Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

秋から冬へ

カレンダーの上では今日から明日、秋から冬へ。
11月のつごもりは、家でゆっくり朝寝朝御飯から始まる。
朝っぱらからジャガイモの皮をむき、ミキサーでとろとろにして、
本格的なポタージュスープを作る。文明の利器のありがたさ。
昼は昼で娘の気分転換と調理実習を兼ねて、
カップラーメンではないインスタントラーメン。
夜は新鮮なイカが手に入っているので、はらわたもしっかり入れて、
こっくりと里芋と煮込む。甘辛い味の煮物は、寒い季節に合う。


御米を洗うのは娘の仕事。茶碗・箸を揃えるのも。
手際よく仕事をしないと、火と水と油を扱う段取りが狂う台所仕事。
のんびり構えていちゃあ、てきぱきさっさと「ぱぱぱ料理」は作れない。
残り物余り物、再活用で一品、常備菜で一品、
予定していた品にタレやドレッシングを変えて一品、
いつもの定番、季節の恵み、具沢山味噌汁で一品、
ふりかけ・梅干・舐め味噌の類で一品。
そんなふうにして三食家で食べられることが、最高の贅沢の一つ。
私の休日。私達、家族のの休日。


様々なブログを覗けば、美味しいそうな手作りのお菓子、ケーキ。
ここまで凝って時間を使うことができない私は、娘と共にうっとり。
簡単薬膳のページで、ふむふむなるほどと知識を仕入れ、
冬支度の漬物等が満載のブログでは、参考にしたいものだと思いつつ、
桶さえもない生活。小さな瓶にピクルス程度が関の山。
(果実酒用が最も大きな保存用の瓶)
さあ、今年の冬支度を何としよう。

ヨーロッパの食事の時間

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一汁三菜 基本のおかず―かんたんおいしい和洋中43の献立たっぷり169レシピ

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今朝方、ポタージュスープを作っていたら、
起きて来た娘が「野菜ジュースじゃないの? ポトフじゃないの?」
そうそう、いつも同じものを作りませんよ。
スープ類は応用の利くメニューだ。軽くも重くもあっさりもこってりも作れる。
時間のない人間にとっては、コンソメやお澄ましでは手っ取り早く栄養が取れない。
それに作っていられない。勢い材料を変えて、スープ・シチュー・ポトフの類。
そして、味噌と具材を工夫して味噌汁の類。我が家の栄養源。


買い物の具合によっちゃ、メインが貧弱になることもあれば、缶詰の助けも。
冷凍食品には頼りたくないから、塊肉やミンチ、ベーコンは重宝する。
魚は新鮮なものを食べたい。両親のように、塩漬けの秋刀魚や干物では
どうしても塩分過多になる気がする。冬場は御刺身も食卓には少々寒い。
体も心も温める、そんな一品が欲しくてたまらなくなる。
しかし、そういうものはどうしても高カロリーになりがち。
あーあ。上手く行かないものだわ。


三度の食事を家で摂る。小学生の娘にとっても、働いている私達にとっても、
こういう日は稀な日、珍しい日、滅多にない日。
どこにも出かけない、出かけられないと言うわけではなく、
何となく家にいたい、別の用事を片付けたい。そういう日だってある。
出かけたって、3食きっちり家で食べないことも無いが、それは珍しい。
というわけで、貴重な日曜日。朝晴れていたと思ったのに、あっという間に曇天。
風も吹いてきて、外に出るのもちょっと・・・という御天気。


健気に宿題に取り組む娘。クリスマス会に弾く予定のバッハの平均律
アヴェマリア」の原曲を何度か御手本に弾いて聞かせる。
ゆっくりゆっくりロマンチックに弾けばいい。
アベマリア用に作られた曲ではなくて、平均律の指の動きが娘には必要。
叙情的なもの、その演出は後から付いてくる年齢。
分散和音の響きを味わって、指を伸ばして、最後はバロックらしい終わり方。
去年の「エリーゼのために」とは異なる曲に、挑戦。
こういう時は、きちんとしたクラシックを弾いてほしい、かーちゃん。
娘よりは、かーちゃんのこだわりなんだけれどね。


食事と同じように、献立表と同じように、日々の積み重ねが体の栄養。
滑らかな指の動き、いつの間にか繰り広げられる音の連なり、
打ち出されるメロディー、響き渡る和音、静かに引き込まれる。
派手なメニューは作れないけれど、御料理の本にあるようなメニューは作れないけれど、
毎日食べても飽きの来ない、家族揃って食べられる安全で美味しいメニュー。
簡単に作れて栄養のあるメニュー。夏は涼しく、冬は暖かく、
季節の恵みを、旬の味覚を盛り込んだ毎日の愛情を、
いつも一緒に会えない家族の、いつも一緒に過ごせない家族の、
思い出の1ページを支える食卓のメニューを、かーちゃんは用意する。


家庭の味、かーちゃんの味、いつもの食卓。
平凡な毎日が、長じて後、どれほど貴重な日々であったか、娘よ。
君はいつか知る日が来るだろう。
かーちゃんは、自分の母親の味が恋しいけれど、
「全盛期のかーちゃんのかーちゃん」の味は、記憶の中に永遠に仕舞われたままだ。
だから、今のかーちゃんが全盛期だとは言わないけれど、
秋から冬へ、心と体を温める美味しいものを沢山食べよう。
一緒に食べよう。家族で食べよう。みんなで食べよう。


奏でるのは音楽。耳に美味しい音楽。
食するのはかーちゃんの味。時々は贅沢なプロの味。
家に居る時も外に出かけるときも、いつもいつも、
君の心と体の栄養になるものを、ね。
冬籠りの熊じゃないけれど、しっかり蓄えておいて欲しい。
未来に向けて、備えておいて欲しい。
覚えておいて欲しい。


秋から冬へ。今日一日、かーちゃんはそんな事を考えながら、
ご飯を作っている。ご飯を食べている。
家族揃って。

常備菜―つくりおきのおかずと展開料理 (わたしの保存食)

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母の味、祖母の味―家族の献立 (地球丸くらしブックス)

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