積むが、底抜け底抜け初心者が通るで、
小さなミスは数え切れない。洗濯物を干そうとして、
玉葱ネットに頭をぶつけてみたり、風呂の水を汲み過ぎたりは
かわいいもんで、何事三遍、ちょっとやそっとではなかなか。
その娘は明日から立山登山キャンプに行ってしまう。
強力な助っ人を無くして、明日からなじょんしよう?
寂しさと切なさで、ナーバスになっているかーちゃん。


娘の洗ってくれた風呂に入り、畳んでくれた洗濯物をしまい、
家人宅から帰る用意をしていると、切ない。
明日から実家の庭の水撒き当番兼犬の散歩当番兼、仕事。
土曜日まで、実家のハウスキーパー兼仕事。
これも切ない。二つの家を行き来しながらの心の支えは娘。
何といっても、娘の存在なのだ。


親離れどころか、子離れできないかーちゃんは、
切ない思いでお片付けをしている。
なかなか眠れないでいる。
仕事にうんざりしている。
今年の夏は、いつもにもまして過ぎ行くのが早い。


娘が「保育園の頃はよかったなあ。宿題もないし、
プールで泳いで公園で遊んでお父さんが帰ってくるのを待っている、
楽しい夏だったのに。小学生の夏って短いなあ」とのたまう。
今からそんなに達観してくれるな。
あ、これはかーちゃんの影響なのか。いかんいかん。
そんなこんな思いのうちに、あっという間にまた1日が過ぎる。

江戸の躾と子育て (祥伝社新書)

江戸の躾と子育て (祥伝社新書)

お江戸の意外な生活事情―衣食住から商売・教育・遊びまで (PHP文庫)

お江戸の意外な生活事情―衣食住から商売・教育・遊びまで (PHP文庫)

暮らしを支える植物の事典―衣食住・医薬からバイオまで

暮らしを支える植物の事典―衣食住・医薬からバイオまで