Festina Lente2

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見聞きの「ツボ」人それぞれ

今日のピアノ 娘がサマーコンサートで弾く曲を練習している。
ベートーベンのメヌエット。優雅で有名な曲。
けれど、上手に足が届かないこともあり、ペダルなし。
故に、少々音の響きとメリハリが利かない。
どうにかこうにか、この音で、やり過ごせるか、こなせるか。
メロディもテンポもそれほど難易度は低いが、一オクターブの音域を、
和音としてリズムを付けて弾きこなすのは、実際難しい。
優雅なダンス曲の風情より、おっかなびっくり動き回る感じに聞こえる。


拙い左手の和音に比べて、右手の分散和音は滑らかに動くようになってきた。
それで、「もう少し弾いてみる。今のはどうだった?」と尋ねながら頑張る。
この粘りが毎日続けばと、親は欲を出しがちだが、我慢我慢。
それでもロココのドレスが衣擦れが聞こえてくるような、
そんな響きに聞こえてくればいいではないか。・・・親ばかの耳。


そんな私と娘が今日、ミュージカル観劇。『赤毛のアン
かつて宝塚にいた人、最近人気の人、オーディションで選ばれた各地の子供たち。
みんな一生懸命に頑張っている。その舞台だが・・・
赤毛のアン』の話をはしょってストーリーをおっているので、
演技と台詞、演出に無理がある。歌も一度聴いたら覚えやすいメロディではなく、
印象的な音楽だったとはいえない。伝わってくるのは一生懸命さ。
けれど、それ以上でもそれ以下でもない。・・・物足りない。


帰り道、娘に尋ねる。今日の舞台の感想を。
すると恐ろしいことに、「どんぐりの背比べだった」と一言。
「どの曲もどの場面もおんなじに見えた。あんまり印象に残らなかった。
ユタと不思議な仲間たち』の方が、メリハリがあった。」
 子供の直感は恐ろしい。おまけに、突っ込まれた。
「おかあさん、面白くない所、寝かけて私に起こされたでしょ」
娘は娘の視点で、しっかり舞台とかーちゃんを見ていた。

吉村和敏 PHOTO BOX プリンス・エドワード島 七つの物語 (講談社 ART BOX)

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赤毛のアン 赤毛のアン・シリーズ 1 (新潮文庫)

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赤毛のアンへの旅〜秘められた愛と謎

赤毛のアンへの旅〜秘められた愛と謎


残念ながら、『赤毛のアン』の詳しいストーリーを知らない娘にとって、
アンの世界を舞台からだけ受け入れるのは難しかったよう。
饒舌と言うよりうるさくしつこいだけになりがちな、アンのおしゃべり。
かつては頭の回転が速くて賢い子供の特徴と思っていたものが、
今では、出自さえも定かでない孤児の身の上の、「持たざる空白」を
想像力とおしゃべりで充填していたんだろうと思える。
その孤独のやるせなさ、深さを、明るく見せかける裏返しと取る事は、
簡単なのだけれど・・・。子供時代そこまではわからなかった。


劇団四季の『ユタと不思議な仲間たち』から3週間。
それなりに娘の中でミュージカル作品は比較されていたよう。
おまけに質問された。「『インディ・マーチ』はすぐに覚えられるのに、
どうして他の映画やミュージカルの曲はテーマ曲でも覚えられないのか」
というようなことを。うーん・・・。レイダース・マーチを初めとして、
一度聞いたら忘れられない音楽を作り出した作曲家と比べるのも・・・。
ジョン・ウィリアムスが聞いたら喜ぶだろうな。


見所、目の付け所、聞き所。それぞれ異なるものだけれど、
料理、音楽、舞台、様々なものの味わいどころは、人それぞれとはいえ。
そんな夜、就寝前にオリンピックの北島がスマスマに登場。
すると、キムタクが北島のアテネの時のオリンピックについて言及。
それが微に入り細に入り、本当に細かく何回も見たんだろうなと思える、
身振り手振り入りの解説。ちょっとびっくりするほど詳しかった。


キムタクは「ごっこ遊び」と称していたけれど、
ごっこ遊び」を、つまりシリアスやパロディを楽しむにしても、
元ネタを十分把握していなければ、模倣としての「まねぶ」形から学び、
笑いの要素にまで持っていくことはできない。
気合を入れる動作がての形の痣になっていたこと、勝利の声、突き上げたこぶし、
ヒーローものロボットにも似た、平泳ぎ中の直線型スタイル。


それらを淀みなく、オタク的な口調で語るキムタクの姿を見ただけで、
彼が人の演技や事象をどのように観察し、受け入れ、換骨奪胎して
自分の内部に取り入れているのか、垣間見たような気がした。
話のネタ、ヒーローへの憧れ、執着、着目点、こだわり。
スマスマの今日の料理の内容以上に、面白かった北島ネタ。
本人を目の前にしてリキが入っていたのだろうが・・・。


ちなみに北島選手、あだ名が「さぶちゃん」だったとか。
しかし、これからの時代「北島」といえば「康介」になるんだろうな。
おまけに、彼は無花果が好き。今の旬の果物だからではなく、
母親が好きだからよく食べていて、自分も好きになった。
無花果が好きだなんて珍しいとよく言われるが、と語っていた。
ちょっとしたインタビューから見え隠れするものが、素直に面白い。

「北島康介」プロジェクト2008 (文春文庫)

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今日はオリンピック以外のものを、久しぶりに長時間見た。
英語でしゃべらナイト』の韓国の英語村、取材。
思わず自分もここに娘と旅行で行きたいと思った。
曜日が変わって『トップランナー』での俳優、瑛太。ロングトーク
篤姫』で、この時代で初めてクローズアップされた家老、
小松帯刀役のちょんまげ姿の若者が、長髪の柔らかな物腰で現れる。
そのギャップを楽しみながら、話を聞いた。


何となく見ておきたい。ある意味、見逃せないものが多かった。
文字が読み辛くなってきた私は、この頃「見る時間」が増えた。
読む事が中心だったのに、生活スタイルが変わってくると、
見聞きのツボも変わってきたような・・・。
老眼に関わらず、自分の感性はまだ鍛えられているかどうか、
はてさて。

篤姫 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)

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龍馬を超えた男小松帯刀

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図説・薩摩の群像―鎌倉武士から幕末・維新まで時代をかけ抜けた男たち (歴史群像シリーズ)

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