凍える指先

じいじが手書きで住所を書いていたら、25日までに間に合わないという。
そりゃそうだ。筆ペンを目の前にめげている様子。
自分のプリンタで印刷し方がわからないという。
え、そりゃ専用のソフトが無いと。
どうするつもりだったんだろう？
とにかくじいじのパソコンを覗きに行く。

郵便局には申し訳ないが、25日までになんぞ出せそうにない。
仕事休みになってから、年賀状を作っているのがこの数年。
それでもじいじの為に、家のパソコン･プリンターを立ち上げたら･･･
Windous９８だし、外付けフロッピーディスクでUSBじゃないし。
いや、参った参った。勝手が違いすぎて。
おまけに筆王。私にはわからないことだらけ。

じいじのパソコンは、でかい。何しろ旧型。そして容量は無い。
インターネットには繋がっていない。ある意味健全に情報選択。
必要の無い物を見て時間を潰したくないそうな。
まあ80を前にしていれば、そういう考え方も可。
体が動かなくなってきた分、パソコンで外と繋がるから楽しいという
考え方も可。問題は、パソコンが物置にあるということ。
寒いのなんのって、火は使えないし凍えそう。
物置ですっかり凍えて荷物と化してしまいそう。

引き出しの中にあるフロッピーを初期化するところから始まり、
読み込み、とりあえず住所録をワードからエクセルに、
CSVファイルに置き換え、私のノートPCで読み込み、
筆まめで印刷･･･のはずが、滅多に使わない家のプリンタ、
なかなか綺麗に出てこない。かすかすにかすれている。
ノズルチェックをして、印刷パターンをチェックして、
ヘッドクリーニングを繰り返し、なんてしているうちに時間はどんどん過ぎる。
おまけに廉価版（年賀状用の筆まめソフト）旧バージョンは動かず、
念のために買っておいた廉価版新バージョンで読み込み、やっと始動。
（書店の店先で売っている1冊500円程度のもの）

賢いことに、住所と電話番号は読み込んでくれるし、
氏名は多少手直ししたものの、早い早い。
郵便番号と住所が一致しないものはチェックしてくれるし、
印刷か除外か確認。さて･･･抜かりは無いはず。
？　なのにプリンタは紙送りの調子が悪い。
変だな？　テストプリントして印刷調整済みなのに。

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EPSON PM-T960 マルチフォトカラリオ インクジェット複合機

プリンタがどうしても途中で止まってしまう。
給紙のタイミングがずれるるのか、空送りエラーになると、
再立ち上げしないとミスプリントを起こす。
どうも私のノートと旧型のプリンタの相性が悪いのか、
プリンタそのものが古くなって紙送りが詰まるのか。
機嫌よく印刷し続けていると、いきなり止まったりする。
1枚印刷しただけで、空送りになる。

そんなこんなご機嫌斜めのプリンタと格闘。
本来ならば印刷枚数や印刷範囲のチェックが終われば、
勝手に2009丑年年賀状出しましたのチェックまで入れてくれる
賢いソフトも形無しの、プリンタミニストライキに遭遇。
宥めすかすように再立ち上げ、プリンタのプロパティから
前回の印刷指令を消していちいち新しいオーダーを入れ、
格闘しているうちに、じいじの年賀状を印刷終わったのは夜。

実家の物置から2階に移動して作業を続けたものの、
いずれにせよ火の気の無い木造住宅の隙間風だらけの寒さ。
ガス自殺は絶対出来ない健康的な環境。
しばらく暖かい日が続いただけに、この寒さのこたえること。
休憩して夕食をと思って階下に降りると、
指先の感覚が無い。まるで凍傷にでもかかったように感じない。
寒い痛いを通り越して、暑い冷たいもわからないくらい。

ストーブに手をかざしているうちに、何となく指先の感覚が戻ってくる。
久しぶりだ。こういう感覚。冷たくてよくわからないという感覚。
ずっと外で外出したり、屋外でテニスなど運動したり、
真冬の水を使って･･･ということをしなくなって久しい。
鉄筋の建物の中で仕事をしていると、指先が凍えることなど無い。
雪下ろしをしたり、常に手袋をしたりせずとも仕事が出来る、
生活が出来る環境に慣れきっていた。

さて、不思議なものでプリンタと格闘した後、
優先順位の掃除洗濯ご飯の用意はどこへ消えたやら、
せっかく動くようになったプリンタのインクが詰まらないうち、
印刷したいような気分になってきた。
年賀状の図案でもと思って、ノートPCの前に座ったのが運のつき。
写真を貼り付けてフレームを換えて、文字とイラストを･･･。
凝りだしたら止まらない。あっという間に夜も更けて、
今宵楽しみにしていたTVドラマ『チームバチスタの栄光』最終回を
見るのも忘れて作業。というか、寒中勤行のような感じ。
ランナーズハイ、クライマーズハイみたいな年賀状作りハイ。

俗世を忘れてせっせと年賀状の図案を4種類も作ってしまいました。
そんなに凝ってどうするんだよって？　プライベート、仕事先、
友人、その他みたいな感じで使い分けるのです。
一度間違って仕事先用の物をママ友達に送ってしまったら、
ちょっと引かれてしまい、疎遠になって悲しい思い出。
世間様からはそんな風に見られているのかしら？
それとも年賀状の作り方が悪かった？

寒さに震えて作業中です。
せっかく布団乾燥機でぬくぬくにした布団なのに、
12月布団で寝ていない日が多いという現実は？
これは、単なる面倒臭がりなだけ。
炬燵猫になっているだけ。ノートPC生活者は炬燵猫。
寒さと無縁だったのに、今日はちょっと自虐的に寒さに震えて作業中。
そう･･･。２階では冷暖房の無い生活をしています。

凍える指先から生まれてくる年賀状が、一枚一枚
どんなふうに相手のおうちに届くのか。
お気に入りの筆まめソフトの文字。画像。イラスト。
シールを貼って、一言添えて、そういう作業はまだまだ先。
軌道に乗ってくると、寒さも気にならない。
心はほんのり。だから、大丈夫。

今日は23日。天皇誕生日。
天皇ご一家は、年賀状なんてどうしているんだろう。
賀状そのものも庶民のもの？
全くの別格年賀状？　儀式三昧の生活の方が凍えそうかな。
ちらりと想像してしまった23日。

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