Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

何フェストゥム?

職場に行くと、今日から師走だと強調される。
年末に向かって気を引き締めよということなのか、
師走だからどうだというのか。
いつも走っていますが(笑)、歩みはゆっくり亀なのが哀しい。
それはともかく、今日から師走ですと言われると、
なにやら気忙しさが倍増し、やたらせかされているような、
2倍速ならぬ4倍速で動けと催促されているような、
そんな気分になるのは私だけだろうか。


正月が、新年がそこまで迫って来ているからと、
次の予定次の予定にせかされて生きているというか、
生かされているというか、生きねばならぬように追い立てられている。
「未来を視野に入れて」などと表現すれば、少しは穏やかかもしれないが、
何だか広大な未知なるものに対して、挑戦しないと意気地なしだと
レッテルを貼られているような気もする。
「時代を先取りして」などと言うと、常に先回りして要領よく、
何事かを前もって搾取すると同時に回避するような、
そんな感じがしないでもない。
こんなふうに感じる私、本日の気分は少しマイナー?


それもこれもボーっとTVを見ながら夕食時、変な言葉を聞いたからだ。
「プレフェスティウム」・・・そんな言葉あったっけ?
TVの精神科医の先生の説明は、もっともって感じだったけれど。
多分、有名な木村敏先生のお話から来ているんじゃなかったのか?
アンテ・フェストゥム=前夜祭的な意識=分裂病
          =未知性=現前への無関心
イントラ・フェストゥム=祭のさなか的意識=癲癇患者
           =永遠の現在・永遠の停止
ポスト・フェストゥム=後の祭り的意識=鬱病者=既存性

木村敏著作集〈4〉直接性と生命、イントラ・フェストゥム論

木村敏著作集〈4〉直接性と生命、イントラ・フェストゥム論


プレっていう言葉で表現するのかなあ、今では。
まあ、精神科医の専門用語なのか業界用語なのか、
どちらでもいいけれど・・・。
フェストゥムっていう言葉、久しぶりに聞いた。
ああ、こういう言葉の世界に居たこともあったなあと思った。
小難しい言葉を使って物を考えたり、読んだりした事もあったなあと。


『無意識の発見』なんかを抄読していた頃もあった。
おお、パソコンは抄読という単語が出てこない。真っ先に消毒。
まあ、普通はそうだよね。ある意味夏炉冬扇の知識を捨てる、
これこそが日常生活を生きていくための頭の消毒かも。
何だか自虐的になってきた。


そうそう、TVで語られた言葉に引っかかったんだった。
次々に関心が移っていくので、今現在やっていることに興味がもてず、
次に起こることに飲み関心が行くという行き方。
飽きっぽいっていう俗世間の言葉で片付けられていたけれど、
それをプレフェスティウムって言ってしまっていいのか?
そこに引っかかったんだった。


メリーゴーランドに乗りながら、それを楽しまないで、
木馬の背中で、次に何に乗ろうと探している子供の目。
そういうものに喩えて表現されていたけれど・・・。
今を楽しめないという状態、アンテ・フェストゥムの意味?
その意味でプレフェストゥムって使ったのかな?
私にとっては予期不安の変形のように聞こえる。
楽しむ、楽しまなくてはいけない物を探す強迫観念にも。


楽しめない事もある、楽しくない中にも少しは楽しいものがある。
そういう部分に関心が行く私にとっては、
気忙しく次を次をと求められることは苦手だ。
じっくり味わう事も出来ず追い立てられてしまう、
そんな気持ちにもなる。時には、次にさっさと行きたい時も、
時には振り返ってしまう時も、過去から引き続いて存在する、
尚も古くて新しい、余韻のある、そういう様々な時間軸を持った、
交差した世界に生きているのが当たり前ではないかと思うのだが、
内面的には。


全てが同じ方向に向いてしまっていることが、病的なのであって、
玉石混交の精神状態は、混乱しているわけではなく、
価値観や優先順位に基づいて、様々な感じ方・記憶・行動を持つ。
何だか、○○フェストゥム的な人と言われてまとめられる、
そこに違和感を感じた一瞬。
TV番組のほんの一瞬の言葉遣いにここまで引っかかる自分も自分だが。


まあ、職場で師走師走連呼されたことと、リンクしていたのだろう。
毎日同じペースで生活・仕事が出来るわけではない。
師走は師走らしさということがあるのだろうけれど、
カレンダーの切れ目、切り替わり時、節目を強調されることが、
心のどこかに負担になっている、その切ない自分を意識して、
ちょっと過敏になっただけ。
そんな今日、12月朔日。

自分ということ (ちくま学芸文庫)

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自己・あいだ・時間―現象学的精神病理学 (ちくま学芸文庫)

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