Festina Lente2

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倒産と訃報記事

(15日の「鉄道発掘物語」の記事に写真を加えました。
 よければ見て下さいね)

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新聞を賑わす社会・経済欄のニュース。
私には関係ないけれど、預金先には関係大有りのニュース。
アメリカの大手証券会社が倒産。その余波と被害は甚大だという。
リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)、
アメリカのニューヨークに本社を置く大手投資銀行及び証券会社。
戦後2番目の倒産云々かんぬん。
やれやれ、仕事を終えて聞くニュースはこればかり。
最近の事故米に続き、ありがたくもないニュースばかり。


そんな時ふと新聞の片隅。リチャード・ライト
通称リック・ライトの死亡記事。彼が誰だって?
そう、今どきの若い人は知らないだろうし、
プログレ世代と言われた音楽ファンでなければ気にしない名前。
ピンク・フロイドという老舗プログレッシブ・ロックバンドの名キーボード。
65歳、癌で死去。ああ、こういう訃報記事もがっくり来るなあ。


キーボードでリックというと、リック・ウェイクマンを先に連想するので
私の中ではあくまでもピンク・フロイドリチャード・ライト
ピンク・フロイドの代表作と言えば、まず、『The Wall』('79年)を
思い浮かべる人も多いだろうが、私はそれ以前のファンだ。
つまり結成当時から『夜明けの口笛吹き』『神秘』『モア』『ウマグマ』、
そして『原子心母』『狂気』『おせっかい』『雲の影』と続き、
『炎―あなたがここにいてほしい』『アニマルズ』『ザ・ウォール』まで。


その後プログレとして印象に残ることは無かった。
私の音楽生活も枯渇していったし、音楽に浸る生活はもはや失われていた。
プログレには甘酸っぱい高校から大学までの背伸びしていた音楽生活。
小学生の大阪万博、繊維館でのサイケデリックな映像と
プログレ音楽の洗礼を浴びて以来のピンク・フロイドへの傾倒は、
高校時代の英語で習った仮定法、Wish you were here との相乗効果、
インパクトの強いLPジャケット、でっかい牛、狂気のプリズム、

狂気

狂気

原子心母

原子心母

炎?あなたがここにいてほしい?

炎?あなたがここにいてほしい?



いろんな意味で思春期の女の子が非日常にぶっ飛んでいくには、
お手頃で形而上学的な音楽の世界だった、プログレ
その中でも老舗のバンド、その中でのリチャード・ライト
単独ではなくて、ピンク・フロイドありき、リチャード・ライト
彼のソロ・アルバムで印象に残っているのは「Wet Dream」。


プログレ。それはもう、甘酸っぱい思い出の響き。
ピアノをかじった文学少女には、シンセサイザーの響きは新しい時代、
キーボードはギタリストよりも魅力的で、魔術師。
言葉が音色となり、メロディが哲学的な志向性を虹の彼方から運んでくる。
リズムは骨を振動させ、心の中にうなりを生じさせた。
そういう目に見えない火花を一身に浴びるように、音楽を聴いていたあの頃。


ある意味、わかりにくく難解と言われたピンク・フロイドが、
明確なメッセージ、単純なメロディ、政治的なシュプレヒコールを含む、
大衆に迎合したようなアルバム『The Wall』を発表した後、
私の中ではピンク・フロイドの時代は終わった。
だから、それきりリチャード・ライトとの接点も無い。
声を大にする主義主張、そういうものから最も距離を取りたいと思いつつ、
仕事に就いた人間に、プログレは青春の墓標のようになりつつあった。
ピンク・フロイドに限らず、どのグループも大学時代には黄金期を過ぎていた。


世界では金融機関のニュースが吹き荒れている。
でも、私の心には昔の思い出が呼び覚まされている。
「吹けよ風、呼べよ嵐」の世界さながらに、思い出が吹き荒れている。
折りしも台風が日本に近付いているそうだ。
私はそのシンクロの中で、小さな追悼の儀式を行い、祈りを捧げよう。

おせっかい

おせっかい

ザ・ウォール

ザ・ウォール