Festina Lente2

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野尻知里と人工心臓

いつの間にか夜も更け・・・習慣のように無意識にTVのスィッチを入れる。
何があるかなあ・・・。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」。
(夜遅いから)滅多に見ない番組。されど、目が冴えしゃきっとした。
女性の活躍、理学部から医学部に入り直し、心臓外科医に。
40代の結婚・出産。一人娘は13歳。更に人工心臓の開発にアメリカで奔走。
そのハードで自らリーダーは「ウルトラ・ポジティブ」でなくては、
と熱く語るエネルギッシュで小柄な女性に、釘付け。

詳しくは、勿論こちらをご覧下さい。
NHKの放送のダイジェスト版。プロフェッショナル第101回
「夢を恐れず走り続けろ―人工心臓開発 野尻知里
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/081028/index.html
http://www.nhk.or.jp/professional/tool/081028/index.html

よみがえる心臓―人工臓器と再生医療

よみがえる心臓―人工臓器と再生医療

最新 人工心肺―理論と実際

最新 人工心肺―理論と実際


チームリーダーは盛り上げ役。ウルトラ・ポジティブでないと、
そのチームは駄目になるという言葉は耳に刺さった。
信じること、「夢が、人を動かす」
頭ではわかっていても、自分がどうかと思うと辛い。
しなければならないことに追われる様な感覚で仕事をするのと、
未来のビジョンを強烈に思い描いて、諦めずに追い続けるのと、
まるっきり雲泥の差。


プレッシャーは押し返すしかない。
夢を諦めない。
しつこく諦めず粘り続け、やり続けること。
苦しいことがあったら、それをスプリングボードにする。
「駄目だなと思うと、気力が湧いて来る」と語る笑顔。
新型人工心臓の開発を率いるリーダーは強気に見えるが、
人に見せぬ涙をぬぐって、戦い続けてきたのだろうと思う。


映像の合間に娘さんと触れ合う姿、ちらり。
家族が何よりの支えなのだろう。
結婚も家族も子育ても仕事も諦めずに、
夢を追い続けてきた人間の夢は、
重症の心臓病患者のための人工心臓
そして、その心臓が多くの人に更に新たな夢を提供する。


体内に埋め込まれる補助人工心臓。「デュラハート」
まるで、SFの世界にいるよう。
http://www.terumo.co.jp/duraheart/index.html
このプロジェクトの先端を走るもと女医は、
メスを持たないが「しんぞうのおんな」だ。
女性誌「日経ウーマン」が毎年選出する
ウーマン・オブ・ザ・イヤー2008」の大賞。
それが、この人だったと初めて知った。


様々なものがオープンプライスで揺さぶられる今、
メーカー希望標準小売価格、リストプライスで
製品の正当な評価を単なる値引き競争のまな板の上に載せず、
勝負している、それはものづくりの世界では現在画期的なこと。
命に値段をつけるのは難しいからこそ、誰にでもどこにでも、
ある意味平等にリストプライス。


それは自分自身の夢に対して、努力、希望に対して、
まっとうに向かい合ってきた揺らぎ無い自信と意思への
当たり前の「基本」という姿勢。
自分の価値を値引きしない力強さ。
そういものを感じさせた。
今の世は、「本当はいくらにしてくれる?」
「いくらだったら、OK?」と自分を切り売り、値引きするのは
当たり前のような生き方を要求したり、
突きつけて来たりするから。


彼女の強さ、明るさを眩しく思いながら、
自分自身には到底及ばないたくましさを、元気を、
少しでも分けてもらわなければ・・・と思った夜更け。
まだまだ週の終わりまでは遠い。


職人技を見て歩く―人工心臓、トイレ、万年筆、五重塔… (光文社新書)

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人間と機械の共生

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