Festina Lente2

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「空を見よう」講演会

大阪市中央公会堂の中を一度も見たことが無い。
中之島の一角にあると知っていても、別世界。
ビジネス街のど真ん中に出かけていくことは殆ど無かった。
この1、2年、出張や通院、家人宅との往復で、
市内に出向く機会が増えた。
一昨年のクリスマスのライトアップ時に、初めてその美しい姿を見た。
http://d.hatena.ne.jp/neimu/20071215


そこで分か講演会がある事を、昨年これまた生まれて初めて
大阪市立東洋陶磁美術館に出向いた時、
中央公会堂地下でランチをして、偶然チラシで知った。
冬の夜、あの美しい姿を眺め、その中で講演会、いいなあ。
そのシチュエーションに酔ってしまった、単純な私。
講演者は石原良純、題目は「空を見よう」うむ、いいねえ。
なかなか気象予報士らしいお題目。どんな話が聞けるかな。


彼の印象。最近よくクイズ番組に出ている。俳優のイメージが希薄。
でも、『どんど晴れ』では「いい人に代わる悪役」で美味しいとこ取り。
鞍馬天狗』にも出ていた。NHKで最近よく顔を見る人?
いや、でもバラエティで見る方が多いかな。
親の七光り、叔父石原裕次郎の七光り、石原軍団にいた人。
それくらいかな。特にファンでも何でもありません。


このところ犬も食わない喧嘩が続いていた家人と、
少しばかり知的な時間が持ちたくて、待ち合わせて出向くことに。
大阪、この冬一番の冷え込みとか何とか。ひぇー。
ロマンチックどころか、おーさむこさむ。ぎりぎりに間に合ったと思えば、
何のことは無い、家人は開場と開演時間を間違えていたのでした。
ふえーん、空腹。腹が減っては戦が出来ぬ状態。


辺りを見回せば、さすが大阪のおばちゃんたちは座席確保の上、
しっかりもぐもぐ。飲食禁止の講演直前のアナウンス前に、
とっくに食べ終わっているのでした。さすが場慣れしているわ・・・。
家人も私も大理石の柱が美しい内部の装飾にぼーっとみとれ、
自動ドアのトイレの入り口にびっくりし、
暖かい室内に喉が渇き、主催者側の挨拶も終わって、
やっと登場。石原良純氏ご本人。わあ、TVで見る人が至近距離。
ミーハー状態(これは死語だよね)で、壇上を眺める私。

石原家の人びと (新潮文庫)

石原家の人びと (新潮文庫)


何でも、かつて国民の祝日『成人の日』であったはずの本日、1月15日。
石原氏の御誕生日だそうで、それはめでたい。家人が呟く。
学年が一つ上だ。・・・そういう世代ですね。ふむ。
話の枕には芸能ネタ、家族ネタが続く。まあ、芸能一家というか、
有名人の家に生まれて育つってどんな感じかなあ、想像できないけれど。
けっこう大変? そんなこと気にしていたら、生きていけない環境?
それとも役得。人とは異なる美味しい世界を沢山知っている?


父親のこと、兄貴のこと、叔父貴のこと、語る語る。
聴衆の年齢層が高いから、それでも十分話が通じる。
裕次郎の23回忌らしいが、それでもみんなが頷くので、
石原氏自身も「こんなに反応があるとは凄いなあ」と驚いている。
まあ、みんな祐ちゃん世代、私達より上の世代が多いからねえ。
ところで、みんなどうしてこの講演を聴きに来ているのかな。


ビジネス街、周囲には住宅なんぞありはせぬ。
どこぞからで向かねばならぬ。みんなどこから来たのかな。
何しろ講演が終わったら21時前。私なんか1時間で帰れる筈もない。
どこからこの情報を知ったのかな、常連さん? ビジネス街の人?
若い女性陣はどうやらそんな感じがする。この辺のOL。
けっこう女性のグループも年配の方々も多い。
石原さん、この手の世代にファンが多いのかなあ?


肝腎の「空を見上げる話題」がなかなか出てこない。
気象予報士としての話がチラリと出るものの、すぐに芸能ネタになる。
いや、話をそこにばかり持っていくのではなくて・・・。
ワイドショーじゃないんだから・・・。
それじゃ誰かの噂話ばっかりになっちゃうよ・・・。
不満も溜まって、暖かい室内で眠気が襲ってくる。


うーん、どうしてそんなに早口でくっちゃべるのかなあ。
もっと間合いを入れれば、それなりのエピソードを味わうことが出来るのに。
羅列羅列羅列、引き出しの中をひっくり返したような感じで、
物凄い勢いで話があちこちに飛んでは戻るのか、戻らないのか?
一体どこへ行くのやら・・・。それで、空を見上げる話はどこに?
飛行機から見た景色、地図、食べ物、ダイエット、温暖化現象、
それらしい話が続くのかと思うと、すぐに別の話になる。
あーあ、これじゃなあ・・・。


合間合間に聞けば、毎日スケジュールが忙しくあちこち飛び回っている様子。
きっと、講演の為の構想を練って話をする余裕も、準備する暇も無かった。
ぶっつけ本番で色々もっているネタを小出しにすれば、どうにか
話が出来るのではないか、そんなところだろうか。
残念だが、御世辞にも面白いはずのネタが、楽しく聞けない。


きっと凡人とは異なり毎日の生活が当たり前すぎるのかもしれない。
芸能人なんだから。彼の普通の話題が、私たちにとっては特別。
私達にとって当たり前のことが、彼にとっては特別?
空を見上げて、そして? もうあと3分で公演時間が終わるという時になって、
毎日の様々な出来事を改めてもすぐに効果が現れるわけではない。
でも、続けないと何も変わらない。エコライフもそう。
だから、目先のことに汲々とせずに遠い未来に向かって、
物事に取り組んでみよう。
そのためにも、たまには空を見上げてみよう。
そんな締め括りで話は終わった。


その落ちを持っていくだけならば、もっと内容を絞ればよかったのに。
ディスクジョッキーのような勢いで、BGMみたいな雰囲気のしゃべくりで
「講演」されたのは、辛かった。話の引き出しを上手に整理できていれば。
目で読む文章ならば、自分のペースで読むことができる。
でも、耳で聞く言葉は相手に一方的にまくし立てられれば終わり。
ましてや、ストップをかけたり問いかけることが出来ない講演ならば。


彼の父親、文筆業を生業とする分には一目起きたい気持ちにもなるが、
政治家としては尊敬し難い彼の父親が、どうしても背後に浮かんだ。
おそらく、「何となく嫌だなあ」の連鎖反応。
多分、「受け入れがたいなあ」のイメージが強化されてしまったのかも。
講演後、JTB主催らしくくじ引きで温泉旅行や海外旅行が・・・。
もちろん、そんな僥倖に出くわすことも無く、私たちは帰路についた。


調べてみると、JTBのこの手の講演会に石原氏、複数回出ている様子。
http://www.jtb-hrs.co.jp/koenkai/
みんなおんなじ御題目で。違う内容を話さなければならないと思って、
あれこれ引っ掻き回したような、支離滅裂な内容だったんだろうか。
講演って同じ題目ならば、ほぼ同じ内容の人も珍しくない。
ましてや全国あちこちで講演するならば、全く同じでも珍しくない。
もっと、落ち着いて話して欲しかったな。
少なくとも、空を見上げる余裕やゆとりを感じられるように。
せかされるのではなく、諭されるのでもなく。


まあ、憧れの中央公会堂の中に入れたから良しとしようか。
今晩は冷え込んでいるだけあって、本当に星がきれい。
オリオンの三ツ星が輝いている。
田舎の都会、都会の田舎でも星空が冴え渡っている。
星空を見上げて、しばし。

夜空にオリオン座が浮かんでいるのを見ると

夜空にオリオン座が浮かんでいるのを見ると

星と星座の伝説 冬

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