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インプラント不適合?

台風はいずこの空にありやなしや? 幸い雨は上がっている。
真昼の時間帯、市内まで出てランチを取り、他科紹介可能時間に
予約していた補綴咬合治療科へ、それからインプラント科へ相談に。
・・・行けると思っていた。そういう形の予約が入っているのだと。
でも、実際にインプラント科へ行ってみれば、今日は予約が一杯だから、
次に取り直しをして下さいとにべも無い。


前回治療時、縦に割れているから抜かなければどうしようもないと言われ、
根っこを残せるかと淡い期待を打ち砕かれて、半泣きの思いで納得し、
抜歯後、両隣の歯を削らずに済むようインプラントにできないかどうか、
相談してみたいと主治医に相談して、紹介して貰っての今日じゃなかったの?
また1からインプラント科の予約の取り直しって、どういうこと?
私は2時間弱掛けて、予約の取り直しのためだけにここに来たわけ?
混乱・・・。そう、この歯科大付属病院の中で、最も落ち込む場所。


インプラント科。いい思い出の無い科。
前回は割れた歯を長く置いたため、感染が広がっていて、
十分な骨が無いからインプラントは無理。骨移植をする危険を冒すなら、
ブリッジで十分と言われ、無傷の前歯を削り倒すことになるのかと、
涙に暮れながら補綴科に行き、口腔外科で抜歯し、治療を続けてきた1年。
補綴科の先生は、歯科に対する極度のコンプレックスを抱えた私を、
辛抱強く支えて、噛み合わせを調節しながらブリッジを作ってくれた。
その間プレッシャーが掛かると、どうやら無意識に噛み締める癖のあるらしい私。
右上奥歯が割れ、右下横が割れ、今回左下前が割れ・・・。



今回左下が割れたのは約10日前。補綴科の先生は割れてすぐだったら、
感染も無いし、インプラントにするのに十分な骨が残っている可能性が云々。
しかし、実際インプラント科に来て相談する手筈だと思っていれば、
予約は取り直し。途方に暮れる私を見て、先生同士で話をした様子。
インプラント科の先生としては不本意なのだろうが、
3、40分待てば相談の時間を作るという運びになり、ほっとした。
しかし、やっぱり私は甘かった。

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結局、歯が割れるというのは気が付かないままひびが入っていた。
ひびが入っていたということは、以前から細菌に犯され感染している。
実際歯茎は患者本人が痛みを感じていない段階で、
歯科医の目から見れば、明らかに感染がある状態の歯茎なのだそう。
だから、CTを撮ってみないとわからないが、骨は無いだろうという。


では、急いで抜歯して治療を始めないと、インプラントにしろ、
ブリッジにしろ骨が減るので何時抜歯することになるかと尋ねると、
感染していれば、今抜こうが1ヶ月先に抜こうが同じだとの答え。
インプラントをするならばここで抜歯するが、そうでなければ、
口腔外科回しになるのだと言う。各科が独立しているとはいえ・・・。


おまけに、仮にインプラントにするにしても、過去の無理な抜歯後の矯正、
無理な差し歯、1本半程度の隙間に1本の歯を植えることになるので、
歯の隙間は歯間ブラシでMサイズになるのだそう。
2,3ミリは間が空くから食べ物も詰まり易いだろうし、
審美的にはお薦めできない。まだブリッジの方がごまかせると言う。


でも、抜歯後は顎の骨が減るから、チタンの芯を入れるインプラントの方が、
顎の骨を確保できるのでは? と尋ねると、歯槽骨が減るのは
ブリッジもインプラントも20年ぐらいすれば同じだし、
歯槽骨が減らないといわれているインプラントも、
実際減る人は減るという研究もあるしというものの言い方。
どちらにしろ、1年前と同じように手術適応性の無い患者に、
丁寧に説明をしても無駄。決心するのは本人だから、
早く諦める決心をしてほしい、そんな雰囲気。


かなり、混乱したまま1ヵ月後の予約。
前回もそう、インプラント科に来ると、自分が欠陥商品の無理なお直しか、
クレームに来た人間のような、そんな気持ちにさせられる。
他科は靴を脱いで上がるだけの診察台に、ここでは抗菌使用のスリッパ。
ビルの高み。10年以上通っている地元の主治医をはじめ、
近隣の地区にもインプラント治療を行う歯科は無い。
職場でもインプラントの話題は出ない。


女性はこっそり「教えたくない自分の歯医者」を持っているらしいが、
本当のところはわからない。みな削りに削り抜き続けている。
それが嫌で、ここのインプラント科を紹介して貰ったのに。
私は相談に来た患者ではなく、無知で訳のわからない患者。
欠陥商品の歯を抱えた、治療不適合な厄介者扱いされている気分になる。
うまくきれいに治療ができる可能性が無いから、追い払われている。
そんな僻んだ気持ちにさせられてしまう、この場所。


先生の語調? 言われている内容そのもの? 事実?
何がこんなに私を萎縮させ、がっかりさせるのだろう。
納得して治療を選択できる以前に、こんな歯の状態では無理無理、
何もできないとだけ言われているよう。
補綴科に戻り再び待つこと30分近く。
とりあえず、抜いてからでも仮歯を入れて骨が上がるのを待つから、
どうしてもインプラントにするか、ブリッジにするか考える時間は
まだあると慰めてくれた。隙間がどれくらい空くかどうか見ることができる。
そのための仮歯の期間だからと。


二人とも若い女性。納得の行く治療を行う高い技術力を持つ。
沢山の患者の中の一人が、どれほど悩もうと、
「またか」とよくある出来事の一つなのだろうと思う。
更年期に1年に1本ずつ歯を失い、自分の歯並びを失い、
噛み合わせを失い、自分自身の望む食生活を失い、
顔の筋肉も口の中も、思うに任せぬ老化を辿り、
咀嚼の不快感や不安感の中で、鏡を除く度に気になる歯並び、
話す度に気になる口元、発音に過敏になる心持ちを、
わかるのは難しいだろう。


インプラント歯科に来る度に卑屈で惨めな思いになる。
治療よりも、修繕できるかどうか吟味されている感じ。
ある意味医師は、熟練した技術工だから
そうとも言えるのかもしれないが、・・・私は「もの」じゃない。
相談したい。事実確認と宣告で、不安を募らせたいわけじゃない。


1週間前市民健康祭りの咬合力テストで、年齢よりもかなり噛めていて、
「奥歯まで全部治して被せている歯ばかりなので、
 こんなに噛めているとは思わなかった」と話すと、
「ちゃんと直している証拠です。だからしっかり噛めているんですよ」と
褒められた嬉しさを、過去の治療を全て否定されたような、
虚脱感に襲われるインプラント科。


歯科医に定期的に通い、歯科衛生士に指導を受け歯のメンテナンスを心掛け、
それでも悪くなっていく歯。小中学生から20代までにすっかり悪くなってしまい、
その後青息吐息で守り続けて来た歯。
でも、神経の無い歯。ミイラの歯。
いったん悪くなった歯は、最新の治療も受けられない。
結局メンテナンスしようとも、見えない所で骨は無くなっている訳だ。


感染していない歯と歯茎を持つ、手術適応性の極めて高い歯でなければ、
治療成績に響くから、最初からリスクは犯さないのだろう。
何かあれば、インフォームド。・コンセプト不十分の非を追わねばならない。
形式通りにのっとって事実確認と説明をすれば、後は判断する側の問題。
今の私のように、落ち込み諦めさせられる側の思い切りの良さの問題。
悪あがきをしない素直さの問題? と言うことになるのだろう。


歯と言い、目といい、思い通りにならないこと。
人生50年の悲哀がわかる。どうしようもなくガタが来る歯と目。
思い通りにならないことは、山法師と加茂川の流れと賽の目だっけ?
思い通りにならないことが多すぎる。せめて、自分の体を守りたいのに。
・・・こうして週末、おまけに明日は休日出勤日。ああ。

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