Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

主治医の交代

1ヶ月ぶりで母の通う大学病院へ。1年半お世話になった先生とお別れだ。
神経内科の先生は本当に優しい先生が多いと看護師にも評判。
その中でも、この先生は特に優しいんじゃないかと思う。
この病気にありがちな、他人の前ではしゃっきりしがちな母、
年寄りにありがちな饒舌な繰言の父、
そして、付き添い兼先生との相談係の私。
この3人体制で、退院後の母の通院を支えてきた。
何度行っても病院に行く日を忘れる母。当日でも忘れてしまう。
でも、あれほど外に出たがらない母が、神経内科の先生の所へは行きたがる。
まるで「よく来たね」と褒めて貰うのを心待ちにしている幼児のように。


先生は、父上の跡を継がれて町医者に、市内のクリニックで開業医。
今までの大学病院の方が近かっただけに、先生と離れるのは残念。
でも、もしもの折には診て頂けるかと思うと心強い。
相談の上、母や父、私と相性の良さそうな先生が金曜ということで。
ここはもう、先生を信頼して次の先生に申し送りして頂くしかない
これからは通院日も変更だ。


自分より年配の患者ばかり診てきたのに、最近は自分より若い人を
診ることになってしまい、とどのつまり、それは悲しい結果に繋がる事も多く、
云々という内容を先日読んだ。
順番とはいえ老人は先行きが知れている。
小児科をはじめ、青年・壮年であれば、後顧の憂い多き世代の
行く末来し方を思うと、医師の悩みは尚更深いだろう。


私自身、主治医が自分より若いとたじろぐ時がある。
相手に対して誠に失礼な話だが、え? と思ってしまう自分が、
自分の老いを目の当たりにしなければならないわけで、ある意味、哀しい。
変な話だが、若くても大柄でドンと落ち着いた貫禄があると、
落ち着いて見えるような感じがする。
最も若くて寄らば切るぞーみたいな迫力のある先生は、
それなりに「凄さ」を感じて、「ははー」みたいに控える形になる。
どちらかというと、温厚で安心させてくれる先生(物言い)であれば、
どんな外見でも大丈夫なんです、性別じゃないんです。
私たち患者サイドはいつも不安で我儘だから、少しでも安心したいだけ。


昔から言うでしょ。薬は先生の顔を見ること。声を聞くこと。
そして、自分を安心させることができる。これが一番。
人間、子供のうちは誰かが構ってくれるけれど、
大人になったら誰も何も言ってはくれない。
出来て当たり前、知っていて当たり前、やって当たり前。
出来ない、知らない、やれないなんて落ち込みや惨めさをカバーしてくれる、
さっぴいて見てくれる所なんてありゃしない。
「大丈夫ですか」「今日も元気ですね」「お変わりないですか」
こんな挨拶は職場にだってありはしない。


職場は労わり合う場所ではなく、いまだに一国一城の世界。
年齢構成もなだらかではなく、隔たりが大きい。
心の空白を穴埋めするようなものを、求めている自分がどうかしているのか。
そう感じて切なくなる事を通り過ぎてきた今日この頃。
感じたら負け、何も感じないようにしなくては自分を守れない。
そう構えている自分に気がつく時が虚しい。


1週間のうち、私の生活。仕事の合間に病院に通っているのか、
通院の合間に仕事をしているのか、わからなくなりそう。
歯科(歯科大と近医 自分と娘の矯正)、内科(ホーム・ドクター)、
整形外科(スポーツ・リハビリ)、眼科(老眼鏡の処方箋)
神経内科(母の付き添い)と行ったり来たりだ。
もっとも、父が車の運転を紅葉マークでこなしている現在、
我が家は恵まれているといえる。
私一人では、どうなることやら。

3分間診療でも10倍満足する方法―「上手な病院のかかり方」教えます

3分間診療でも10倍満足する方法―「上手な病院のかかり方」教えます


どうも先週から読んだ本が暗かったのがいけなかったのも。
『人形になる』(矢口敦子)なんて読んだからかも。
相手の為すがまま、相手にされるがままの対象になる事が、
存在意義だと思い込もうとして生きていく世界、御免被りたい。
それが主人公が障がい者という設定であっても、遠慮したい。


うつ病の妻と共に』(御木達哉)も暗かった。
医師である夫の視線が、私には納得の出来ない距離感を持って、
文章に表れていた。身内のことだから書き辛いのか、
脚色を持って距離を取っているのか、わからなかったが。
本格的な鬱と、老人性の鬱と、更年期や仕事・家庭内のストレス等、
普段の心の波から来る鬱と、何重奏にも重なって響いてくるのだろう。
それでも、素直に共感できない描写が多かったのは何故だろう。


『やせれば美人』(高橋 秀実)も淡々と妻を綴っていた。
面白そうに見せているのか、そこはかとなくユーモアを狙っているのか、
皮肉に取られないように予防線を張っているのか、
家人は面白がっていたが、よくわからなかった。
それは私が太めなのと関係があるせいなのかどうか、
なるほどと思えるけれど、斜めに構えた諦観が漂い、
余り気持ちの良いものではない。


どうして先週から今週に掛けてこんな読書をしてしまったのだろう。
ちっとも自分の気が晴れない読書をしてしまった。
つまらないものを読んでしまったと言えば、言い過ぎかもしれないが、
もっと晴れやかな気持ちになるものを選ぶべきだった。
こういう本を手にとって買ってしまったこと自体、
どこか調子が悪かったのかもしれない。


王選手も、いや、王監督も引退してしまい、新しい政権も発足。
日本を混乱させた元首相も責任逃れをするように、政界を引退すると言う。
そんな世の中の動きとは関係なく、木曜日。
母の主治医が代わる。本日のメインの出来事。
買い物ついでに、掛かり付け歯科で歯のメンテナンス予約。
ついでに、歯科大まで遠いので、ぐらぐらの歯を強力ボンドで固めてもらう。
食事の用意に疲れている。暑いのか寒いのかわからない天気。
日々の細々とした生活の中に埋もれて、世間の動きとは関係なく、
週末を控えて、木曜日。

人形になる (徳間文庫)

人形になる (徳間文庫)

うつ病の妻と共に (文春文庫)

うつ病の妻と共に (文春文庫)

やせれば美人 (新潮文庫)

やせれば美人 (新潮文庫)