Festina Lente2

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健闘ベスト8

小学校の指導要領があと何年かしたら変わって、
国語では古典を導入。百人一首や漢文をするそう。
(その頃うちの娘は既に中学生だな・・・)
たぶん、NHKの「にほんごであそぼ」の影響だろう。
「読むこと百遍意自ずから通ず」の世界だから、
耳から聞いても同じこと。普段から耳にすれば、
何となく覚えるものだし、教育とはそういうもの。
耳学問という言葉もある。
見て聞いて体で覚えて何ぼのものだから、
まあ、カルタ遊びは幼少時からやらせるに限る。


ことわざ、生活のルール、童話や昔ばなし、絵合わせも兼ね
この時代でも色んなものがカルタになっていて、
年末年始の遊びとして本屋の一角を飾る。
しかし、百人一首は別格だ。
大人にとっても難しい。百首覚えること自体もそうだが、
意味がわからないものを覚えることになる、このご時世。
わかり易い歌もあるが、中高生でも理解し難い歌が多い。
何といっても、古典文法や歴史的仮名遣いには縁の無い生活。


それでも、先生方の努力によって少しずつ広まってきている、
五色百人一首大会なのだそう。去年は全く何も知らず、
単なるお正月の延長で百人一首の大会があると思い、
何事も経験よと申し込んで娘を放り込んでみれば、
何だか家でやっているのとは異なり、20種ずつ、
色分けしたカードを取り合っている。
ああ、それで五色百人一首なわけ・・・と、当日知った。


そんなのんきな親の元、低学年と高学年に分かれて試合。
娘は10人と対戦して、6勝だか7勝。おお、初めての割に、
頑張ったねえと思っていたら、予期せぬ予選通過。
2年生で決勝戦トーナメントに残り運良くも、3位。
立派なトロフィーを頂いた。
親ばかながら嬉しくて、その時の記事はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/neimu/20080210


さて、今年は去年と違って試合会場の雰囲気も、
試合そのものもわかって望む、ある意味意識して戦う2回目。
去年と異なり、低学年の部では最高学年になる3年生。
娘のモチベーションはどんなものか。
良くも悪くも私に似ているので、心配・・・。
というのも・・・。

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ツンデレ百人一首(オリジナル百人一首付き)

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えてして、私はずぼらなので、2回目は舐めて掛かる。
もしくは更に緊張しすぎて、どうでもいい事を流せない。
欲が出ると意識しすぎてカチンカチンになる。
土壇場で上がり易い、そういうタイプの人間だった。
過去形で「だった」と言い切れるほど、「大人」になって
今がより改善されているわけではないが、
経験を積んだので何とか凌ぐ根性や知恵を身につけただけ。


専門からなメンタルタフネス、
メンタルトレーニングというところだろうけれど、
何のことは無い。場数を踏みながらでなければ得られないことは多い。
「運も味方のうち」に引き寄せる力、時の運の力は大きい。
こだわらずに目の前のことに集中できる力、
ああ、こうすれば良かったと試合中に悩んだら次に進めない。
勝負には、ここ一番の瞬発力、ライバル意識も必要。


そういう意味では、娘の水泳教室は自分との戦いで
勝った負けたの対戦とは異なるので、娘はめっぽう打たれ弱い
一人っ子で競争というものを身に付けず、何もかも独り占め、
のんびり育ったせいか、負けず嫌いの割にめげ易い。
似て欲しくないところばかり似てしまったものだ。
もっとも、きょうだいがいても私は気後れしてしまう一方で、
籠りがちな夢見る夢子の文学少女だったから、
違うタイプに娘を育てたかったのだが、そうは問屋が卸さない。


何しろ僅か3分間20枚中17枚しか読まれない。
8枚取るか、9枚取るか、僅か1枚差で決まる殆どの対戦。
DS版の「時雨殿」で幾ら独り遊びをして腕を鍛えても、
本当の対戦の雰囲気とは異なる。目の前に取り札が並ぶのとは。
だから、かーちゃんとしてはクリスマスにサンタとして、
本物の五色百人一首をアマゾンで取り寄せ、プレゼントしていたのだが、
娘は見向きもしない。そしてこう豪語した。


「わたしはDSで殆ど覚えているから、今更5色に分けて覚えなくても大丈夫」
・・・そうかな。百聞は一見にしかず。バーチャルと実際のカルタ取りは違うよ。
でも、まあ、かーちゃんが口をすっぱくして強制しても無駄だから、
それ以上、何も言わずに当日までやってきた。
家人が「せっかくだから練習しよう」と、読み手になってくれるまでは。
こういう時、家族が多いと助かるのだけれど、二人では練習が出来ない。


かーちゃん、百人一首はうろ覚えですが、20枚ずつでも8枚から10枚は取れる。
札を並べながら、言葉の頭を一瞬にして覚える?(とまで肺かないけれど)
好きな取り札。得意な札は逆向きでも位置が覚えられる。
さて、娘よ。本番が近付いてきた、どーする?
おまけに去年の先生に言われた事を律儀に守って、天晴れ。
「おかーさん、からだは前かがみになったら駄目なんだよ。
 手は膝の上において、歌が詠まれるまで待たないと駄目なんだよ。
 背筋は真っ直ぐ」見上げた奴。最初の刷り込みは恐ろしい。


さて、数時間、試合会場では去年と違って姿勢に関する注意は無く、
みんな前かがみどころか、座布団からずり落ちている子も・・・。
勝負の世界に熱くなっている周囲に比べて、背筋を伸ばして、
膝に手を置いている娘の空間の・・・浮いていること。
親としては立派だと思いつつも、はらはらドキドキ、
融通の利かなさは、かつての私(今もか!?)そっくり。
ああ、こんな所まで似るとは。


今年の予選は8人と対戦。娘は7勝1敗でしたが、
明らかに悠長な試合運び。その頑固なポリシーが影響したのか、
昨年2年生の時がやはり、ビギナーズラッキーだったのか、
ベスト8に進出したものの、去年を上回る成績には結びつかず。
健闘を称えて賞状とメダルを頂いたものの、仏頂面。
そりゃそうだろうね。リベンジどころか、期待はずれ。
これが勝負ってものだよ、うん。
ごめん、何も知らず舞い上がって見ていた去年と違って、
かーちゃんも欲が出て期待した分、変に距離を置いて見ちゃったよ。


来年も出る意欲はあるらしい。6年生相手の、高学年の部。
年上の子と戦って、今年以上の成績を残すのが目標となった。
さて、戦略的に行動するか。どうするか。ま、1年先の話ですが。
実際、楽しむだけではないカルタの世界、百人一首
ちなみに娘が好きな札は、何故かお気に入り清少納言の一首。
「夜をこめて 鳥の空音は はかるとも
               世に逢坂の 関はゆるさじ」
おそらく意味はわかっていないものと思われます・・・。


ちなみに私の小学生2,3年時の取り札は3枚。
「かくとだに えやは伊吹のさしもぐさ
       さしもしらじな もゆる思いを」
昔から情熱的だった?
「もろともにあはれとおもへ山桜 花よりほかに知る人もなし」
昔から厭世的?
「嵐ふく三室の山のもみぢばは 龍田の川の錦なりけり 」
まあ、イメージし易い叙景歌ではあるな。


安易なリベンジの関を超えることは出来なかった娘よ。
世の中を、勝負の世界を舐めてはいけませんよ。
楽しみながらも、勝負に勝つ。理想はそうでも、
時の運、努力、負けん気、メンタルタフネス、
「知っている」だけでは、ものにならない現実、
親子共々垣間見た今日。
でも、健闘ベスト8。
とーちゃんが賞状を入れる額を買って飾ってくれた。
写真も焼いてくれた。
良かったね。

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えんぴつでなぞる・CDで歌える百人一首

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