Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

ドキュメンタリーから手塚治虫まで

午前中は掃除・洗濯だけで終わった。しかし、頭痛と微熱は相変わらず。
とりあえず夕食は頑張って作った。圧力鍋さまさま。
人参・じゃが芋・玉葱・蓮根・鶏肉、とろりと煮込んでインスタントのルー、
ホワイトシチューとカレーを半々、ハーブ香料を少し。
休憩して午後、ぼぅっとした頭でTVのスイッチを入れる。
あれ? 爆笑問題? こんな昼間も出ているのか。人気だなあ。
あれ? 永ちゃんが出ている。三島由紀夫が、開高健が、大江健三郎が・・・。
凄いメンバー、おお! 語っている語っている。石原裕次郎
手塚治虫もだ。何だなんだ、この番組は?


見終わってから調べてみた。何とお正月番組の再放送だった。
午後4時から午後6時まで2時間の、途中からしか見られなかったが。
• ETV50「教育テレビの逆襲〜よみがえる巨匠のコトバ〜」
• [ステレオ][字幕放送][再放送]
• 【ゲスト】俳優…加山雄三,評論家・ジャーナリスト…立花隆
コピーライター…糸井重里,タレント…矢口真里,【キャスター】爆笑問題
教育番組、懐かしい番組の映像と同時に古くて新しいインタビューの言葉、
ナマで語られる本気の言葉、久しぶりに見る顔、懐かしい声、
胸に響く言葉、熱い語り口、深く頷かされるその一言一言。
思わず見入ってしまう、ああ、何だか。何と言えばいいのか。


もっと自分を大切にしろ、自分の財産を、自分自身を大切にしろと語る永チャン。
矢沢永吉の音楽ではなくて、語り。語りだよ!
成人式の日の若者の姿をタクシーの運転手さんと語る。
「この中の何人が将来幸せになるんだろうね?」


恐ろしいのは自分自身。何をしでかすかわからない自分自身。
心の中に闇を抱えている自分に対してはどうする事も出来ないと語る。
人間は外から、外部から来るものに対しては持ちこたえられても、
内部、自分の内側に対しては対処しきれないものだと。
何と意味深な言葉だろう。在りし日の丸顔の開高健が、そのふっくらとした顔で、
鋭い目で、乾いた口調で切り出す言葉の一言一言に、どきりとさせられる。


批判される対象でなければ、叩かれるような物でなければ、
停滞している中からは何ものも生まれない。
批判される事を恐れて冒険しなければ、危険を冒さなければ何も生まれない。
そういう内容を語っていた手塚治虫の顔を見ると、
先駆者として時代を駆け抜けた人の、強靭な精神力に心打たれる。

爆笑問題のニッポンの教養 哲学ということ 哲学

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爆笑問題のニッポンの教養 ヒトはなぜ死ぬのか? 生化学

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夕食の用意をしようと台所に行く。何となくTVを付ける。
これも途中から見た番組。最初から見たわけではないが、
思わず引きずり込まれてしまった。男達の熱い思い、異色の風景に。
ホリデーにっぽん「敗北からの再出発〜男たちのアームレスリング〜」
場面はいい年をした大人が腕相撲に興じる所から・・・。
アームレスリングって結局腕相撲の大人版というか、スポーツ版だよね。
そんな私の一瞥を、へえ、ふうん、ほう、うわあ、・・・。
どんどん引きずり込まれるドキュメンタリー。
見始まった段階では、どういうテーマかわからずに見ていた。


後から番組の説明を見た。
広島県第2の都市、福山市。毎週土曜の夜になると、駅前に人だかりができる。
行われているのはアームレスリング。
社会からは“負け組”と呼ばれる男たちが多く集まってくる。
勝負が終われば互いの腕を認め合い、さらに高め合う道を模索する。
路上での真剣勝負をきっかけに、彼らは人生であきらめてきたことの大きさに
初めて気づく。「どん底からはい上がってみせる」。
自らの力を信じてたくましく生きる人々を描く。―


仕事と自分、結婚と自分、家庭と自分、仲間と自分、
様々な狭間で自分自身と見詰め合う男達。
アームレスリングを通じて知り合った男達の生きざま。
それが、「敗北からの再出発」というテーマを元に構成されていた。
力の勝負のように見えて、実は力だけでは勝負に勝てない世界。
奥の深いアームレスリングの世界。
人生、生き方、生きる姿勢に通じるアームレスリングの世界。
引き込まれた。


そして、夜9時を過ぎてお決まりの手塚治虫2009の時間。
BS11チャンネル。本日は「ブラック・ジャック」がテーマ。
チーム・バチスタの栄光」の海堂尊がゲスト。時の人だなあ、彼も。
高校時代から大人になっても、生活の一部分を占めていた手塚治虫
彼が昭和と共に去って行ってから20年。
今週は毎晩特集が放送されている。
残念ながら全部見ることは出来ていないけれど。


ブラック・ジャックドクター・キリコ。生と死。
寿命をどうこうしようなどとおこがましいと考えるべきなのか、
いずれ死すべき命とわかっていても、そのときが来るまで
治すことを、治療する事を目的とする医師。
しかし、医師は誰でもキリコの心を少し持っていないと
職務を全うすることは出来ないと海堂尊は語る。


非情に見えて、生命の尊厳を守ろうともがく主人公、
医療技術の進歩を支える情熱、私たちは心の中に、
どこかにブラック・ジャックのような医者がいるかもしれないという期待、
単なる幻想ではない、願望を持っている。


紀元節の今日、TVが伝えようとする思い、熱い心、
自分自身を大切に生きようともがく人間の在りよう、
そういうものに触れて、一日が終わる。

ブラック・ジャック完全読本 (宝島社文庫)

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死因不明社会―Aiが拓く新しい医療 (ブルーバックス)

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